xTool WonderPressは
DTFのプレス機として
使えるのか
最大100kgの自動プレスを、業務用と並べてみる
2026年に発売された、xToolの自動ヒートプレス「WonderPress」。本体だけなら税込68,000円で、ボタンひとつで自動でプレスでき、DTFにも使えるプレス機として多くの販売店で取り扱われています。
クイックアートはxTool製品の販売代理店の一つで、xToolのDTFアパレルプリンターなどを取り扱っています。ただし、WonderPressは取り扱っていません。WonderPressの最大圧力は100kg。Tシャツやパーカーなど布へのプリントを仕事にするプレス機として見たとき、当社としては気になる点がいくつかあります。
この記事では、公式に公開されている仕様をもとに、クイックアートの鉄製スイング式プレス機JL-PL003BⅡ、電動プレス機JL-EP007Bと並べて、当社がどう考えているかをお伝えします。
この記事の内容は、熱転写の資材とプレス機を扱ってきたクイックアートとしての主観的な見解です。WonderPressそのものを当社で検証した結果ではありません。製品の性能や使い方、DTFへの対応について詳しく知りたい方は、メーカー(xTool)へ直接お問い合わせください。
- WonderPressの最大圧力は100kg。38×38cmの熱板で割ると1cm²あたり約69gで、電動プレス機JL-EP007B(最大350kg)の約4割
- クイックアートは、布へのプリントを仕事にするなら300kgクラスまで加圧できる余力のあるプレス機をおすすめしています。100kgは「上限」なので、余力がありません
- 本体素材は樹脂(PC/PBT)で重さは22kg。主要部に鉄を使う業務用(45.5kg/61.2kg)とは、作りの考え方が違う
- 布へのプレス性能だけを見れば、Amazonの3万円前後の手動プレス機と同じクラス、圧力の余裕は同等以下というのが当社の見方
- 一方で、3D昇華転写・真空成形・DTFの硬化オーブンに付け替えられるクラフト機能はとても面白い。小物づくりやハンドメイドには魅力的
- DTFを含め、布へのプリントで毎日・安定して圧着したいなら、鉄製の業務用プレス機を
- DTFでの使いやすさは賛否両論があるプレス機だと考えています。価格がとても手頃な製品なので、その点を理解したうえで選んでください
この記事は、こんな方に向けて書いています
販売ページでは、100kgの圧力がDTFの仕上がりの強みとして紹介されています。一方で、業務で使うときの圧力の限界については、ほとんど書かれていません。「DTF対応なら、仕事にも十分使えるはず」と考えて選ぶ前に、ぜひ一度目を通してください。
WonderPressは
どんなプレス機か
WonderPressは、レーザー加工機で知られるxToolのモジュール式・自動ヒートプレスです。本体のヒートプレスに、別売りの3Dフォームモジュール(3D昇華転写・真空成形)やクラフトオーブンモジュール(DTFの硬化・ハンドメイド素材の加熱)を組み合わせて使います。
| セット | 価格(税込) |
|---|---|
| ヒートプレス単体 | 68,000円 |
| ヒートプレス+クラフトオーブンモジュール | 108,500円 |
| ヒートプレス+3Dフォームモジュール | 112,100円 |
| オールインワンバンドル | 152,600円 |
※2026年10月28日時点のxTool公式オンラインストアの表示価格です。キャンペーン等で変わることがあります。
ヒートプレス本体の主な仕様は次のとおりです。
| 項目 | WonderPress(ヒートプレス本体) |
|---|---|
| 熱板サイズ | 38×38cm |
| 温度範囲 | 80〜210℃ |
| 圧力範囲 | 20〜100kg(1kg刻みで設定) |
| 時間設定 | 1〜999秒 |
| 最大加熱高さ | 75mm |
| 電源 | AC100〜120V/1150〜1650W |
| 本体サイズ・重量 | 418×549×410mm/22kg |
| 本体素材 | PC/PBT(樹脂) |
| 保証 | 12か月(有償の延長保証で最長3年) |
※仕様はxTool公式の製品ページ掲載値です。
自動で上下し、1.8インチの画面とダイヤルで温度・圧力・時間を設定でき、アプリのプリセットも使えます。操作のしやすさはよく考えられています。気になるのは、ここから先の「圧力」と「本体の作り」です。
いちばんの懸念は
「最大100kg」という圧力
WonderPressの圧力は20〜100kgの範囲で設定できます。つまり100kgは、このプレス機が出せる上限です。
圧力は「何kgか」だけでなく、熱板の面積で割った値で比べると実感がつかみやすくなります。38×38cm(1,444cm²)の熱板に100kgをかけると、1cm²あたり約69g。同じ自動式の電動プレス機JL-EP007Bは、40×50cm(2,000cm²)に最大350kgで、1cm²あたり約175gです。
