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QUICK ART PRINT ACADEMY / TYPE-C FOR CANVAS

抜ける転写紙タイプCの使い方
キャンバス・トート・デニムに
フルカラーで転写する

厚手のキャンバス生地のトートバッグや、デニム。繊維がぎっしり詰まった硬い生地は、白トナー転写が長年苦手としてきた分野でした。定番の抜ける転写紙タイプWでは、糊が生地の奥まで入らず、うまく付かないことがあったからです。

その課題を解決するために作られたのがタイプCです。この記事では、当社の動画4本(2019〜2021年)で実演した内容をもとに、タイプCの仕組み、タイプWとは違う剥がし方、よくある失敗、タイプWとの比較実験、分厚いバッグにプレスするときの工夫までをまとめました。

130℃50秒ラミネーターを通したあとの糊付けの条件(強圧)。動画での実演
1mm〜きれいに出せる線の太さの目安。0.3〜0.4mmの線は一部うまく付かなかった
4級タイプCの洗濯堅牢度(タイプWは4-5級)。洗濯の少ないものに向く
5〜6oz〜タイプWだと転写が難しい場合があるキャンバス生地の厚さの目安(商品ページ)
先に結論
  • タイプCは糊が生地の表面にシールのように定着する。繊維のすき間が少ない厚く硬い生地(帆布・トート・デニム)でも付きやすい
  • 糊付けはラミネーターに通してから130℃・50秒・強圧。剥がし方はタイプWと違い、低い角度で、下ゴテの面を這わせるように、ゆっくり。A4で10秒以上かかっても大丈夫
  • 失敗の原因は剥がすのが速すぎる・圧力が弱い・線が細すぎる(1mm未満)・紙の余白が足りないの4つ
  • 帆布11号ではWもCも転写できたが、手芸店でいちばん厚い帆布4号ではCのほうが安定。剥がしやすさもCが上
  • 洗濯堅牢度は4級。衣類はタイプW、衣類以外(トート・ポーチ・バッグ)はタイプCという使い分けがおすすめ
01 / WHAT

タイプCとは:WとCの定着のしかたの違い

タイプWは、熱で柔らかくなった糊が生地の繊維のすき間にグーッと入り込み、冷えて固まることで定着します。ところが、帆布やデニムのような分厚く硬い生地は繊維が密集していてすき間が少ないため、糊が奥まで入らず、剥がすときに紙が残ってしまうことがありました。

タイプCは、糊が生地の表面にシールのように乗って定着します。奥まで入り込まなくても付くので、繊維のすき間が少ない生地にも転写できます。その代わり、繊維の奥に定着しているわけではないため、洗濯の強さはタイプWより少し落ちます(洗濯堅牢度4級。Wは4-5級)。

黒の厚手トートバッグにタイプCで転写した、細かい模様のカラフルなフクロウのイラスト
黒の厚手トートバッグにタイプCで転写した例。カッティングでは難しい細かい模様も、カス取りなしで表現できます。

2020年に「ヒットした新商品」として紹介され、2021年の動画の時点で抜ける転写紙シリーズの中で2番目の売上になっていた商品です。素材との相性によっては、木材や革にもプリントできます。

02 / TOOLS

用意するものと価格

もの内容
抜ける転写紙 Type-CMPCシート(印刷用)とプラスターシート(糊)の2枚1組。A4お試し5枚セット2,475円、A4 100枚セット37,950円(いずれも税込、2026年10月時点)
レーザープリンタ白を含むフルカラーなら白トナープリンタ(WTRIP835、390,000円・税別)+RIPソフト。白トナーがない場合はCMYKの合計80%以上の色のみ。粉砕トナーのレーザープリンタなら比較的対応できる(動画での説明)。EA-Ecoトナー搭載機は不可
ラミネーター手作業でマークを作る場合、2025年3月以降は必須。動画では「ほとんどのホットラミネーターで代用可能」としています
熱プレス機糊付けと転写に使う。家庭用アイロンでは不可。推奨はJL-PL003BⅡ・JL-PL003CⅡ(商品ページ)
リケイ紙・マット類仕上げプレス用のリケイ紙(フォースインペーパーSでも可)。分厚いバッグにはラバースポンジマットなど段差を消す中敷

