DTFのメンテナンスと
インク代。クリーニングの
費用と10日放置の実験
インクジェットのDTFプリンターは、白インクの性質上、定期的なクリーニングが欠かせません。クリーニングのたびにインクが減り、廃インクも溜まります。印刷代とは別にかかる、いわば「見えないコスト」です。
この記事では、当社が公開してきた3本の動画をもとに、クリーニング1回でいくらかかるのか(小型A4機の実測)、10日間放置するとどうなるのか(小型A3機の実験)、ロール式DTFで毎日やっている掃除(P300S)をまとめました。導入を考えている方は維持費の見積もりに、導入済みの方は日々の運用の見直しにお使いください。
- DTFは作業の前にクリーニングが必要。インクと廃インクボックスを消費するので、印刷代とは別の維持費として見込んでおく
- A4機の実測(2022年)では強力1回で約400円、通常3回で約300円。現在は白インクの改良もあり、商品ページの目安は通常約100円・強力約200円
- 10日間放置したA3機は、CMYKは問題なし、白は網目状。通常のクリーニング3回では直らず、洗浄液でクリーニングしたら回復した
- 1週間以上使わないときは洗浄カートリッジ(ロール機は洗浄用ダンパー)に入れ替えておくほうが、結果的にクリーニング回数もインク代も少なく済む
- ロール機は毎営業日のクリーニングと、作業後のワイパー・インクキャップの掃除が長持ちのポイント。白インクは作業前に撹拌する
なぜDTFはクリーニングが必要なのか
DTFのインクは、使わずに置いておくと下に沈んで、プリンターヘッドやその周りで固まっていきます。特に白インクは固まりやすく、ノズルが詰まると白が網目状にかすれたり、出なくなったりします。これはDTFに限らず、白インクを使うインクジェット全般(ガーメントプリンターなど)に共通する性質です。
そこで、作業の前にプリンターのヘッドクリーニングを行い、インクを流してノズルの詰まりを解消します。クリーニングではインクを使い、使ったインクは廃インク(メンテナンス)ボックスに溜まります。インク代と廃インクボックス代が、クリーニングのコストです。
また、インクジェット系のプリンターは気温の低い冬場にトラブルが起きやすくなります。この記事の動画も、2022年6月・2025年夏・2026年1月(冬)と季節が違うので、あわせてご覧ください。
※この記事では、当社の小型DTF(A4機・A3機)とロール式DTF(Trans Jet DTTS-P300S)を分けて書いています。小型DTFのA3機は、2026年7月からプリンター本体の販売を見合わせています。A3機の内容は撮影時の情報としてご覧ください。
クリーニング1回でいくら?(A4機の実測)
2022年6月の動画では、小型DTF A4機でクリーニング前後のインク残量と廃インクボックスの空き容量をパソコンの画面で見比べ、1回あたりの金額を計算しました。クリーニングには「強力クリーニング」と「通常クリーニング」の2種類があります。

| 項目 | 強力クリーニング1回 | 通常クリーニング3回 |
|---|---|---|
| かかった時間 | 約3分40秒 | 1回約3分30秒×3回=約10分30秒 |
| インクの消費 | 各色約15%(満タン1色12ml・約300円)→ 約225円 | 強力1回より25%ほど少ない |
| 廃インクボックス | 6回ほどで満タンの印象。900円÷6回=約150円 | (インク代と合わせて計算) |
| 合計の目安 | 約400円 | 約300円(1回約100円) |


動画のまとめは、「A4機は作業前に400円〜の消費コストが発生するイメージ」。さらに、白の出を確かめるテスト印刷にもフィルムを使います。撮影時はA4フィルム1枚120円で、テスト印刷でその3分の1ほどを使うため、多めに見てプラス100円くらい。テスト印刷まで含めると、印刷を始めるまでに約500円かかる計算でした。
現在の目安(2026年10月時点)
2022年の動画のあと、A4機は2023年1月からの新しい白インクで詰まりが改善されました(商品ページより)。現在の商品ページでは、次の目安を案内しています。
| 機種 | クリーニング1回の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| A4機(WIP754R) | 通常 約100円/強力 約200円。作業前に強力1回+通常1〜2回程度 | 2026年10月時点の商品ページ |
