ナイロンブルゾン・
選挙ジャンパーに
フルカラープリントする方法
選挙スタッフやイベントのスタッフが着るナイロンのジャンパー・ブルゾン。名前や文字を入れる仕事は、一般にはカッティングやシルクスクリーンが主流です。ところが「ナイロンは転写が難しいのでは?」と思われがちで、フルカラーでの小ロット対応をためらう業者様も少なくありません。
この記事では、当社の動画3本で実演した白トナー+抜ける転写紙での作り方をまとめました。ナイロンで必ずやる事前プレス、低い温度での転写、成否を分ける撥水の強さの見極め方、裏側の糊のはみ出し対策まで、動画の実演と商品ページの情報をもとに整理しています。
※動画では「抜ける転写紙タイプB(極薄生地用)」を使っていますが、タイプBは現在の業務用の転写紙ラインアップ(W・WL・C・P)に載っていません。現在、ナイロンや薄い生地にはタイプWLが案内されているため、記事ではタイプWLを基準にし、タイプBの内容は「動画公開当時」として紹介します。
- ナイロンのジャンパーにも、抜ける転写紙なら1枚から・版代なし・フルカラーでプリントできる。現在のおすすめはタイプWL(ナイロン・薄い生地向けの薄糊タイプ)
- ナイロンは熱で縮むので、マークをのせる前に事前プレス(5〜10秒)が必須。しないと仕上がりがしわしわになる
- 転写は動画では130℃・20秒(あえて高め)。ナイロンは熱に弱いので温度は低めが基本、115〜125℃でも転写できる
- 成否を分けるのは撥水の強さ。雨合羽のような超撥水生地は無理。微妙な生地はエタノールで拭いて一時的に撥水を弱める方法もある
- 糊が厚いと裏側に糊がはみ出すことがある。薄糊の転写紙を選ぶか、下ゴテにウエスをかぶせて吸わせる
ナイロンジャンパーの仕事と、使う無地ウェア
2020年11月公開の動画では、選挙スタッフ用のナイロンジャンパーを例に説明しています。全国の議員数は国会議員730人、地方公共団体の議会の議員数34,216人、合わせて34,916人(令和2年3月の総務省報告書より)。1人の候補者に約30人のスタッフがつくとすると、単純計算で100万着以上が動く市場になります。

選挙用のジャンパーは黒や赤など、比較的濃い単色のものが多く、入れるのは候補者名や党名、スローガンなどの文字が中心です。選挙以外でも、イベントのスタッフジャンパーとしてナイロンジャンパーは定番です。
実演に使った無地ウェアはトムスの「プリントスター」0051-ET(全17色)です。動画では「ナイロンジャンパーの種類に迷ったら、0051-ETと抜ける転写紙の組み合わせで」と紹介しています。
※動画では赤い0051-ETの背中に、候補者名・党名・スローガンを入れたデザイン(架空のもの)をプリントしています。
どの転写紙を使うか(動画のタイプBと現在のタイプWL)
動画で使ったタイプBは、ウインドブレーカーなど極薄の生地用に糊を薄くした転写紙でした(2015年の動画では「Type-W 極薄生地用」という名前で紹介しています)。現在の業務用ラインアップでは、ナイロンや薄い生地にはタイプWLが案内されています。
| タイプW | タイプWL(現在のおすすめ) | タイプB(動画公開当時) | |
|---|---|---|---|
| 対応生地 | 綿・ポリエステル・ナイロン | 綿・ポリエステル・ナイロン。Wでは糊が突き抜けるほど薄い生地にも | 極薄生地専用 |
| 糊の厚さ | 標準 | Wより薄い | 薄い |
| 白さ(隠ぺい性) | しっかり出る | Wより少し控えめ(ポリエステルでは生地色の影響を受けやすい) | 4オンス以上の綿・ポリではWより発色が弱い(動画での説明) |
| 注意点 | 薄いナイロンでは裏に糊が出ることがある | 6オンス以上の厚手の綿は洗濯後に割れやすい | 現行の業務用ラインアップには載っていない |
| 強撥水の生地 | 不可(W・WLの商品ページ。動画でも同じ説明) | ||
タイプWLの価格は、A4お試し5枚セット2,475円、A4 100枚セット37,950円です(いずれも税込、2026年10月時点の商品ページ)。100枚セットなら1枚あたり約380円(税込)です。