※2020年12月の動画では「5枚セット2,400円から試せる」と紹介しています(動画公開当時の価格)。

03 / TRIMMING

糊付け(トリミング)の手順

2020年12月・2021年8月の動画で実演した手順です。

工程内容
① 印刷MPCシートの光沢面に、左右反転で印刷(2019年の動画では厚紙モード)
② ラミネーター印刷面とプラスターシートの糊面を重ねてラミネーターに通す。仮止めの効果が出る
③ プレスプラスターシートを上にして、130℃・50秒・強圧でプレス
④ 剥がす熱いうちに、糊シートを上にしたまま剥がす(次の章で詳しく)
⑤ 4辺を切る用紙の端に糊が残っている場合があるため、4辺を切り落とす
印刷したMPCシートとプラスターシートを重ねてホットラミネーターに通している様子
2枚を重ねてラミネーターへ。「ほとんどのホットラミネーターで代用可能」「仮止めの効果が出ます」と紹介しています。
プレス機の下ゴテに重ねたシートをのせている様子。テロップは130度50秒強圧でプレス
ラミネーターを通したら、130℃・50秒・強圧でプレス。
以前の手順:2020年・2021年の動画では、ラミネーターがない場合の方法として「130℃・30秒を表と裏で1回ずつ、強圧でプレス」も紹介していました(2019年の動画でも「ラミネーターがない場合はプレスを表裏2回」)。結果はラミネーターありと大きな差はなかったものの、ラミネーターを使ったほうが剥がすときに軽さがある、という感想でした。現在は、手作業でマークを作る場合ラミネーターは必須です。
ラミネーター無しの場合、130度30秒表裏強圧プレスと説明するテロップ
動画公開当時に紹介していた、ラミネーターなしの方法(現在は手作業ではラミネーターが必須)。
04 / PEELING

剥がし方のコツと、失敗する例

タイプCは、タイプWに比べて糊が少し柔らかいのが特徴です。そのため、タイプWと同じ感覚で素早く剥がすと、糊がうまく付きません。動画で繰り返し説明しているポイントは次のとおりです。

タイプWタイプC
剥がす方向右手を上に引っ張るように体のほうへ引き寄せる。上の紙を下ゴテの面を這わせるように、角度をつけずに
スピード熱いうちに手早くゆっくりでよい。A4で剥がし始めから10秒以上かかっても大丈夫(実演では約13秒)
向き・場所糊シートを必ず上にして、プレス台の上で剥がす。転写紙をプレス台の上で冷まさないようにする
プレス台の上でプラスターシートを体のほうへ引き寄せるように剥がしている手元。テロップはCの場合はプラスターを体に引き寄せる
タイプCは、プラスターシートを体のほうへ引き寄せるように、低い角度で剥がします。

2021年の動画では、両手の親指と人差し指でシートの角をつまみ、剥がしながら下の糊の付き方を見て、手の感覚とつなげることをすすめています。感覚がつかめれば、あとはあまり考えずに剥がせるようになります。

失敗する例

動画では、あえて圧力を弱くし、剥がすスピードを速くした例も見せています。結果は、糊が付かずにトナーの色がプラスターシート側に持っていかれた部分が出ました。

圧力を弱く、速く剥がした失敗例のシート。文字の一部に糊がつかなかった部分がある
圧力を弱く・速く剥がした失敗例。文字の一部に糊が付いていません。
失敗の原因対策(動画での説明)
剥がすのが速いゆっくり、低い角度で。上に持ち上げると糊が持っていかれる
圧力が弱い圧力をしっかりかける(強圧)
線が細すぎる推奨は1mm以上。0.3〜0.4mmの線は一部うまく付かなかった。剥がし終わりの部分は少し甘くなりやすい
紙の余白が足りないイラストと紙の端の間に余白がないと付きにくい。通常は1cmほど余白があれば問題ない

※2021年8月の動画では「2021年7月から改善されて、剥がしやすくなった」と紹介しています。発売当初にうまくできなかった方も、改めて試す価値があります。2019年の動画では「一定の速さで鋭角に剥がす」と説明していましたが、上記の新しい動画の方法を基準にしてください。

05 / COMPARE

タイプWとタイプCの比較実験(帆布11号・4号)

2020年12月の動画では、手芸店で買った帆布2種類に、タイプWとタイプCで同じデザインを転写して比べました。

生地タイプWタイプC
帆布11号転写できた(「ロングセラーのWの実力を侮っていました」)サラッと剥がせて転写も安定。紙の剥がしやすさはCが快適
帆布4号(手芸店でいちばん厚い)一部の転写が甘くなった細い線まで転写できた。下の段の不良は紙の余白不足によるもの
黒の帆布にタイプCで転写したマークの裏紙を剥がしている様子。テロップはタイプCはサラッと剥がせて転写も安定
帆布11号での比較。タイプCは裏紙がサラッと剥がれました。
帆布4号に転写した動物のイラストのアップ。テロップは糊がついていても1ミリは欲しい、下の段の不良は紙の余白不足
帆布4号に転写したタイプC。細い線は糊が付いていても1mmは欲しい、というのが実演の結論です。