| A3機(WIP A3) | 洗浄液カートリッジで1回 22円/CMYK白カートリッジで1回 68円 | 2026年10月時点の商品ページ |
| A3機(WIP A3) | ヘッドクリーニング約2分、1回のインクコスト 40〜50円ほど。A4機より消費が少ない | 2026年1月の動画 |
消耗品の価格(2026年10月時点・税込)は、A4機用インクがCMYK 200ml 5,500円・白 200ml 6,380円、WIP754R用の廃インクメンテナンスボックスが990円、A4印刷フィルムが100枚13,200円です。最新の価格は消耗品のページでご確認ください。
※クリーニングの回数とインクの減り方には、プリンターの個体差や使う環境で差があります。動画の数字は、当社の機械で撮影時に測った目安です。
作業前のクリーニングの手順(小型DTF)
2022年の動画で紹介したA4機のルーティンは、作業前に通常クリーニングを3回して、白の出方を確かめる、白の出が悪ければさらにクリーニングする、というものでした。前回から1週間以上空いた場合も、だいたい同じルーティンで対処していました。

現在のA4機(新しい白インク)では、商品ページで作業前に強力1回+通常1〜2回程度と案内しています。どちらの場合も、クリーニングのあとはノズルチェックやテスト印刷で白の出方を確かめてから本番の印刷に入るのが基本です。
| 観察されたこと(2022年の動画) | 運用のヒント |
|---|---|
| 2週間放置しても、毎日使っても、作業前のクリーニング回数にはあまり差がない印象 | 使う間隔に神経質になりすぎず、作業前のクリーニングは必ず行う |
| 作業を止めて数時間〜1日で、必要なクリーニング回数に差は出るが、どちらにしても必要 | 印刷はできるだけまとめて行うほうが、1枚あたりのクリーニング代は小さくなる |
| 白の出が影響するのは、主に濃色の生地。白Tシャツなら白の上塗りの影響は少ない | 白Tシャツ中心か、黒・濃色中心かで、白の出をどこまで求めるかが変わる |
| 強力クリーニングはインクと廃インクの消費が多い | 強力は白の出が悪いときだけ。続けて何度も行わない(動画では、プリンターメーカーの案内として強力クリーニングの間は12時間ほど空けると説明) |
それでも白の出が改善しない場合は、無理をせず当社にご相談ください。A4機は、放置後もクリーニングで復活するケースが多い一方、まれに復活しない場合があり、そのときは本社にお送りいただいてクリーニング・修理(有償)で対応しています。使用頻度にもよりますが、半年〜1年程度でヘッド周りのクリーニングや修理が必要になることもあります(商品ページより)。
10日間放置するとどうなる?(A3機の実験)
2026年1月の動画では、年末年始の休みを使って、小型DTF A3機を12月25日から1月5日まで約10日間動かさずに置き、そのあとの印刷とメンテナンスを記録しました。A3機は普段、週に1回のクリーニングを推奨し、1週間以上使わないときは洗浄液のカートリッジをセットするよう案内していますが、今回はあえてCMYK・白のインクを入れたまま放置しています。
| 段階 | 結果 |
|---|---|
| クリーニングせずに印刷 | CMYKは出ている。白は少しかすれる程度で、ほとんど出ていない |
| 通常クリーニング1回 | 白が出るようになったが、縦横のラインが入った網目状。0回と1回では大きな違い |
| 2回目 | 網目が少し改善。ただし完璧ではない |
| 白インクを満タンにして3回目 | 2回目から多少よくなった程度。大きな改善は少ない |
| 白の位置に洗浄液をセットして2回クリーニング → 白インクに戻して1回クリーニング | 網目がなくなり、白がしっかり出た |


決め手になったのは洗浄液です。インクは沈んでヘッドの周りで固まりますが、洗浄液は固まりません。洗浄液でクリーニングすると、ヘッドや周りで固まったDTFインクが取れて、インクの出が改善します。なお、カートリッジをセットしただけではヘッドまでインクが回らないので、白インクに戻したあとは必ず1回クリーニングしてください。


この実験から分かったこと
- 1週間以上使わないときは、洗浄カートリッジをセットして置くのがいちばん。交換は慣れれば数分で、次に使うときのクリーニング回数が減るので、時間もインク代も節約になる
- うっかり長く放置して白が出ないときは、洗浄カートリッジでクリーニングすると解決する場合がある
