ガーメントプリンター保有者が
白トナーを導入する理由
ガーメントプリンター(DTG)をお持ちの方から、白トナープリンタのお問い合わせを毎週のようにいただきます。DTGは大手メーカーの製品で、Tシャツをセットしてボタンを押すだけでプリントできる、とても使いやすい機械です。それでも白トナーを追加されるのは、DTGの苦手な部分を補いたいからです。
最近は「DTGでもDTF(フィルム転写)ができるから、苦手は解決できる」という話も聞きます。たしかに方法としては可能になりました。ただ、白インクを使う印刷は遅く、後工程は1枚ずつ手作業です。この記事では、導入者の声とメーカーの公表スペックをもとに、DTGの弱点の補い方を整理します。
- DTGは淡色の綿Tシャツへの直接プリントが得意。苦手なのは濃色生地の発色、ポリエステル・ナイロン、生地ごとに変わる前処理、白インクのメンテナンス
- 白トナーは、糊シートの白がデザインの下にしっかり入るので濃色でも発色が強く、125℃前後の低温転写でポリ・ナイロン・ドライ素材にも対応。DTGの苦手をそのまま補える
- DTGでのDTFは、エプソンSC-F2250の専用ソフトに標準搭載されるなど進化している。ただし白インク込みの印刷だけで約142秒(SC-F2250)〜約200秒(SC-F1050)、フィルムは1枚ずつセットし、パウダー付けと焼き付けも手作業
- つまり「DTGでDTF」は少量の特殊対応には便利だが、量産の解決策にはなりにくい。白インクのメンテナンスの負担もそのまま残る
- DTGを持っている方の追加機としては、メンテナンス不要で量産もできる白トナーが、弱点を補う役割に合っている
ガーメントプリンター(DTG)の得意と苦手
DTGは、Tシャツをプラテン(台)にセットし、インクを生地に直接吹き付けてプリントする機械です。大手メーカーの製品で販売店も多く、広告での認知も高いため、導入している方がとても多い製法です。
| 得意なこと | 苦手なこと |
|---|---|
| Tシャツをセットしてボタン1つでプリントできる操作の簡単さ | 濃色生地の発色。インクが生地に染み込むため、下地の色の影響を受けやすい |
| 淡色の綿Tシャツなら前処理なしで速く刷れる | ポリエステル・ナイロンは基本的に難しい(対応液はあるが洗濯強度に難点の声も) |
| インクが生地になじみ、手触りが柔らかい | 濃色は前処理剤を塗る工程が必要。生地の色や素材によって工程が変わる |
| 写真やグラデーションもそのまま刷れる | プリント前の洗濯が推奨される場合がある。プラテンに載らないアイテムは刷れない |

※DTGはメーカー・機種によって性能が大きく異なります。ここでの内容は、当社がお客様から聞いてきた一般的な傾向です。すでにお手持ちのDTGで解決できている方には当てはまりません。
DTG保有者が白トナーを導入する5つの理由
DTGをお持ちのお客様が白トナープリンタを導入された理由を、多い順にまとめました。①と②で全体の約7割を占めます。
① 濃色生地にきれいな発色でプリントしたい
いちばん多い理由です。白トナーの転写シートは、デザインの後ろに白い糊の層がしっかり入るため、黒をはじめとする濃色生地でも下地の色に負けません。前処理剤も必要ありません。

② ポリエステル・ナイロンなど、様々な素材にプリントしたい
白トナーは125℃前後の低温で転写できるので、熱に弱いポリエステルやナイロン、ドライTシャツにも対応できます。綿・ポリ・ナイロン(撥水加工なし)と、生地の素材をほとんど選びません。
③ 洗濯に強いプリントをドライTシャツにしたい
スポーツ店様などからの引き合いが多い理由です。当社の転写資材は洗濯堅牢度で5級に近い数値が出ており、部活やジムのウェアのように洗濯回数の多い用途にも使われています。

④ プラテンに載らないアイテムにプリントしたい
帽子や、大きなウインドブレーカーなどはDTGのプラテンにセットできません。白トナーは転写シートを当ててプレスするだけなので、プリントする場所や形をほとんど選びません。