転写したあとは、転写紙の面を下にして(ひっくり返して)冷ますのが基本です。完全に冷めてから裏紙を剥がします。

06 / THICK BAG

分厚いバッグに転写する(段差の対策)

2020年12月の動画の最後では、ホームセンターで売っているような黒の分厚いポリエステルのバッグに、イギリスの地図の形をしたユニオンジャックのデザインを転写しました。白を含むフルカラーで、スコットランドの入り組んだ海岸線のような細かい部分がどうなるかを確かめています。

分厚いバッグは縫い目やマチなどの段差が多いので、そのままプレスすると転写したい場所に圧力がかかりません。動画では次のように工夫しています。

工夫内容
中敷を入れる転写する場所の下にラバースポンジマットを敷いて段差を消す(ラバークッションでも可)
上にシートをのせるテフロンシートをのせて事前プレス
跡で確認する事前プレスの跡が、転写したい場所にちゃんと出ているかを確認する
位置を固定する実際は耐熱テープなどでマークを固定するのがおすすめ
プレス・剥がし130℃・30秒でプレスし、5〜10分ほど冷ましてから剥がす。最後に130℃・30秒で仕上げプレス
プレス機の下ゴテにかぶせた黒い分厚いバッグの中に中敷を入れている様子。テロップは今回の中敷はラバースポンジマット、ラバークッションでも対応可
転写する場所の下にラバースポンジマットを入れて段差を消します。マットの使い分けはウェアプリントでのマットの使い方で詳しく紹介しています。
黒の分厚いバッグに転写した、イギリスの地図の形のユニオンジャック。細かい海岸線まで表現されている
仕上げプレス後。紙残りはほとんどなく、カッティングでは難しい細い線まで出ています。

※動画で紹介しているキャンバストートバッグは、ライフマックスのMA9021C(テロップより)。トートバッグの仕入れ先は無地トートバッグはどこで仕入れる?にまとめています。

07 / DENIM

デニム生地に転写する

デニムも繊維が密集していて、タイプWでは剥がすときに紙が残ることがあった生地です。2020年5月の動画では、白を含むフルカラーのドクロのイラストをデニム生地に転写しています。

工程動画での条件
糊付け温度130〜140℃・30〜50秒・強圧(テロップ)
事前プレス生地を少し平らにしてから転写。事前プレスは扱う生地によって判断する
転写135℃・30秒。冷めてから剥がす(タイプWに比べてサラッと剥がれる)
仕上げ仕上げプレスをして完成
デニム生地の端切れに転写した、白とグレーと赤のドクロのイラスト
デニム生地に転写したドクロのイラスト。細い線も表現できています。

動画では、生地屋さんで買った帆布や厚手の生地にも同じように転写できていて、「タイプCを使えば、ほとんどの分厚い生地にプリントできると思う」とまとめています。ただし、生地ごとにテストはしてください。

08 / USE

WとCの使い分けと、トートバッグの仕事

「タイプCで服にプリントしてもいいのでは?」という質問に対して、動画の答えは「衣類はW、衣類以外はC」です。仕上げプレスをすればCも生地になじみますが、構造上、洗濯の強さはWより落ちます。一方で、4級の強度で衣類にプリントしている製法もあるので、洗濯の少ない衣類以外のものなら4級はほぼ問題ない、という考え方です。

ナチュラルのキャンバス地トートバッグに転写した花のイラストのアップ。テロップは生地の目にしっかりプリントが食い込んでいます
12オンスのナチュラルのトートバッグに転写した例(2019年の動画)。生地の目にしっかり食い込んでいます。

商品ページでは、キャンバス生地は5〜6オンス以上だとタイプWでは難しい場合があるので、冒険したくない場合はタイプCを推奨しています。仕上がりの違いはほとんどありません。

オリジナルトートバッグの製法と、タイプCの立ち位置

動画では、オリジナルトートバッグの主な製法としてシルクスクリーン・ガーメントプリント・カッティングの3つを挙げ、それぞれの特長を整理しています。

製法得意なこと手間がかかること(動画での説明)
シルクスクリーンコストが安く、量産向き色数に制限があり、小ロットは版代で割高
ガーメントプリント定番のナチュラル色に、スクリーンでは難しいフルカラー黒などの濃色は前処理剤の塗布や白インクの2度刷りなど手間がある
カッティング中ロットまで、色数や生地の種類にも対応しやすいカス取りに時間と人手がかかる。細かいデザインは難しい
白トナー+タイプC濃色バッグにも細かいフルカラー。1枚から、カス取りなし糊付けの手作業。洗濯堅牢度は4級