- カートリッジの中のインクは多めに入っているほうが出がよいので、クリーニングや印刷の前は多めに
- 冬は気温が低く、インクが固まりやすい。夏は比較的固まりにくい
- いろいろ試しても戻らない場合は、福井本社に送れば点検・修理する。A3機は宅急便で送れるサイズなので、対応が比較的早い
※A3機は2026年3月以降、「未使用時は洗浄カートリッジへ交換する」運用に変わっています(商品ページより)。2026年7月からプリンター本体の販売を見合わせています。A4機(WIP754R)は洗浄液には対応していません。
ロール式DTF(P300S)の定期的な掃除
小型DTFとは別に、当社が取り扱っている最大330mm幅のロール式DTF「Trans Jet DTTS-P300S」のメンテナンスも紹介します。2025年8月の動画で、東京ショールームに設置して約1か月半、実際に続けてきたことをまとめたものです(撮影は夏)。
| タイミング | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 毎営業日 | 本体のCLEANINGボタンを押す(約30秒) | 印刷しない日も押す。長くクリーニングしないとノズルが詰まり、ヘッド交換になってしまう。やりすぎも消耗になるので基本は1回 |
| 1日の作業後 | ヘッドを左に移動させ、ゴム製のワイパーとインクキャップを掃除 | 蒸留水で濡らした綿棒やペーパーで拭き、インクの塊を防ぐ |
| 1日の作業後 | キャリッジの底面と、フィルムが通る台をペーパータオルなどで拭く | インク周りを清潔に保つことが、長く使うポイント |
| 印刷前 | ノズルチェック(Checkボタン)。白インクのパウチを振って撹拌 | 白はCMYKより固まりやすく、下に濃いインクが溜まる。撹拌すると白が安定する |
| インク交換後 | RIPソフトのLoad Inkでインクをヘッドまで循環させる | 10秒程度でよい。インクを新しくしたときは必須 |
| 白だけ弱いとき | 白インクのヘッド(H2)だけを、弱・中・強の3段階でクリーニング | CMYKのインクを無駄にしない。ただしやりすぎはヘッドとインクの消耗になる |
| 白がずれるとき | RIPソフトのヘッド補正で調整 | 白の上塗りやCMYKのずれを直せる |
| 週に1回以上 | 何かしら印刷する(ノズルチェックでもよい) | インクを動かしておく |
| 1週間など長く使わないとき | 専用の洗浄用ダンパーに入れ替える | 手順は導入時にご案内 |




動画では、ワイパーやキャリッジ底面の掃除を正直なところ週1回くらいしかできていなかったと話しています。メーカーとしては毎回の掃除が推奨で、夏場の撮影時点では週1回でも回っていましたが、冬になるとインクがより固まりやすくなり、週1回では足りなくなる可能性があります。プリンターヘッドは消耗品で、普通に使えば長く使えますが、管理不足でだめにしてしまうともったいない、というのが動画のまとめです。
※P300Sの本体価格は、2026年10月時点の商品ページでは「お問い合わせください」となっています。専用洗浄液は2000mlで17,600円(税込)です(同時点の商品ページ)。
維持費を抑える運用のコツ
3本の動画に共通するポイントを、機種を問わず使える運用のコツとして整理しました。
| コツ | 理由 |
|---|---|
| 作業前のクリーニングは決めた回数で行い、ノズルチェックで判断する | 回数を決めておくと迷わない。強力クリーニングは必要なときだけにすると、インクと廃インクボックスの消費を抑えられる |
| 使わない期間は洗浄カートリッジ・洗浄用ダンパーに入れ替える | インクが固まらず、次に使うときのクリーニング回数が減る(A3機・P300S) |
| 印刷はまとめて行う | 作業前のクリーニング代は、1回の作業で刷る枚数が多いほど1枚あたりが小さくなる |
| 白インクは撹拌し、多めに入れておく | 白は沈みやすく固まりやすい。残量が多いほうが出がよい |
| 作業後にインク周りを拭く | ワイパー・キャップ・キャリッジにインクの塊を作らないことが、ヘッドを長持ちさせる |
| 冬は早めに手を打つ | 気温が低いとインクが固まりやすく、トラブルが増える |
| 直らないときは無理をしない | 自分でヘッドを外すと、ケーブルの接続ミスなどでより深刻な故障になるリスクがある。当社に送れば点検・修理で対応 |
白トナーとの違いと注意点