⑤ 細い文字をにじませずに出したい
インクを吹き付けるDTGでは、生地によって細い線がにじむことがあります。白トナーはレーザープリンターで印刷するため、細い文字もにじまず、くっきり表現できます。

「DTGでDTF」は弱点の解決になるのか
ここ数年、DTGで生地ではなくフィルムに印刷し、パウダーをかけて焼き付けてから生地にプレスする方法(DTF)が広まっています。わざわざ一手間かけるのは、ここまで見てきたDTGの弱点を補うためです。
なぜDTGでDTFをするのか
フィルムにCMYKを印刷したあと白インクを重ね、ホットメルトパウダーをかけて加熱すると、インクが固まった状態になります。生地に染み込まないので発色がよくなり、ポリエステルやナイロンにも貼れます。生地の色や素材によって前処理の工程を変える必要も、事前に洗濯する必要もありません。

DTGでのDTFは進化している
以前は、DTGでDTFをするための設定に手間がかかりました。2023年発売のエプソンSC-F2250では、専用ソフト「Garment Creator2」にDTF印刷モードが標準搭載され、デザインの反転やインクの印刷順を自動で設定できるようになっています。2024年発売の小型機SC-F1050もDTFに対応しています。「DTGでもDTFができる」は、今では正しい情報です。
それでも量産の解決策になりにくい理由
問題はスピードと手間です。DTFでは白インクが「土台」になるため、濃色Tシャツに刷るときと同じように白インクをしっかり載せる必要があります。メーカーの公表値を見ると、白インクを使う印刷はそれだけで時間がかかります。
| 機種(エプソン) | 濃色向け(白インク+カラー) | 淡色・カラーのみ | 最大印刷範囲 |
|---|---|---|---|
| SC-F2250(2023年) | 約142秒(4pass) | 約28秒(高速カラーモード) | 406×508mm |
| SC-F1050(2024年) | 約200秒(200×236mm) | 約80秒 | 254×305mm(A4まで) |
※エプソン公式仕様・販売店公開情報より。いずれもヘッドが動いてインクを吐出している時間のみで、セット・データ処理・転送・後工程の時間は含みません。
さらにDTGでのDTFには、DTF専用機のようなロール給紙や自動パウダー機(シェイカー)がありません。1枚ごとに次の作業が人の手で必要です。
- フィルムをプラテンにセットする
- 印刷する(白インク込みで約2〜3分)
- フィルムを外し、インクが乾く前にパウダーを手で振りかけ、余分を落とす
- プレス機やオーブンで焼き付けて固め、冷ます
- ようやくTシャツにプレスできる
当社でも検証しましたが、DTGで直接刷る場合に比べて1枚あたり5〜10分ほど長くなる印象です。特に焼き付けに時間がかかります。お客様からも「思ったより時間がかかる」「パウダーの乗りや焼き付けが安定しない」という声を聞きます。
注意点もあります。機種や専用ソフトによってはDTFに対応していないものがあります。また、インクを焼き付けて固めるため、DTGで直接刷った柔らかい仕上がりとは別物で、厚みや硬さを感じやすくなります。フィルムやパウダーとの相性、作業場の温度・湿度の影響も受けるので、事前のテストが欠かせません。
DTG直接・DTGでDTF・白トナーの比較
| 項目 | DTGで直接 | DTGでDTF | 白トナー |
|---|---|---|---|
| 濃色生地の発色 | 前処理・白の重ね刷りで工夫 | 良い | 強い(白い糊層が下に入る) |
| ポリ・ナイロン | 基本的に難しい | 対応できる | 対応できる(低温125℃前後) |
| 前処理・事前洗濯 | 生地によって必要 | 不要 | 不要 |
| 帽子など立体物 | プラテンに載らないと不可 | 対応できる | 対応できる |
| 1枚の手間 | セットしてボタンを押すだけ | 印刷+手作業のパウダー付け・焼き付け | 印刷+糊付け(ペイスターでA4約12秒) |
| 量産 | 淡色の綿なら得意 | 不向き(1枚ずつ手作業) | A4 38枚の印刷が約6分。1日数百枚も可能 |
| 手触り | 柔らかい | 厚み・硬さを感じやすい | 薄く生地になじむ |