流通しているオリジナルトートバッグはナチュラル色が定番で、黒などの濃色は割合が少ないのが現状です。動画では、大きな業者様と同じ土俵で勝負するより、濃色バッグへの細かいフルカラーの小ロットのように、比較対象が少ない仕事で勝負することをすすめています(2020年12月時点の見立て)。

09 / FAIR

向かないケースと注意点

タイプCが向かないケース: よく洗濯する衣類(洗濯堅牢度4級のため。衣類はタイプWを)。細かくツンツンしたデザインや小さい文字(商品ページでもWより「抜き」が少し甘いため不向きとしています)。写真のようなデザインは全面転写紙が向いています。通常の厚さの生地はタイプW、より薄い生地はタイプWLが案内されています。
注意点内容
剥がし方を変えるWに慣れている方ほど速く剥がしがち。低い角度でゆっくり
線は1mm以上・余白は1cmデザインの段階で、細すぎる線と紙端ぎりぎりの配置を避ける
段差のある素材バッグやポーチは中敷で段差を消し、事前プレスの跡で圧力のかかり方を確かめる
素材ごとのテスト帆布・デニム・木材・革は素材との相性がある。まずはA4のお試し5枚セットで試す
10 / FAQ

よくある質問

タイプCとタイプWの違いは何ですか?
タイプWは糊が生地の繊維のすき間に入り込んで定着し、タイプCは生地の表面にシールのように乗って定着します。そのためタイプCは、繊維のすき間が少ない厚く硬い生地(帆布・トートバッグ・デニムなど)にも付きやすい一方、洗濯堅牢度は4級でタイプW(4-5級)より少し落ちます。
タイプCの糊付けの温度と時間は?
動画では、MPCシートとプラスターシートを重ねてラミネーターに通したあと、プラスターシートを上にして130℃・50秒・強圧でプレスし、熱いうちに剥がしています。デニムの動画では130〜140℃・30〜50秒・強圧と紹介しています。
うまく糊が付きません。どうすればいいですか?
タイプCは糊が柔らかいので、タイプWのように素早く上へ剥がすと失敗しやすくなります。圧力をしっかりかけ、プラスターシートを体のほうへ引き寄せるように、下ゴテの面を這わせて低い角度でゆっくり剥がしてください。A4で10秒以上かかっても大丈夫です。線は1mm以上、紙の端から1cmほど余白をとると安定します。
キャンバス生地はタイプCでないとだめですか?
タイプWでも転写できる生地はあります。動画の実験では帆布11号はWでもCでも転写でき、いちばん厚い帆布4号ではCのほうが安定しました。商品ページでは、5〜6オンス以上のキャンバス生地はWだと難しい場合があるので、失敗したくない場合はCを推奨しています。
タイプCでTシャツなどの衣類にプリントしてもいいですか?
おすすめは「衣類はタイプW、衣類以外はタイプC」の使い分けです。タイプCは洗濯堅牢度が4級でWより少し落ちるため、トートバッグやポーチなど洗濯の少ないものに向いています。
分厚いバッグにきれいに転写するコツは?
バッグは縫い目やマチの段差が多いので、転写する場所の下にラバースポンジマットなどの中敷を入れて段差を消し、事前プレスの跡で圧力がかかっているかを確かめます。動画では130℃・30秒でプレスし、5〜10分冷ましてから剥がし、130℃・30秒で仕上げプレスしています。
VIDEO

この記事のもとになった動画

抜ける転写紙タイプCの剥がし方 業者様向け白トナープリント講座(2021年8月3日公開)

【新商品】トートバックなどのオリジナルグッズが作れる抜ける転写紙タイプCを徹底解説します(2020年12月30日公開。価格・ラミネーターなしの手順は当時のもの)

【業者様向け】デニム生地にフルカラープリント 抜ける転写紙タイプC 白トナー転写講座(2020年5月15日公開)

【厚手のトートバッグにフルカラー転写】 抜ける転写紙MPプラスターType-C 製作レシピ(2019年12月6日公開。剥がし方は当時の説明)

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※本記事の価格・仕様は2026年10月時点の商品ページの情報です。プレス条件・手順は各動画の公開当時のものを含みます。

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