作業服屋さんのための
転写プリント入門
作業服や事務服の胸には会社名、背中には会社のロゴ。こうしたご注文の多くは、今も刺繍で対応されていると思います。刺繍はほとんどの生地に縫えて、洗濯の心配も少ない、作業服の定番です。
一方で、作業服屋さんのお客様の中には、転写プリントで社名やロゴに対応されている方も意外と多くいらっしゃいます。この記事では、当社の白トナープリンタと小型DTFで実際に作業服へ社名とロゴを入れた実演をもとに、作り方・作業服ならではのプレスのコツ・内製化のはじめ方をまとめました。小ロットの注文を外注していて、自社でできないかとお考えの作業服屋さんの参考になれば幸いです。
- 作業服の社名・ロゴは刺繍が定番。ただ転写プリントも洗濯に強く、刺繍より手軽で、刺繍では表現しにくいフルカラーのロゴやイラストにも対応できる
- 白トナーは、A4 1枚に社名を26個面付けして印刷し、糊シートと重ねてプレスするだけ。印刷した部分にだけ糊が付くので、カッティングのようなカス取りがいらない
- 小型DTFは、フィルムに印刷して白インクを下に敷き、パウダーと加熱でマークを作る。同じくA4に28個作れた
- 作業服はボタンやポケットが多く、大きなプレス機だとセッティングに時間がかかる。胸の社名には小型のマーキングプレス機が便利
- プリンター1台で、作業服以外のナイロン・綿・ポリエステルのウェアまで、1枚から内製化できる
作業服の社名・ロゴ、刺繍と転写プリントの違い
作業服へのプリントで多いのは、胸の会社名と背中の会社ロゴです。どちらも、これまでは刺繍で対応するのが一般的でした。
それでも転写プリントを取り入れる作業服屋さんが増えているのは、刺繍にはない良さがあるからです。
| 項目 | 刺繍 | 転写プリント(白トナー・小型DTF) |
|---|---|---|
| 対応できる生地 | ほとんどの生地に縫える | 綿・ポリエステル・ナイロンなど幅広い生地 |
| 洗濯 | 心配が少ない | 洗濯に強い(当社資材は洗濯堅牢度5級に近い数値) |
| 表現できるデザイン | 文字・色数の少ないロゴが中心 | フルカラーのロゴ、イラスト、グラデーションもそのまま |
| 手軽さ | 刺繍データの作成、刺繍機の設備が必要 | 印刷してプレスするだけ。小ロット・1枚からでも手間が変わらない |
| 仕上がり | 立体感・高級感がある | 平らで薄く、生地になじむ |
つまり転写プリントは、刺繍の代わりというより「刺繍以外の選択肢」です。刺繍では難しいフルカラーのロゴや、1枚ごとに違う名前の注文を受けられるようになり、今まで外注していた小ロットの注文を自社で内製化する手段にもなります。
白トナーでの作り方
まずは白トナープリンタWTRIP835で、作業服の胸に入れる「㈱クイックアート」の社名を作りました。WTRIP835はA3まで印刷できるプリンターです。
① 抜ける転写紙に反転印刷する
転写紙は、抜ける転写紙のタイプWを使います。デザインを反転して印刷し、今回はA4 1枚に社名を26個面付けできました。胸の社名のような小さなデザインは、1枚にまとめて刷れるので効率的です。

② 糊シートと重ねてプレスし、剥がす
印刷したシートと糊シートを重ね、135℃・約30秒でプレスしてから剥がします(温度・時間は資材の説明書に沿って行ってください)。剥がすと、印刷した部分にだけ糊が残ります。
カッティングシートのように、文字の周りの不要な部分を取り除く「カス取り」がいりません。細い文字の社名でもプレスして剥がすだけで、カス取りが一瞬で終わるイメージです。基本はラミネーターを通してからプレスするのがおすすめですが、今回のような細い文字のデザインなら、ラミネーターなしでも基本的に大丈夫です。

