白トナープリントの
プレス温度と時間
綿・ポリ・ナイロン
「綿は何度で何秒ですか?」「ポリは?」「ナイロンは?」。抜ける転写紙(白トナープリント)をお使いのお客様から、いちばん多くいただく質問です。大きくは変わらないのですが、厳密には生地ごとにおすすめの条件と、気をつける点が違います。
この記事では、現行の説明書の条件と、2021年の動画で解説した生地ごとの考え方を並べて整理しました。あわせて、手元の他社プレス機で糊付けがうまくいかないときの対処法(2024年の動画)もまとめています。
- 現行の説明書の基準は135℃。綿Tシャツは135℃・20〜30秒で転写し、冷めてから剥がして135℃・15〜20秒で仕上げ。厚手は135℃・40秒
- ポリエステルは125℃・15秒。熱による変色でプレス跡が残りやすいので、温度を下げる
- ナイロンは熱で縮む。動画のおすすめは低めの115℃・20秒、そして事前に生地だけをプレスして縮ませておく
- 付きが弱いときは、温度は上げすぎず、時間で調整する(上げすぎると余計な部分にも糊がつく)
- 他社プレス機で糊付けがうまくいかないときは、ラミネーター・強い圧力・マット・剥がし方の4つを見直す
温度と時間の基本的な考え方
抜ける転写紙のマークは、白い部分が糊になっています。この糊は熱を帯びると溶けて、生地の繊維の奥に入っていき、冷えると固まります。固まったあとに裏紙を剥がすと、マークが生地に定着している、というしくみです。

ここで大事なのは、温度をむやみに上げないことです。温度が高すぎると、いらない部分にまで糊がついてしまうことがあります。熱量が足りないと感じたときは、温度ではなくプレス時間を延ばすのが基本です。

生地別の温度と時間(現行の説明書と動画)
2021年の動画の数字と、2026年10月時点で抜ける転写紙の商品ページから案内している説明書(製作手順、2025年3月版)の数字を並べました。違う場合は、現行の説明書を正としてください。
マーク作り(糊付け)
| 工程 | 現行の説明書(正) | 2021年の動画 |
|---|---|---|
| 糊付け(MPシートとプラスターシートを表裏プレス) | 135℃ A4:表裏20〜30秒 A3:表裏30〜40秒 | 130℃・30秒 |
| ベタの多いデザインでうまく抜けないとき | 温度を5℃ほど高め、時間を10秒ほど長く | — |
生地への転写
| 生地 | 現行の説明書(正) | 2021年の動画 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 綿(Tシャツ生地) | 135℃・20〜30秒 | 130℃・20〜30秒 | プレス跡は繊維の折れなので洗濯で消える |
| 綿(スウェットなど厚手) | 135℃・40秒 | 130℃・30〜40秒 | 繊維が詰まっているので時間を長めに |
| ポリエステル | 125℃・15秒 | 120〜130℃・20〜25秒(一般的なドライTは120℃・20秒でOK) | 熱による変色でプレス跡が残る。低めの温度で |
| ナイロン | 専用の数値の記載なし | 115〜130℃・15〜25秒(おすすめ115℃・20秒) | 熱で縮む。事前プレス(115℃・10秒)が必須 |
| 仕上げプレス(裏紙を剥がしたあと) | リケイ紙を乗せて135℃・15〜20秒 | — | 完全に冷めてから裏紙を剥がす |
※説明書の転写条件は「綿のTシャツ生地」を想定した設定値で、ポリエステルや厚手の生地は生地に合わせて調整するよう案内しています。また「125℃に耐えられる布地であれば圧着可能」「熱プレス機に表示される温度と実際の表面温度に差がある場合があるので、十分にテストを」とも書かれています。ペイスターで糊付けする専用シート(Type-P)の転写条件は135℃・12秒です(ペイスターの商品ページ)。

綿:生地の厚みで時間を変える
綿には、普通のTシャツ生地と、スウェットのような厚手の生地があります。綿は種類が多いので、厚いか、厚くないかで判断してください。

厚手の生地は繊維が詰まっていて、糊が入っていくすき間が少ないため、Tシャツと同じ時間では足りないことがあります。時間を長くかけることで糊がしっかり溶け、繊維どうしのすき間に定着します。動画では、スウェットを35秒、Tシャツを25秒くらいでプレスしていました。
プレス跡が気になる場合
綿につくプレス跡は、生地の繊維が折れてできるもので、洗濯していくうちに消えていきます。それでも、お客様に最初にお渡しするときに跡が気になる場合は、動画では温度を125℃くらいまで下げる方法を紹介しています。ただし、120℃くらいまで下げると綿では糊の溶け方が足りなくなることがあります。プレス跡の考え方はプレス跡を目立たなくする方法でも詳しく説明しています。
ポリエステル:プレス跡に注意して低めに
ポリエステルは表面がさらっとしていて、綿のような毛羽立ちがほとんどないため、抜ける転写紙は転写しやすい生地です。そのかわり、プレス跡がつきやすく、残りやすいのが注意点です。