当社は白トナープリンタとDTFプリンターの両方を販売しています。メンテナンスの面では、トナー(粉)を使う白トナープリンタにはインクジェットのようなクリーニングのコストがありません。動画でも「クリーニングのコストが気になる方には白トナーがおすすめ」と話しています。
一方で、DTFには革・木材・水着など、白トナーでは難しい素材にもプリントできる、カス取りが不要、フィルムなどの消耗資材のコストを抑えられる、といった強みがあります。作業工程やメンテナンスの手間は白トナーより増えますが、それは製法の違いであって、どちらが上というものではありません。素材の幅を優先するならDTF、メンテナンスを最小限にして衣類中心に効率よく作りたいなら白トナー、というのが当社の考え方です。
- 動画の数字は撮影時のもので、インクの種類・価格・運用方法は変わっています。A4機は2023年1月からの新しい白インクで詰まりが改善されています。
- クリーニングの回数やインクの減り方にはプリンターの個体差があります。
- 小型DTF A3機は2026年7月からプリンター本体の販売を見合わせています。
よくある質問
- DTFプリンターのクリーニングには、1回いくらかかりますか?
- 2022年に小型DTF A4機で測ったときは、強力クリーニング1回で約400円(インク約225円+廃インクボックス約150円)、通常クリーニング3回で約300円でした。現在のA4機(WIP754R)の商品ページでは、通常約100円・強力約200円が目安です。A3機は洗浄液カートリッジで1回22円、CMYK白カートリッジで1回68円と案内しています。
- クリーニングは毎回必要ですか?
- 小型DTFは作業の前にクリーニングを行うのが基本です。現在のA4機では強力1回+通常1〜2回程度が目安で、そのあとノズルチェックやテスト印刷で白の出方を確かめます。ロール式のP300Sは、印刷しない営業日も1日1回クリーニングボタンを押します。
- しばらく使わないと、どうなりますか?
- 小型DTF A3機を10日間インクを入れたまま放置した実験では、CMYKは問題なく出ましたが、白は通常のクリーニング3回でも網目状でした。白の位置に洗浄液をセットしてクリーニングし、白インクに戻して1回クリーニングすると、白がしっかり出るようになりました。
- 長期間使わないときはどうすればいいですか?
- A3機は1週間以上使わないとき、全色を洗浄カートリッジに入れ替えておくのが推奨です。ロール式のP300Sは専用の洗浄用ダンパーに入れ替えます。次に使うときのクリーニング回数が減るので、時間とインク代の節約になります。A4機は洗浄液に対応していないため、定期的なクリーニングや印刷で対応します。
- ロール式DTFでは、毎日どんな掃除をしますか?
- P300Sでは、毎営業日のクリーニングボタン(約30秒)に加えて、1日の作業後にワイパーとインクキャップを蒸留水で濡らした綿棒などで拭き、キャリッジの底面も掃除します。印刷前はノズルチェックと白インクの撹拌、インク交換後はLoad Inkでインクを循環させます。
- メンテナンスの手間をかけたくない場合は?
- トナーを使う白トナープリンタには、インクジェットのようなクリーニングのコストがありません。衣類中心でメンテナンスを最小限にしたい方は白トナー、革・木材・水着など素材の幅を優先したい方はDTFが向いています。ショールームで両方を比べられます。
この記事のもとになった動画
【実証】小型DTF A3機を10日間放置した後の印刷とメンテナンス(2026年1月13日公開。A3機は2026年7月から販売見合わせ)
DTFプリンターの定期的に行う掃除・メンテナンスについて P300S 業者様向けTシャツプリント講座(2025年8月7日公開)
【インク代】A4機DTFプリンター運用でのクリーニングによるインク代について(2022年6月13日公開。価格・インクは当時のもの)
維持費まで含めて、機種を選びませんか
小型DTF・ロール式DTF・白トナープリンタを、東京・大阪・福井のショールームで比べられます。
無償サンプルのお申し込みや、維持費を含めたお見積りもお気軽にどうぞ。
※本記事の価格は2026年10月時点の情報です。動画内の価格・計算は撮影時のものです。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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