公平にお伝えすると、xTool自身の比較表では、ほかの自動ヒートプレスは60〜80kgとされています。家庭用の自動プレスの中では、WonderPressは強い部類です。ただし、業務用のプレス機とは3〜4倍の差があります。
問題は「100kgで足りるか」より「余力がないこと」
クイックアートでは、布へのプリントを仕事にする方には300kgクラスまで加圧できるプレス機をおすすめしています。これは「いつも300kgで押す」という意味ではありません。薄手のTシャツ、厚手のパーカー、縫い目やファスナーのまわりなど、生地と転写シートに合わせて圧力を選べる余裕があることが大切なのです。
最大100kgのプレス機では、圧力が足りないと感じたときにそれ以上の手がありません。厚みのある生地や段差のある場所では、圧力が逃げてさらに弱くなります。上限ぎりぎりで毎日使い続けることになれば、本体への負担も大きくなります。
スイング式の手動プレス機は、強すぎる圧力をかけ続けると軸を傷めることがあります。クイックアートでは作業ごとに圧力を調整していただくようご案内しています(スイング式プレス機の圧力管理について)。大切なのは「必要なときに、必要なだけ押せる余裕」です。
本体は樹脂製・22kg
鉄製の業務用との違い
WonderPressの公式仕様では、本体素材はPC/PBT(樹脂)、重さは22kgです。白くすっきりとした見た目で、家の中やホームスタジオに置きやすいデザインです。
これに対してクイックアートのプレス機は、主要部に鉄を使い、JL-PL003BⅡで約45.5kg、JL-EP007Bで約61.2kgあります。プレス機の重さと素材は、強い圧力を何千回とかけ続けても形が変わらないかに直結します。
プレス機は1回1回の力は小さくても、それを毎日、何千回と繰り返す道具です。少しずつ本体がたわんだりゆがんだりすると、買ったときと同じ当たり方でプレスできなくなります。当社が以前販売していたアルミ材質のプレス機では、使ううちに故障発生率が60%近くになった経験があり、現在は主要部に鉄を使ったプレス機に切り替えています。
樹脂の本体がどれだけの繰り返し荷重に耐えるのかは、公表されていません。あくまで当社の推測ですが、最大圧力を100kgにとどめていること自体が、本体の構造に合わせた設計なのではないかと考えています。
こうして見ると、布へのプレス性能だけで比べた場合、WonderPressはAmazonで3万円前後で売られている格安の手動プレス機と同じクラス、圧力の余裕という点では同等以下というのが私たちの見方です。格安プレス機との違いは、Amazonの格安プレス機と業務用プレス機の違いで詳しく解説しています。
なぜDTFに
圧力の余裕が必要なのか
DTFは、フィルムに印刷したインクとパウダー(ホットメルト接着剤)を、熱と圧力で生地の繊維にしっかり押し込んで定着させる転写方式です。圧力が足りないと、接着剤が繊維の奥まで入りきらず、次のようなトラブルにつながります。
・洗濯を重ねると、端からはがれてくる
・縫い目やリブの段差まわりだけ付きが弱い
・パーカーやスウェットなど厚手の生地で、全体の密着が甘くなる
・同じ設定なのに、日によって仕上がりがばらつく
しかもこうした不良は、プレスした直後には分かりにくいのがやっかいなところです。お客様の手に渡り、何度か洗濯したあとで初めて気づく、ということも少なくありません。
「DTF対応」と書かれていれば、DTFの転写自体はできます。ただ、趣味で数枚つくることと、仕事として毎日、さまざまな生地に安定して圧着することは別の話です。販売ページでその違いがあまり説明されていないことが、誤解につながりやすいと私たちは感じています。
あくまで当社の考え方です
ここまでの内容は、DTFには圧力の余裕が必要だという当社の考え方にもとづいています。その考え方から見ると、WonderPressはDTFの業務用途ではうまく使いこなしにくいのではないか、というのが当社の主観的な見方です。
一方で、使う生地やDTFフィルム・パウダーの種類、プレス条件しだいで、問題なく使えている方もいらっしゃると思います。DTFでの使い勝手については、賛否両論があるプレス機だと考えています。
WonderPressは、本体だけなら税込68,000円というとても手頃な価格の製品です。業務用プレス機と同じ圧力や耐久性を求めるものではない、という点はご理解のうえで選んでいただくのがよいと思います。DTFでの具体的な使い方や条件は、メーカー(xTool)にご確認ください。
公平にお伝えしたい
WonderPressの良いところ
ここまで懸念をお伝えしてきましたが、WonderPressがダメな製品だと言いたいわけではありません。プレス機というより、熱を使ったものづくりの「マルチツール」として見ると、とても面白い製品です。
・3Dフォームモジュールで、スマホケースやバッジなど曲面への昇華転写、真空成形ができる
・クラフトオーブンモジュールは、最大43×43cmのDTFフィルムの硬化に対応。3層フィルター(H11+活性炭+H13 HEPA)付きで、室内でも使いやすい
・最大加熱高さ75mmで、厚みのある小物にも対応