綿のプレス跡は繊維の折れですが、ポリエステルのプレス跡は熱による変色なので、洗濯しても消えません。温度を下げると跡が目立ちにくくなります。現行の説明書の目安は125℃・15秒です。動画でも、一般的なドライTシャツなら120℃・20秒くらいで大丈夫と話しています。
マーク作りと同じ温度のまま転写しても、転写そのものは基本的に問題ありません。生地の色がにじむ再昇華(ブリード)は150℃を超えるあたりが目安とされているので、抜ける転写紙の温度帯ではまず起きません。生地によっては115℃で試してみてもよい、と動画では話しています。
ナイロン:縮みを防ぐ低温と事前プレス
ナイロンは綿やポリよりもさらに表面がつるっとしていて、いちばん転写しやすい生地です。温度や時間でそれほど悩む必要はありません。いちばんの特徴は、熱をかけると生地が縮むことです。
「ナイロンは溶けませんか?」というご質問もいただきますが、120℃くらいでナイロンの生地が溶けることはありません。ただし縮みます。生地へのダメージを減らすには温度を低くするのが効果的で、動画でのおすすめは115℃・20秒です。130℃でもプレスはできますが、115℃より縮みが大きくなります。
事前プレスは必須
生地が縮みながらマークがくっつくと、仕上がりがよれてしまいます。マークを乗せる前に、生地だけを115℃・10秒ほどプレスして、先に縮ませて柔らかくしておきます。いきなりマークをプレスしないように注意してください。
他社プレス機でうまくいかない時の対処法
抜ける転写紙は、印刷したシートと糊のシートを合わせてプレスし、熱いうちに剥がして印刷した部分だけに糊をつける工程(糊付け・トリミング)があります。この工程には、プレス機に次の3つが求められます。

当社のプレス機なら基本的に問題ありませんが、すでに別のプレス機をお持ちで、予算の都合などで買い替えが難しい方も多いと思います。当社では導入をご検討の方に転写紙をお送りして、お手元のプレス機でできるか事前に確かめていただいています。そのうえでうまくいかないときに試していただきたいのが、次の4つです(2024年3月時点の、一般論としての説明です)。
| 対処 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| ① ラミネーターを通す | 2枚のシートを合わせて、ホットラミネーターに通してからプレスする | 温めながら空気を抜き、仮圧着しておく |
| ② 圧力をできる限り強くする | 最初の相性テストでは、まず圧力を最大限に | 圧力不足で失敗するケースが多い |
| ③ マットを使う | ラバースポンジマットとヒートバリアマットを敷く | 圧力を補い、熱板の凸凹による圧力ムラを減らす |
| ④ 剥がし方を見直す | プレス台の上で、熱いうちに、ずらすように剥がす | 冷めると糊がうまく分かれない |
① ラミネーターを通す
ホットラミネーターに通すと、熱を加えながら2枚のシートの間の空気が抜け、仮圧着された状態になります。そのあとのプレスで糊が付きやすくなり、よくある失敗を防げます。現在の説明書では、この工程を標準の手順(②ラミネーターに通す)に入れています。

- 市販のホットラミネーターの8割以上で代用できます(動画での説明)。1万円程度で用意できます
- 設定はいちばん厚いモードで(125μmが目安)
- 通したあとは時間を置かずにプレスへ。5〜10分なら問題ないこともありますが、1時間ほど置くと仮圧着が剥がれてきます
※当社で販売しているラミネーター(LFA34AR、11,000円・税込)では、モードを「3」に設定し、転写紙を通す前と後にクリーニングシートを2〜3回通すよう案内しています。抜ける転写紙での使用はラミネーターのメーカー推奨の使い方ではないため、消耗品とお考えください。
② 圧力をできる限り強くする
うまくいかないプレス機は、圧力が足りないことが多いです。最初の相性テストでは、できる限り圧力を強くしてみてください。

③ ラバースポンジマットとヒートバリアマットを使う
ラバースポンジマットは、プレス台に敷いてその上に転写紙を置きます。普通のゴムとは違って反発力があるので、圧力をかけたときに紙にしっかり圧がかかります。

もう1枚はヒートバリアマットです。熱板(上ゴテ)は、どのプレス機もそれほど真っ平らではなく、凸凹が大きいと圧力ムラになります。ヒートバリアマットは、この凸凹による圧力ムラを減らします。断熱効果があるので、温度は通常より5℃ほど高く、時間も5〜10秒ほど長めにします(動画では135℃のところを140℃に設定)。

| 資材 | サイズ | 価格(税込・2026年10月時点) |
|---|---|---|
| ラバースポンジマット(厚さ約3mm) | M 22×32cm/L 32×44cm/XL 40×50cm | 2,090円/4,180円/5,610円 |
| ヒートバリアマット(厚さ約1mm) | 44×31cm/31×22cm | 3,982円/1,991円 |
マットの使い分けはウェアプリントでのマットの使い方でも紹介しています。
糊付け後の剥がし方
プレス自体はうまくできていても、剥がし方で失敗することがあります。2024年の動画で紹介しているポイントは4つです。

