プリント業者が
最低限知っておきたい
洗濯表示の意味
「クイックアートの白トナープリントやDTFは、洗濯に強いですか?」——当社は多くの業者様からこう聞かれ、「白トナー・DTFともに洗濯堅牢度5級で強いですよ」とお答えしています。すると、「それなら、クイックアートでプリントしたものは全部洗濯機に入れて大丈夫なんだ」と思われる方がいるかもしれません。
実は、ここに盲点があります。洗濯機に入れていいかどうかを決めているのは、プリントではなく生地のほうです。それを教えてくれるのが、衣類のタグの洗濯表示。この記事では、一般的な解説ではなくプリント業者が押さえておきたい点に絞って、実際のTシャツやジャケットのタグを型番ごとに見ていきます。
- 「洗濯堅牢度5級だから、どれでも洗濯機OK」ではない。洗い方を決めるのは生地のタグ
- プリント用のTシャツ・ウェアは、ほぼ全てが漂白剤・タンブル乾燥・ドライクリーニング禁止。「ドライクリーニングは大丈夫?」への答えはここで決まる
- 家庭洗濯の表示は3つに分かれる:手洗い(洗濯機×)/下線2本(おしゃれ着洗い)/下線1本(通常コース)
- ナイロンのジャケットはほとんどが手洗い。ポリエステル100%でも手洗いや2本線のものがある
- 同じ型番でも、カラーや製造時期で表示が変わることがある。実物のタグを見る
- タグの意味を、最初にエンドユーザーへ伝える。それが不要なクレームを減らし、自分のプリント業を守る
「洗濯に強いプリント」でも、洗い方は生地が決める
プリント業者様は、どの製法が洗濯に強いか弱いかを熱心に勉強されています。でも、Tシャツには生地ごとに、洗濯に入れていい・入れてはいけないという注意点があります。プリントの強さとは別の話です。
そもそも「洗濯堅牢度5級」は、洗濯で生地の色が落ちないか、ほかの洗濯物に色が移らないかを見る試験の成績で、プリントの剥がれを見るものではありません(詳しくは洗濯堅牢度は「剥がれにくさ」ではありません)。プリントがどれだけ強くても、生地のタグが「洗濯機はだめ」と言っていれば、洗濯機では洗えません。
洗濯表示の6つの記号
洗濯タグには、左から6つの記号が並んでいます。家庭洗濯・漂白・タンブル乾燥・自然乾燥・アイロン・ドライクリーニングの順です。このほかに、ウェットクリーニングの項目がある場合もあります。

それぞれの記号には細かい種類があり、一覧は消費者庁が公開しています。一般的な洗濯表示の解説は、YouTubeで「洗濯表示」と検索すると3分ほどの分かりやすい動画も見つかります。ここからは、プリント業者が押さえておきたい点だけに絞ります。
| 記号 | プリント業者が見るポイント |
|---|---|
| 家庭洗濯(桶のマーク) | 型番によって違う。手洗いか、洗濯機の1本線か2本線か(4章) |
| 漂白 | プリント用ウェアはほぼ全てが禁止(3章) |
| タンブル乾燥 | ほぼ全てが禁止(3章) |
| ドライクリーニング | ほぼ全てが禁止(3章) |
| アイロン | 無地の生地の表示。プリント面への直接アイロンは別に注意が必要(洗濯の伝え方の記事を参照) |
まず覚える「3つの×」
伝えたいことの半分は、これです。トムスやキャブ(United Athle)などのプリント用のTシャツは、漂白剤・タンブル乾燥・ドライクリーニングが、ほぼ全部×になっています。

「プリントしたTシャツは、ドライクリーニングに出しても大丈夫ですか?」と聞かれることがあります。でも実は、生地そのものがドライクリーニング禁止なので、少し失礼な言い方になりますが、この質問自体がナンセンスになってしまいます。生地がだめと言っている以上、プリントしたものの使い方としてもだめ。そうエンドユーザーの方に伝えるのが、販売する側の務めだと当社は考えています。
推奨されていない方法で洗えば、まず生地がダメージを受け、それがプリントのダメージにもなります。「プリントがあるから禁止」なのではなく、もともと生地の側が禁止しているのです。
家庭洗濯の表示は、3つに分けて見る
残りの半分は、いちばん左の家庭洗濯の表示です。ここは生地や型番によって違うので、次の3つのポイントで見ます。
ポイント1:手のマークは「洗濯機では洗えない」
いちばん大事なのが、桶に手を入れているマークです。「液温は40℃を限度とし、手洗いができる」という意味で、言いかえれば洗濯機では洗えません。このマークがある服は、洗濯機での洗濯をすすめていないと理解してください。プリント業者にとっては必ず覚えたい、重要なマークです。