・圧力1kg・温度1℃刻みの設定と、35種類の内蔵プリセット
・1台でマグカップ、キャンドル、レジン、アクリル曲げなど、ハンドメイドの幅が広がる
ハンドメイド作家の方や、レーザー加工機と組み合わせて小物をつくる方にとっては、1台で何役もこなせるのは大きな魅力です。
ただし、布地へのプリントを中心に考えるなら、話は別です。いちばん大事な「布にしっかり押す」という部分で、業務用プレス機に比べて余裕がないからです。オールインワンバンドル(税込152,600円)の金額があれば、鉄製の業務用スイング式プレス機JL-PL003BⅡ(税込176,000円)にほぼ手が届きます。
業務用プレス機2機種との
比較表
クイックアートでいちばん選ばれている手動のスウィング式JL-PL003BⅡと、同じ自動式の電動プレス機JL-EP007Bを並べました。
| 比べる点 | xTool WonderPress (ヒートプレス単体) | JL-PL003BⅡ (手動スウィング式) | JL-EP007B (電動スウィング式) |
|---|---|---|---|
| 価格(税込) | 68,000円 | 176,000円 | 308,000円 |
| プレス方式 | 自動(スライド式) | 手動ハンドル | 水平自動昇降(電動) |
| 熱板・作業台 | 38×38cm | 40×50cm | 40×50cm |
| 最大圧力 | 100kg | 約400kg(押す力しだい) | 350kg |
| 1cm²あたり | 約69g | 最大約200g | 約175g |
| 圧力の安定 | 設定値で一定 | 操作によりばらつきあり | 設定値で一定 |
| 温度範囲 | 80〜210℃ | 0〜199℃ | 0〜232℃ |
| 温度精度 | 非公表 | 設定値±5度以内 | 設定値±5度以内 |
| 本体素材 | 樹脂(PC/PBT) | 主要部に鉄 | 主要部に鉄 |
| 本体重量 | 22kg | 約45.5kg | 約61.2kg |
| 電源 | AC100〜120V/1150〜1650W | 100V/1400W | 100V/1500W |
| 付け替えモジュール | 3D昇華・真空成形・クラフトオーブン(別売) | 交換用下ゴテ(別売) | 交換用下ゴテ(別売) |
| 保証・修理 | 12か月(有償の延長保証で最長3年) | 1年保証。福井の自社工場で修理 | 1年保証。福井の自社工場で修理 |
| 向いている使い方 | ハンドメイド・小物・少量の布プリント | 布プリントの業務全般(〜50枚/日) | 布プリントの量産(150枚以上/日) |
※WonderPressの値はxTool公式の製品ページ掲載値(2026年10月28日時点)。1cm²あたりの圧力は、最大圧力を熱板・作業台の面積で割った計算値です。JL-PL003BⅡは手動のため、実際の圧力はハンドルの押し方で変わります。
WonderPressとJL-EP007Bは、どちらも「設定した圧力で毎回同じようにプレスできる」自動式です。そのうえで、最大圧力は100kgと350kg、本体は樹脂22kgと鉄61kg。価格差の多くは、この「押す力」と「本体の作り」の差だと考えてください。
WonderPressが向いている人・
業務用が必要な人
・スマホケースやマグカップ、アクリル、レジンなど、布以外のものづくりが中心
・3D昇華転写や真空成形を試してみたい
・レーザー加工機などと組み合わせて、ハンドメイド作品の幅を広げたい
・布へのプリントは趣味で少しだけ
・DTFや白トナーで、Tシャツ・パーカーなど布へのプリントを仕事にする
・厚手の生地、縫い目まわり、さまざまな素材に安定して圧着したい
・毎日たくさんプレスする(故障=作業の停止になる)
・はがれや色落ちのクレームを出したくない
xToolのDTFアパレルプリンターで印刷した転写シートも、圧着するプレス機しだいで仕上がりと耐久性が変わります。クイックアートでは、プリンターとプレス機をセットでご提案しています。プリンター選びはxToolアパレルプリンターと白トナーWTRIP835の比較もあわせてご覧ください。

スウィング式プレス機 JL-PL003BⅡ(Wide)
作業台40×50cm。主要部に鉄を使い、繰り返しのプレスでも変形しにくい設計です。熱板の温度は設定値±5度以内に調整して出荷。DTF・白トナー・昇華など、布への熱転写全般にこれ1台で対応できます。

電動プレス機 JL-EP007B
水平自動昇降式で、最大350kgの圧力を毎回同じようにかけられます。作業台40×50cm、100Vで使用可能。1日に何十枚、何百枚とプレスする方の疲労を減らし、品質をそろえます。

スウィング式スリム JL-PL003CⅡ
作業台38×29cm。性能・温度精度・修理体制はJL-PL003BⅡと同じで、置き場所をとりません。トートバッグや小物、A4以内のプリントが中心の方に。
どのプレス機が合うか迷ったら、熱プレス機の選び方もあわせてご覧ください。
よくある質問
- クイックアートでWonderPressは買えますか?