| メンテナンス | 白インクのクリーニング・消耗品・保守が必要 | 不要(長期間放置してもOK) | |
DTGでのDTFは「DTG1台でできることを増やす」方法としては有効です。ただ、発色・素材・量産のすべてを1台で解決するのは難しいのが実情です。DTGは淡色の綿Tシャツに集中させ、濃色・ポリ・ナイロン・小物・名入れは白トナーで受ける。この分担が、DTG保有者のお客様でいちばん多い使い方です。
見落としがちな「機械を維持するコスト」
インクを使う機械は、ノズルが詰まらないように定期的なクリーニングが必要です。クリーニングのたびにインクを消費し、メンテナンス用の消耗品や保守契約の費用もかかります。各メーカーのホームページに取扱説明書が公開されていますので、日々のお手入れの内容を一度確認しておくことをおすすめします。売上の見通しが立たないうちは、この「作らなくても出ていくコスト」が負担になりがちです。
白トナーはトナー(粉)なので、インク詰まりもクリーニングもありません。1ヶ月使わずに置いておいても、ほぼ変わらず印刷できます。ランニングコストは基本的に転写紙代と印刷代だけです。
| 項目 | 白トナープリンタ WTRIP835 |
|---|---|
| 価格 | 39万円(税別)。RIPソフト・7年間の無償保証込み |
| スタートに必要な設備 | プリンター+熱プレス機(55万円前後)。DTG用のプレス機を使える場合もあり |
| 量産 | 自動糊付け機ペイスターでA4 1枚約12秒(ペイスターA3込みで約70万円) |
| メンテナンス・保守料 | 不要 |
※価格は2026年10月時点の当社販売価格です。お手持ちのプレス機との相性は、印刷シートと糊シートを無料でお送りして事前に確認できます。
よくある質問
- ガーメントプリンターを持っているのに、白トナーを導入するのはなぜですか?
- DTGの弱点を補うためです。理由の約7割は「濃色生地にきれいな発色で刷りたい」「ポリエステルやナイロンなど様々な素材に刷りたい」というもの。ほかに、洗濯に強いドライTシャツ、帽子などプラテンに載らないアイテム、細い文字をにじまず出したい、という理由もあります。
- ガーメントプリンターでDTFをするのはなぜですか?
- DTGの弱点(濃色での発色、対象生地の制限、生地ごとに変わる前処理、事前の洗濯)を補うためです。フィルムに印刷してパウダーをかけ、焼き付けてインクを固めることで、生地の種類に関係なく同じ工程でプリントできます。
- エプソンのガーメントプリンターでDTFをすると時間がかかりますか?
- かかります。SC-F2250の公表値で白インクを使う印刷は約142秒、SC-F1050は約200秒(いずれもヘッド稼働時間のみ)。フィルムのセット、パウダー付け、焼き付けも1枚ずつ手作業のため、直接刷るより1枚あたり5〜10分ほど長くなるのが当社の実感です。
- DTGでのDTFと白トナー、仕上がりはどう違いますか?
- DTGでのDTFはインクを固めるため厚み・硬さを感じやすく、白トナーは薄く生地になじみます。白トナーは白い糊層がデザインの下に入るので、濃色生地での発色が強いのが特長です。無償サンプルで比べてみてください。
- 白トナーはメンテナンスが必要ですか?
- 必要ありません。トナー(粉)なのでインク詰まりやクリーニングがなく、1ヶ月使わなくてもほぼ変わらず印刷できます。
この記事のもとになった動画
ガーメントプリンターの保有者が白トナープリンタを導入する理由を説明します(2021年撮影)
DTG(ガーメントプリンタ)でDTFをする理由(2022年公開。価格・機種の情報は当時のもの)
DTGの苦手を、白トナーで補いませんか
無償サンプルをお送りしています。東京・大阪・福井でデモ体験、
オンラインでの個別説明(30分程度)も受け付けています。
※本記事の価格・実績は2026年10月時点の情報です。エプソン製品の仕様は、エプソン公式サイト(SC-F2250 仕様、2023年7月12日 発表)および販売店の公開情報(SC-F1050)によります。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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