③ 1つずつハサミで切って使う
糊の付いたシートから、使う分だけハサミで1つずつ切り取ってプレスします。使わなかった分は取っておき、追加の注文が来たときにそのまま使えます。動画撮影時の計算では、社名1個あたりの原価はおよそ15円でした。
※原価は動画撮影時の当社試算です。現在の資材代の目安は、白トナーのA4 1枚あたり約374円(転写紙代+印刷代)。デザインの大きさと面付けの数で1個あたりの原価は変わります。
糊付けの作業が多くなってきたら、自動糊付け機ペイスターでA4 1枚約12秒に短縮することもできます。
小型DTFでの作り方
次に、同じ社名のデータを小型DTFのA4機で作りました。DTFは、専用のフィルムにインクで印刷し、パウダーを付けて加熱することでマーク(転写シート)を作る方法です。
- フィルムにCMYKで印刷し、その上に白インクを重ねる(白が下地になるので、濃色の生地にもプリントできる)
- インクが乾く前にパウダーを付け、余分なパウダーを落とす
- ベーキング(加熱)してパウダーを溶かし、マークの完成
小型DTFは印刷スピードがゆっくりで、今回のデザインも印刷に5分以上かかりました。ただ、A4に28個の社名を一度に作れたので、1個あたりの生産時間は短くなります。社名のように小さなデザインを面付けできる注文なら、スピードはそれほど気になりません。
※同じデータを小型DTFで印刷したところ、端の部分が少し切れてしまいました。プリンターによって印刷できる範囲が違うので、面付けは機種の印刷範囲に合わせて調整してください。
完成したマークは、作業服をはじめいろいろな生地にプリントできるのが小型DTFのメリットです。作業服には様々な素材がありますが、撥水加工が強い生地は糊が付きにくいことがあります。撥水加工の作業服を扱うときは、事前にテストしてから受注するのが安全です。
作業服にプレスするコツ
作業服は、Tシャツと違ってボタン・ポケット・ファスナーなど、プレスの「邪魔」になる部分が多い衣類です。大きめのプレス機だと、これらを避けて平らにセットするのに時間がかかります。
家庭用アイロンで押し込む方法もありますが、枚数の多い作業服屋さんの業務には、マーキングプレス機(ワンポイントプレス機)が便利です。
| 項目 | 動画で使ったマーキングプレス機 |
|---|---|
| 作業サイズ | 8×14cm(胸の社名やワンポイントに合う大きさ) |
| 温度表示 | 199℃までのデジタル表示 |
| 重さ | 約9.8kg。軽く、収納・持ち運びがしやすい |
| 価格 | 動画撮影時で4万8千円 |
※価格は動画撮影時のものです。現在の熱プレス機のラインアップは熱プレス機のページをご覧ください。

プレスの手順
- 作業服のプリントしたい場所に、切り取ったマークを置く
- 耐熱テープで位置を固定する(ずれ防止)
- 135℃・約30秒プレスする(白トナー・小型DTFとも同じ方法)
- 完全に冷めてからシートを剥がす
- 仕上げのプレスをして完成
※温度・時間は使用する資材や生地によって変わります。必ず資材の説明書に沿って行ってください。
仕上がりの比較
胸の社名は、明朝体の細い文字でも、白トナー・小型DTFともにきれいに、違和感なくプリントできました。

背中には、フルカラーのロゴをプリントしました。上が白トナー、下が小型DTFです。どちらも白を含めたフルカラーで表現でき、刺繍では難しい色数の多いロゴもそのまま入れられます。