※タイプBは個人向けサイトに商品ページが残っていますが、業務用の転写紙一覧(W・WL・C・P)には含まれていません。購入をお考えの場合は当社にお問い合わせください。
印刷に使うプリンター
白を含むフルカラーで刷るなら、白トナープリンタ(WTRIP835、390,000円・税別)とRIPソフトを使います。動画では、白トナーがない場合にほかのプリンターで使える最低条件も紹介しています。
| 条件(動画での説明) | 内容 |
|---|---|
| プリンター | 粉砕トナーを使うカラーレーザープリンタ。重合トナーは難しい。EA-Ecoトナー搭載機は使えない(商品ページ) |
| デザイン | 濃い文字だけ。CMYKの合計が80%以上の色(K100%の黒や、はっきりした緑など)に限る |
| 表現できないもの | 白や淡い色。白を使うなら白トナー+RIPソフトが必要 |

作り方(糊付けから仕上げプレスまで)
2020年の動画(タイプB・トムス0051-ET)の手順を軸に、2015年・2017年の動画の条件も添えています。
① 糊を付ける(トリミング)
左右反転して印刷したMPシートにプラスターシート(糊)を重ねて熱をかけ、熱いうちにプレス台の上で剥がします。印刷した文字の部分だけに糊が残ります。2020年の動画では130℃・20秒・強圧でした。カッティングもカス取りもなく、1ミリの細さまで表現できると紹介しています。

② 4辺を切る
糊付けしたマークの4辺をハサミでカットします。動画では、配置のバランスを見てマークを3つに切り分けています。A4で作ったマークを切り分けて並べれば、A3の面積にも配置できます。
③ 事前プレス(ナイロンでは必須)
ナイロンは熱を帯びると縮みます。マークをのせる前に生地だけをプレスして、先に縮めておきます。動画では5〜10秒、テロップで「120℃でも特に問題ない」と補足しています。これをしないと、まっすぐのデザインがぐちゃぐちゃの、商品にできない仕上がりになります。

事前プレスで生地が柔らかくなった状態のまま、すぐにマークを配置してプレスします。2017年の動画では、125℃・5秒ほど(生地の耐熱温度を確認のうえ)で事前プレスしています。
④ 転写する

2020年の動画では130℃・20秒で転写しました。ただしこれはあえて高めの温度で仕上がりを見せたもので、ナイロンは一般に熱に弱いため、温度は低めのほうが良いと説明しています。目安は120℃くらい・20秒以上、テロップでは「最低115℃でも大丈夫な印象」としています。2015年・2017年の動画では125℃・20秒でした(温度と時間は生地によって変えます)。

※「熱に弱い」はナイロン一般の話で、0051-ETが特に熱に弱いわけではない、とテロップで補足しています。
⑤ 完全に冷めてから剥がし、仕上げプレス
転写したら完全に冷めてから裏紙を剥がします。冷めていれば急ぐ必要はなく、動画では翌日に剥がしても大丈夫と紹介しています。最後に仕上げプレスを約15秒(2015年・2017年の動画では125℃・15秒)かけて完成です。

撥水の強さを見極める
「ナイロンはプリントが難しいのでは?」という質問に対して、動画ではポイントは撥水の有無と強さだと答えています。撥水は、繊維の上にのっているコーティングのようなものです。撥水が強いと、マークが生地の奥に押し込まれず、表面に乗ったままになってしまいます。
| 生地 | 動画での説明 |
|---|---|
| プリント向けの無地ナイロンジャンパー | ウェアメーカーの営業担当者いわく、転写することを前提に考えているので、比較的プリントできる。0051-ETなら抜ける転写紙で大丈夫 |
| 雨合羽・作業服屋さんの超撥水生地 | 無理。あきらめましょう |
| 撥水が微妙なライン | エタノールを含ませた布で拭き、撥水を一時的に弱めてからプリントする方法がある |

裏側の糊のはみ出しと、その対策
2020年の動画では、同じジャンパーにタイプB(糊が薄い)と定番のタイプWでプリントして比べています。プリント面の仕上がりは同等でした。違いが出たのはジャンパーの裏側です。