- 両手の親指と人差し指で転写紙をつかむ
- 必ずプレス台の上で剥がす(冷めないように)
- 時間を置かず、すぐに剥がし始める
- 剥がすというより、横に「ずらす」感覚で
きれいに糊がついたら、そのプレス機で白トナープリントができる、と判断できます。それでも難しい場合は、ここまでの4つ(ラミネーター・圧力・マット・剥がし方)をもう一度見直してみてください。

注意点
これからプレス機を用意する方には、当社のスイング式プレス機 JL-PL003BⅡ(作業台40×50cm、176,000円・税込)などをおすすめしています。当社のスタッフも同じプレス機で作業しているので、トラブルのときに具体的なアドバイスができます。安価なプレス機との違いはAmazonの格安プレス機と業務用プレス機の違いで詳しく比べています。
よくある質問
- 抜ける転写紙を綿のTシャツにプレスするときの温度と時間は?
- 現行の説明書(2025年3月版)では、綿のTシャツは135℃で20〜30秒プレスし、完全に冷めてから裏紙を剥がしたあと、リケイ紙を乗せて135℃で15〜20秒の仕上げプレスをします。スウェットなど厚手の生地は135℃で40秒が目安です。2021年の動画では130℃で紹介していましたが、現在は説明書の135℃を基準にしてください。
- ポリエステルは何度で何秒ですか?
- 現行の説明書では、ポリエステル生地は125℃で15秒が目安です。ポリエステルはプレス跡がつきやすく、熱による変色なので洗濯しても落ちません。温度を下げるとプレス跡が目立ちにくくなります。生地の色がにじむ再昇華(ブリード)は150℃を超えるあたりが目安とされるため、抜ける転写紙の温度帯では基本的に心配ありません。
- ナイロンは何度で何秒ですか?
- 現行の説明書にはナイロン専用の数値はありません。2021年の動画では、ナイロンは115〜130℃・15〜25秒、おすすめは低めの115℃・20秒と紹介しています。ナイロンは熱で縮むため、マークをプレスする前に生地だけを115℃・10秒ほどプレスして、先に縮ませておくことが大切です。撥水加工の強い生地にはプリントできません。
- うまく付かないとき、温度を上げてもいいですか?
- 温度を上げすぎると、いらない部分にまで糊がついてしまうことがあります。基本は温度を変えず、プレス時間を延ばして調整します。現行の説明書では、ベタの多いデザインで糊付けがうまく抜けない場合に「温度を5℃ほど高め、時間を10秒ほど長く」と案内しています。プレス機の表示温度と実際の温度には差があることもあるので、試し刷りで確かめてください。
- 他社のプレス機でも白トナープリントはできますか?
- できる場合と、できない場合があります。糊付けには、安定した重い圧力・平らな熱板・安定した温度が必要で、当社の経験では、かなり古い国産のプレス機、通販で安く売られている軽いプレス機、昇華用・ガーメント用と書かれたプレス機は相性が悪いことがありました。ラミネーターを通す、圧力を強くする、ラバースポンジマットやヒートバリアマットを使う、剥がし方を見直す、の4つで改善するケースがあります。導入前にお手元のプレス機でできるか、転写紙をお送りして確認していただくこともできます。
- ヒートバリアマットを使うときの温度は?
- ヒートバリアマットには断熱効果があるため、通常の推奨温度より5℃ほど高くし、プレス時間も5〜10秒ほど長めにしてください(商品ページの案内)。2024年の動画では、135℃のところを140℃に設定して糊付けしています。
この記事のもとになった動画
他社プレス機で白トナープリントが上手くできない時の対処法 業者様向け白トナープリント講座(2024年3月18日公開)
白トナープリントでの綿 ポリ ナイロン生地へのプレス温度と時間について(2021年11月29日公開。温度の数字は当時のもので、現在は説明書の135℃が基準です)
お手元のプレス機で、
できるか試してみませんか
抜ける転写紙は5枚のお試しセットからご購入いただけます。
白トナープリントの無償サンプル、東京・大阪・福井でのデモ体験も受け付けています。
※温度・時間は2026年10月時点で抜ける転写紙の商品ページから案内している説明書(製作手順、2025年3月版)によります。2021年の動画ではWTRIP835を35万円・転写紙を300円(いずれも税別)と紹介していますが、現在のWTRIP835は39万円(税別)です。資材の価格は2026年10月時点の税込価格です。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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