| 項目 | 白トナー | 小型DTF |
|---|---|---|
| マークの作り方 | 印刷→糊シートと重ねてプレス→剥がす | 印刷(白インク込み)→パウダー→ベーキング |
| A4 1枚の面付け(今回) | 社名26個 | 社名28個 |
| カス取り | 不要(印刷部分にだけ糊が付く) | 不要 |
| 印刷スピード | A4 6枚が約1分 | ゆっくり(今回のデータで5分以上) |
| メンテナンス | 不要。長期間使わなくてもOK | インクを使うため、白トナーほど手放しではない |
| 作業服へのプレス | 135℃・約30秒。完全に冷めてから剥がす | |
※白トナーの印刷スピードは当社の測定値です。小型DTFは動画撮影時の機種での結果です。
どちらの方法も、作業服の社名・ロゴには十分な仕上がりです。白トナーとDTF、それぞれのプリンターの詳しい違いは、白トナーとDTFの比較記事もご覧ください。
作業服屋さんの内製化のはじめ方
動画撮影時点で、全国30社近くの作業服関係のお客様が、当社のプリント機器でお仕事をされています。導入されたお客様から多く聞くのは、作業服以外のウェアのプリントの注文が入ってくるようになった、という声です。

ナイロンのコーチジャケット、綿のTシャツ、ポリエステルのウェアなど、幅広い生地へのプリントが1枚から小ロットで受けられるようになります。作業服屋さんの店舗や作業場は限られたスペースだと思いますが、プリンター1台でほとんどの注文を内製化できます。
| そろえるもの | 内容 |
|---|---|
| 白トナープリンタ WTRIP835 | 39万円(税別)。RIPソフト・7年間の無償保証込み。A3まで、メンテナンス不要 |
| 熱プレス機 | プリンター+プレス機で55万円前後からスタート |
| マーキングプレス機 | 胸の社名など、作業服の小さなプリントにあると便利 |
| 量産したい場合 | 自動糊付け機ペイスター(A3機込みで約70万円) |
| 小型DTFを選ぶ場合 | 自社開発のA3対応 小型DTFプリンター 35万円(税別)。製品ページ |
※価格は2026年10月時点の当社販売価格です。動画撮影時はWTRIP835が35万円(税別)、小型DTFプリンタWIP754(A4機)が27万円(税別)でした。
白トナーは2026年10月時点で導入実績800台以上。導入後のサポートも無期限で行っています。作業服関係で、いろいろなプリントに挑戦してみたいという方は、ぜひご相談ください。
よくある質問
- 作業服の社名・ロゴは、刺繍ではなく転写プリントでも大丈夫ですか?
- はい。当社の転写資材は洗濯堅牢度で5級に近い数値が出ており、30〜40回の洗濯テストでも問題が出ていません。刺繍のような立体感はありませんが、フルカラーのロゴやイラストなど刺繍では表現しにくいデザインにも対応できます。
- 白トナーと小型DTF、作業服にはどちらが向いていますか?
- どちらも使えます。白トナーはメンテナンス不要で、印刷部分にだけ糊が付くためカス取りがいりません。小型DTFは白インクを下に敷いたマークをパウダーと加熱で作る方法です。注文量やメンテナンスにかけられる手間で選ぶのがおすすめです。
- 作業服にプレスするとき、ボタンやポケットが邪魔になりませんか?
- 大きなプレス機だとセッティングに時間がかかります。胸の社名のような小さなプリントには、作業サイズ8×14cmほどのマーキングプレス機が便利です。軽くて収納もしやすいです。
- 撥水加工の作業服にもプリントできますか?
- 撥水加工が強い生地は、糊が付きにくい場合があります。白トナーの対応生地は綿・ポリエステル・ナイロン(撥水加工なし)です。撥水加工の作業服は、無償サンプルで事前に試してから受注してください。
- 内製化するには、何をそろえればよいですか?
- プリンターと熱プレス機があれば始められます。WTRIP835は39万円(税別)で、RIPソフトと7年間の無償保証込み。プレス機込みで55万円前後からスタートできます。作業服の胸の社名には、マーキングプレス機があると作業が楽になります。
この記事のもとになった動画
全国の作業服屋さんに知って欲しい転写プリントの方法 業者様向けプリント講座(2025年公開。価格・実績は撮影当時のもの)
作業服の社名・ロゴを、自社でプリントしませんか
無償サンプルをお送りしています。東京・大阪・福井でデモ体験、
オンラインでの個別説明(30分程度)も受け付けています。
※本記事の価格・実績は2026年10月時点の情報です。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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