パーカーの
ポケット・フード・段差に
プリントする方法
「正面の真ん中だけ」から一歩先へ
パーカーへのプリントというと、胸や背中の真ん中が定番です。ところが東京ショールームに来られたお客様から、「ポケットやフードにもプリントできますか?」というご質問をいただきました。普段頼んでいるネットの大手プリント会社では、正面の真ん中しかできないと言われたそうです。
結論からいうと、ポケットもフードも少しの工夫でプリントできます。この記事では、白トナープリンターで実際に刷りながら、うまくいく方法とやってはいけない場所まで、写真つきでご紹介します。

- 熱転写のコツは、プリントしたい場所を、プレス機の中でいちばん高くすること
- 縫い目やポケットのふちで低くなる場所は、ラバースポンジマットを中に敷いて高さをそろえれば、正面と同じようにプリントできる
- フードは真ん中の縫い目を避けて、左右どちらかの面にプリントする。ボタンやひもはプレス台の外へ逃がす
- ポケットのふちなど段差をまたぐ柄は、できるが少し圧が弱くなる。洗濯テストをしてから商品化を
- ポケットの口(生地が分かれているすき間)をまたぐのはNG。そこから破れてしまう
ポケットやフードへのプリントが難しい理由
Tシャツやパーカーへのプリント(DTF・白トナー転写・ラバーシートなど)は、熱と圧力で転写する方法です。プレス機の熱板は平らなので、生地も平らなほど、どこにも均等に圧がかかります。
ところがパーカーには、平らではない場所がたくさんあります。
| 場所 | 平らにならない理由 |
|---|---|
| ポケットのまわり | ポケットのふちが縫い付けられていて、まわりより少し高くなっている。内側は逆に低い |
| フード | 真ん中に縫い目があり、その部分が盛り上がる。ひもやボタンも当たる |
| ポケットと身頃の境目 | 生地が重なって段差ができる |
高いところだけに熱板が当たり、プリントしたい場所に圧がかからないと、転写不良や、洗濯ではがれる原因になります。大手のプリントサービスが「正面の真ん中だけ」にしているのは、こうした失敗を避けるためでもあります。
使ったものとプリントの準備
| 使ったもの | 内容 |
|---|---|
| パーカー | ユナイテッドアスレ 5214-01(黒) |
| プリンター | 白トナープリンター WTRIP835(A3まで印刷できる当社オリジナル商品) |
| 転写紙 | 抜ける転写紙 タイプW(印刷するシート+糊のシートの2枚1組) |
| プレス機 | 手動プレス機。糊付けは130℃・30秒・強めの圧 |
| 下敷き | ラバースポンジマット(段差をなくすために使う) |


- 転写紙に印刷するデザインを、タイプWの印刷用シートに印刷します。
- 糊のシートと重ねてプレスする印刷したシートと糊のシートを重ね、130℃・30秒・強めの圧でプレスします。
- 糊のシートをはがすはがすと、印刷したところだけに白い糊がつきます。カッティングシートでいう「カス取り」が、はがすだけで終わるイメージです。この白い糊のおかげで、黒い生地でも色がきれいに出ます。
- まわりを切るデザインのまわりを、はしから3mmほど残してハサミで切ります。残った紙は燃えるゴミで捨てられます。
※プレス条件は当社のプレス機での一例です。他社のプレス機でも多くの実績がありますが、機種によって調整が必要な場合があります。
うまくいく基本ルール「いちばん高くする」
これだけ覚えておけば、ポケットでもフードでも考え方は同じです。高くなっていなければ、ラバースポンジマットなどを生地の中に敷いて持ち上げます。逆に、関係ない縫い目やボタンはプレス台の外へ出しておきます。

ポケットにプリントする
ポケットは、ふちが縫い付けられていて少し高く、プリントしたい内側が低くなっています。そのまま熱板を下ろすと、ふちにばかり圧がかかります。
- ポケットの裏にラバースポンジマットを入れるパーカーの内側から、プリントしたい部分の下にマットを敷きます。
- 生地だけを1回プレスする(事前プレス)転写紙をのせる前にプレスして、生地をフラットにします。マットの跡が生地にくっきりつけば、きちんと圧がかかっている証拠です。
- 転写紙をのせて本プレスパーカーは生地が厚いので、130℃・30秒ほどでプレスします。
- 完全に冷めてからはがす熱いうちにはがさず、しっかり冷ましてから転写紙をはがします。