ただし、ジャンパーは着てしまえば裏側はほとんど見えないため、「意外と気にならない」というプリント業者様が多いとも話しています。どちらを選ぶかは、お客様の好みで決めてかまいません。現在は、Wで糊が突き抜けるほど薄い生地にはタイプWLが案内されています。
タイプWでも、ウエスで吸い取れる
2017年の動画では、はみ出しが気になる場合の工程として、ナイロンジャンパーをプレスする前に下ゴテにウエス(白い布)をかぶせる方法を紹介しています。はみ出した糊をウエスが吸い取り、固さも軽くなります。

向かないケースと注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 温度は上げすぎない | ナイロンは熱に弱い。130℃より上げず、生地の耐熱温度を確かめてから。低温で転写できるのが抜ける転写紙の強み |
| 事前プレスを忘れない | 縮みでデザインがゆがむ。ナイロンでは毎回必ず行う |
| 品番ごとにテスト | 撥水の強さはメーカー・品番・個体で違う。新しいボディはお試し5枚セットで試してから受注する |
| 白さの違い | タイプWLはWより白さが少し控えめ。白を強く出したい厚手の生地はWが向く |
動画では、手元に作る設備がなくオリジナルジャンパーが欲しい方には、当社のお客様(作り手)を紹介しているとも話しています。生地ごとの注意点は熱転写プリントの生地・素材別の注意点5つ、作業服・ユニフォームの仕事全体については作業服屋さんのための転写プリント入門もご覧ください。
よくある質問
- ナイロンのジャンパーにフルカラーで転写できますか?
- できます。白トナーと抜ける転写紙を使えば、1枚から版代なしでフルカラーの文字やイラストを転写できます。撥水の強い生地(雨合羽や超撥水の作業服など)は難しいため、品番ごとにテストしてください。
- ナイロンへのプレス温度と時間は?
- 動画では、事前プレスを5〜10秒、転写を130℃・20秒(あえて高め)、仕上げプレスを約15秒で行っています。ナイロンは熱に弱いので温度は低めが基本で、120℃くらい・20秒以上が目安、最低115℃でも転写できた印象と説明しています。2015年・2017年の動画では125℃・20秒でした。
- なぜナイロンでは事前プレスが必要なのですか?
- ナイロンは熱を帯びると縮むためです。マークをのせる前に生地を縮めておかないと、転写中に生地が縮んでデザインがゆがみ、商品にできない仕上がりになります。
- 動画のタイプBは今も使えますか?どの転写紙を選べばいいですか?
- タイプBは現在の業務用の転写紙ラインアップ(W・WL・C・P)には含まれていません。ナイロンや薄い生地には、糊の薄いタイプWLが案内されています。定番のタイプWもナイロンに対応していますが、薄い生地では裏に糊が出ることがあります。
- 撥水加工のあるナイロンにもプリントできますか?
- 撥水の強さによります。プリント向けの無地ジャンパーは比較的プリントできますが、雨合羽のような超撥水生地は無理です。撥水が微妙な生地は、エタノールで拭いて撥水を一時的に弱めてからプリントする方法があります。時間がたつと撥水が戻るので、拭いたら早めにプリントします。
- 裏側に糊が出てしまうときは?
- 糊の薄い転写紙(現在はタイプWL)を使うか、プレスするときに下ゴテにウエス(白い布)をかぶせて、はみ出す糊を吸い取らせます。ウエスを使うと固さも軽くなります。
この記事のもとになった動画
【選挙・100万着以上の巨大市場】ナイロン生地にフルカラープリントする方法を説明します 抜ける転写紙タイプB(2020年11月18日公開。価格・転写紙の種類は当時のもの)
【ナイロン生地にフルカラー転写】抜ける転写紙 MPプラスターType-B(2017年9月27日公開。手順・条件は当時のもの)
抜ける転写紙Type-B ナイロン生地に貼る 極薄生地・ポリエステル・ウインドブレーカー対応(2015年12月3日公開。手順・条件は当時のもの)
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抜ける転写紙 Type-WLを見る 白トナープリンタWTRIP835を見る 白トナーの無料サンプルを申し込む デモ・見学を予約する※本記事の価格・ラインアップは2026年10月時点の商品ページの情報です。動画内の価格・議員数・転写紙の種類・手順は、それぞれの動画公開当時のものです。
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