- クイックアートはxTool製品の販売代理店の一つですが、WonderPressは取り扱っていません。ご購入や製品の詳しい仕様・使い方については、メーカー(xTool)の公式サイトや窓口にお問い合わせください。
- xTool WonderPressでDTF転写はできますか?
- 転写そのものはできます。ただし最大圧力は100kgで、38×38cmの熱板全体にかけると1cm²あたり約69gです。クイックアートの電動プレス機JL-EP007B(最大350kg・40×50cm)の約4割にとどまり、圧力に余裕がないというのが当社の見方です。使う生地や資材によって評価が分かれる、賛否両論のあるプレス機だと考えています。厚手のパーカーや縫い目まわり、毎日のくり返し作業でDTFを安定して圧着したい方には、鉄製の業務用プレス機をおすすめします。DTFでの具体的な条件はメーカーにご確認ください。
- WonderPressと格安の手動プレス機、どちらが良いですか?
- 布へのプレス性能だけで比べると、Amazonなどで3万円前後で売られている手動プレス機と同じクラスで、圧力の余裕は同等以下というのが当社の見方です。WonderPressの価値は、3D昇華転写・真空成形・DTF硬化オーブンなどのモジュールを付け替えられる多用途性にあります。
- クイックアートはプレス機の圧力をどのくらい推奨していますか?
- Tシャツなど布へのプリントを仕事にする場合は、300kgクラスまで加圧できる余力のあるプレス機をおすすめしています。常に最大で押すという意味ではなく、生地や転写シートに合わせて圧力を選べる余裕が大切です。スイング式は強すぎる圧力で軸を傷めることもあるため、作業ごとに圧力を調整してください。
- WonderPressのクラフトオーブンでDTFを硬化して、業務用プレス機で圧着することはできますか?
- 工程としては可能です。パウダーを硬化させる工程と、生地に圧着する工程は別なので、硬化をオーブンで、圧着を業務用プレス機で行う使い分けは考えられます。ただし当社ではWonderPressのオーブンでの硬化条件は検証していないため、実際の条件はメーカーの案内に従ってください。
- 購入前に、業務用プレス機を実際に試せますか?
- 東京・大阪・福井のショールームで、実機のデモを体験していただけます(予約制・無料)。DTFや白トナーの転写を実際にプレスして、仕上がりや圧力の違いを確認していただけます。
免責事項
- 本記事は、株式会社クイックアートの経験と考え方にもとづく主観的な見解をまとめたものです。特定の製品の品質や性能を断定・保証するものではありません。
- WonderPressについては、当社で実機を用いた検証は行っていません。記載している仕様・価格は、2026年10月28日時点でxTool公式の製品ページに掲載されていた情報をもとにしています。
- 製品の仕様・価格・販売条件・対応素材は、メーカーにより予告なく変更される場合があります。最新の情報や詳しい内容は、メーカー(xTool)へ直接お問い合わせください。
- 1cm²あたりの圧力は、公表されている最大圧力を熱板・作業台の面積で割った単純計算の値で、実際の圧力の分布や仕上がりを示すものではありません。
- 転写の仕上がりは、生地・転写フィルム・パウダー・インク・温度・時間・圧力などの条件によって変わります。本記事の内容を参考にした結果について、当社は責任を負いかねます。
- 当社はxTool製品の販売代理店の一つですが、WonderPressは取り扱っていません。本記事はメーカーの見解を示すものではありません。
プレス機の「押す力」の違いは、
実際に触ると一番よく分かります
東京・大阪・福井のショールームで、プレス機の実機デモを体験できます。
DTFや白トナーの圧着まで、実際に刷っているスタッフがご案内します。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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