フードにプリントする
フードは、真ん中に縫い目があります。今回はその縫い目を避けて、左右どちらかの面にプリントしました。
- 関係ない部分をプレス台の外に出すボタンやひも、もう片方の面など、プリントしない部分は熱板が当たらないよう外へ逃がします。
- 縫い目の段差をマットで埋める縫い目が高くなるので、フードの中にマットを入れて、プリントする面がいちばん高くなるようにします。
- 130℃・30秒でプレスし、冷めてからはがす手順はポケットと同じです。

応用:段差をまたいでプリントする
次は少しレベルが上がります。段差そのものの上にデザインをのせるケースです。お客様からも「この段差をまたいで刷れますか?」とよく聞かれるので、失敗覚悟で試してみました。
ケース1:ポケットのふち(縫い目の段差)をまたぐ → できるが注意
ポケットのふちは縫い付けられて高くなっていますが、生地はつながっています。シールを貼るイメージでいうと、段差のきわに少しすき間ができますが、貼ること自体はできます。


ただ、段差のきわはどうしても圧が少し弱くなります。見た目は問題なくても、洗濯への強さは平らな場所より落ちるかもしれません。段差の大きさは製品ごとに違うので、商品にする前に必ず洗濯テストをしてください。
ケース2:ポケットの口(生地が分かれているすき間)をまたぐ → NG
ポケットの入り口は、生地と生地が分かれています。ここをまたいでプリントすると、プリント自体はできても、すき間の部分で吸いつきが足りず、ふちがギザギザに荒れてしまいました。
| 場所 | 判定 | ポイント |
|---|---|---|
| ポケットの上 | ◎ | マットで段差をなくせば、正面と同じ品質 |
| フードの片面 | ◎ | 真ん中の縫い目を避け、ボタン・ひもは台の外へ |
| ポケットのふち(縫い目)をまたぐ | △ | できるが圧が弱くなりやすい。洗濯テスト必須 |
| ポケットの口(すき間)をまたぐ | × | ふちが荒れ、そこから破れる。やらない |
※段差をまたぐプリントは、メーカーとしておすすめしづらい使い方です。お客様ご自身のテストで、商品にできるかを判断してください。
小ロットのお店が「特殊な場所」を売りにする理由
ネットのオリジナルプリントサービスでは、量産の効率を考えて、フードやポケットなど手間のかかる場所は対象外にしていることがよくあります。
逆に言えば、1枚から小ロットで作るお店にとっては差別化のチャンスです。「フードにも刷れます」「ポケットに合わせたデザインもできます」と伝えるだけで、ほかのお店との違いがはっきりします。

印刷した転写紙と糊のシートを合わせてプレスするだけで、カス取りなしでマークが作れます。黒い生地でも白がしっかり出て、生地の色に負けない発色です。洗濯にも強いので、トレーナーやパーカーの商品づくりに使いやすい方法です。
よくある質問
- パーカーのポケットにもプリントできますか?
- できます。ポケットはふちが縫い付けられていて高く、内側が低くなっているので、パーカーの中にラバースポンジマットを敷いて高さをそろえてからプレスします。そうすれば正面と同じようにプリントできます。
- フードにプリントするときの注意点は?
- フードは真ん中に縫い目があるので、それを避けて左右どちらかの面にプリントします。ボタンやひもなど関係ない部分はプレス台の外に出し、縫い目の段差はマットを入れて埋めてください。
- ポケットのふちをまたいでプリントしても大丈夫ですか?
- 縫い目の段差をまたぐプリントは可能ですが、段差のきわは圧が弱くなりやすく、洗濯への強さが平らな場所より落ちる場合があります。商品にする前に必ず洗濯テストをしてください。ポケットの口のように生地が分かれているすき間をまたぐのは、そこから破れるのでおすすめしません。
- パーカーのプレス条件は?
- 今回の白トナー転写(タイプW)では、130℃・30秒でプレスし、完全に冷めてからはがしました。パーカーは生地が厚いので、Tシャツより少ししっかりめに熱と圧をかけるのが基本です。
この記事のもとになった動画
【解説】パーカーの特殊な部分にプリントする方法 業者様向け白トナープリント講座(約15分)
パーカーやトレーナーのプリント、
実物を見て確かめませんか
ポケットやフードにプリントしたサンプルも、ショールームで手に取ってご覧いただけます。
東京・大阪・福井でのデモ体験、オンラインでの個別説明、無料サンプルの送付も受け付けています。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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