ポイント2:数字は「液温の上限」
桶の中の数字は、洗う水の温度の上限です。トムスやキャブのTシャツなどを見ると、ほとんどが40でした。日本の一般的な洗濯機の温度に合わせているものが多いのだと思います。
ポイント3:数字より大事なのは「下の線の数」
数字よりも大事なのが、桶の下に引かれた線の数です。プリント用のウェアは、ほとんどが1本か2本でした。
| 表示 | 記号の意味 | 洗濯機でいうと(洗濯機メーカーの解説より) |
|---|---|---|
| 手のマーク | 液温40℃を限度に手洗いができる | 洗濯機は使えない。手洗い |
| 下線2本 | 洗濯機で非常に弱い洗濯ができる | おしゃれ着洗いのコース |
| 下線1本 | 洗濯機で弱い洗濯ができる | 標準(普通)コースでよい |


まとめると、プリント用のTシャツのほとんどは、次の3つを押さえれば基本はOKです。
- 漂白剤・タンブル乾燥・ドライクリーニングは×
- 家庭洗濯は手洗いか、洗濯機OKかで分かれる
- 洗濯機OKなら、下線1本か2本かを見る

型番で見る実例(動画で確かめたタグ)
ここからは、当社のプリントサンプルに使っているウェアのタグを、3つの種類に分けて見ていきます。サンプルにキャブ(United Athle)のものが多いため、United Athleが中心です。
※同じ型番でも、カラーや原産国、製造時期の違いで洗濯表示が変わることがあります。以下は動画撮影時に当社の手元にあった商品のタグで、現在の商品が同じ表示とは限りません。
① 手洗いマーク(洗濯機は使えない)

| ブランド・型番 | 動画での紹介 |
|---|---|
| United Athle 7061-01 | ポリエステル100%(表地)。それでも手洗い |
| Printstar 051-ET | ナイロン |
| United Athle 7482-01 | ジャケット |
| United Athle 7492-01 | ジャケット |
タグを見ていくなかで、ナイロン系は基本的に洗濯機がだめなのだと分かりました。ただ、ポリエステルでも手洗いのものがあります。こうしたジャケット類にプリントするときは、手洗いになるかもしれないと考えて、タグを確認し、注文されたお客様に伝えてください。
② 下線2本(おしゃれ着洗い)

| ブランド・型番 | 動画での紹介 |
|---|---|
| United Athle 5001-01 | 綿100% |
| United Athle 4210-01 | 綿100% |
| United Athle 5298-01 | 綿100% |
| United Athle 5010-01 | 綿100%(ロングスリーブ) |
正直なところ、2本線と1本線の違いは、見た目では区別できませんでした。スウェット(トレーナー)でも、2本線のものと1本線のもの(③の216-MLH)があります。動画では、ロングスリーブの5010-01のように、少し薄手で洗濯する前から毛羽立ちそうな生地が2本線なのかもしれない、と話しています(あくまで動画での推測です)。
③ 下線1本(通常コース)

| ブランド・型番 | 動画での紹介 |
|---|---|
| glimmer 300-ACT(2着) | ポリエステル100%のドライTシャツ |
| glimmer 350-ACT | ポリエステル100%のドライTシャツ |
| Printstar 085-CVT | トムスの定番ヘビーウェイトTシャツ |
| Printstar 216-MLH | スウェット(トレーナー) |
| トムス DM030 | 綿100%のTシャツ |
日本でいちばん売れているであろう、トムスの定番ヘビーウェイトTシャツ(085-CVT)は1本線です。ドライTシャツは全体的に1本線がほとんどでした。動画では、ドライTは生地の表面が平らで、綿に比べて毛玉ができにくいことを、その理由として挙げています。
一方で、2本線のスウェットとこの1本線のスウェット(216-MLH)の違いや、綿の薄いTシャツ(DM030)が1本線なのに2本線の綿Tがある理由は、当社の知識では分かりませんでした。1本線と2本線の違いを、見て触って判断できたら真のプロです。まずはタグを見る癖をつけましょう。
タグを見て気づいたこと
トムスやキャブなど、プリント用(プリンタブル)のウェアのタグを見て、大きく2つのことに気づきました。
- 漂白剤・タンブル乾燥・ドライクリーニングは、ほぼ全てが×だった
- 家庭洗濯の表示は、全体的に保守的。「1本線でもいいのでは」と思うものが2本線になっていることもある
ただし、表示より強く洗ってよいかどうかは、タグからは分かりません。お客様には、タグの表示どおりに伝えるのが基本です。
生地とプリントの掛け算。お客様への伝え方
洗濯に強いかどうかは、土台の生地と、その上のプリント製法の掛け算です。白トナープリントも、基本的に生地になじんだ仕上がりになります。そのため、生地が1〜2回の洗濯で雑巾のようにボロボロの毛玉になってしまえば、イラストもボロボロになります。どんなによいプリントをしても、土台の素材が傷めば台無しです。
| 洗濯の強さ | どうやって確かめるか |
|---|---|
| プリント製法の強さ | カケン(検査機関)の洗濯堅牢度テストや社内の洗濯テストなど。仕入れ先に確認するもの |
| 衣類(生地)の強さ | タグを見るだけで分かる |

生地の強さはタグを見るだけで分かるのに、ほとんどのエンドユーザーの方は、タグの記号の意味を知りません。そして、ドライクリーニングしてはいけないものをドライクリーニングして、クレームになる——そういうことが起こります。

クレームを言うお客様に、悪意はないはずです。だからこそ、最初の段階で分かりやすく丁寧に伝えることで、洗濯をめぐるお客様とプリント業者のトラブルは大きく減ります。エンドユーザーに洗濯タグの意味を伝えることは、不要なクレームを減らし、自分のプリント業を守ることにつながります。
この記事を読むときの注意点
この記事は、洗濯表示のすべての記号を説明するものではありません。プリント用のウェアでよく見る表示に絞っています。記号の正式な意味と一覧は、消費者庁の資料でご確認ください。
型番ごとの表示は、動画撮影時に当社の手元にあった商品のタグです。同じ型番でもカラーや原産国、製造時期で表示が変わることがあるので、お客様に案内するときは実際に使う商品のタグを確認してください。
また、「洗濯堅牢度5級」は当社の白トナープリント・DTFについての当社の回答で、他社の製法や海外製の転写紙の洗濯結果を示すものではありません。プリントの洗濯の強さは、実際に使っている材料で洗濯テストをして確かめるのが確実です。
よくある質問
- 洗濯堅牢度5級のプリントなら、どの服でも洗濯機に入れて大丈夫ですか?
- いいえ。洗濯の仕方を決めるのは、プリントではなく生地(衣類)のタグの洗濯表示です。プリントの洗濯堅牢度が高くても、タグに手洗いマークがある服は洗濯機では洗えません。また、洗濯堅牢度試験は生地の色落ち・色移りを見る試験で、プリントの剥がれを見る試験ではありません。
- プリントしたTシャツは、ドライクリーニングに出しても大丈夫ですか?
- プリントの前に、プリント用のTシャツやウェアのほとんどは、生地そのものがドライクリーニング禁止の表示です。漂白剤とタンブル乾燥(乾燥機)も、ほとんどが禁止です。生地がだめと表示している以上、プリントしたものも同じくだめとお客様に伝えるのが、販売する側の務めだと当社は考えています。
- 洗濯表示の桶のマークの下にある、1本線と2本線の違いは何ですか?
- 線が増えるほど、弱く洗うという意味です。下線1本は洗濯機で弱い洗濯ができる表示で、洗濯機メーカーの解説では標準(普通)コースで洗える目安。下線2本は洗濯機で非常に弱い洗濯ができる表示で、おしゃれ着洗いのコースが目安です。
- 手のマークが入った洗濯表示は、どういう意味ですか?
- 手洗いの表示です。液温40℃を限度として手洗いができる、という意味で、洗濯機では洗えません。動画で確かめたタグでは、ナイロンのジャケットはほとんどが手洗いで、ポリエステル100%でも手洗いのものがありました。
- 同じ型番のTシャツなら、洗濯表示はいつも同じですか?
- 同じとは限りません。同じ型番でも、カラーや原産国、製造時期の違いで表示が変わることがあります。お客様に案内するときは、実際に使う商品のタグを見てください。
- 洗濯表示のことを、お客様にどう伝えればいいですか?
- 最初の段階で、分かりやすく丁寧に伝えるのがいちばんです。口頭で伝えるか、商品に注意書きのメモを添えるとよいでしょう。紙で渡せる案内文の例は「プリントTシャツの洗濯、お客様にどう伝えるか」の記事で紹介しています。
この記事のもとになった動画
【簡単解説】プリント業者が最低限知っておきたい洗濯表示の意味 業者様向けTシャツプリント講座(型番ごとの洗濯表示は動画公開当時に当社の手元にあった商品のもの)
洗濯に強いプリントを、実物で確かめませんか
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※型番ごとの洗濯表示は動画撮影時の当社のサンプルのものです。現在の商品の表示は、実際の商品のタグでご確認ください。
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