ブラックシリコンシートで
仕上げると、プリントが
生地になじむ。製法別の効果
仕上げプレスのシートの選び方では、シリコン紙(リケイ紙NP)・フォースインペーパーS(FPS)・テフロンシートなど、仕上げプレスでプリントの上にのせるシートの違いを紹介しました。この記事はその続きです。2025年2月の動画で当社が新商品として紹介したブラックシリコンシートを取り上げます。
ブラックシリコンシートで仕上げプレスをすると、分厚く感じるプリントが柔らかくなり、生地になじみます。ただ、効果の大きさはプリントの方法によって違い、使わないほうがいい転写紙もありました。DTF・ラメシート・ラバーシート・抜ける転写紙(タイプC・B・W)・全面転写紙・パウダープリントフィルムで試した結果を、使い方と注意点とあわせてまとめます。
- ブラックシリコンシートは仕上げプレスでプリントの上にのせるシート。網目状のエンボス模様でプリントを生地目に食い込ませ、分厚く感じるプリントの生地なじみを良くする
- 使い方は普段の仕上げプレスと同じ。デモは135℃・約10秒。表裏はなく、熱いうちに取ってもよい
- プリントに網目の模様がつくことがある。気になるときはシリコン紙で5秒ほど再プレスすると戻る
- 効果が大きかったのはラメシート(いちばん)・DTF・抜ける転写紙タイプC。生地との段差が大きいプリントほど効果が出やすい
- 全面転写紙(WHS-CL・EA-CR)には向かない。テカリが出て、再プレスしても戻らなかった
- パウダープリントフィルムでは、洗濯への強さが上がるという結果も出た
ブラックシリコンシートとは
ブラックシリコンシートは、名前のとおり黒いシリコンのシートです。表面に網目状の細かな凹凸があり、仕上げプレスのときにプリントの上にのせてプレスすると、その模様がエンボスのようにプリントに写り、プリントマークを生地目に食い込ませます。
その結果、触ったときに「分厚いな」と感じるプリントが柔らかくなり、生地とプリントの境目の段差を感じにくくなります。動画では、この「生地なじみ」が基本的に良くなるシートとして紹介しています。
- 対象の生地:綿・ポリエステル・ナイロンと幅広い(昇華しにくい素材のため。商品ページより)
- 表裏:なし。どちらの面でも使える
- サイズ:動画撮影時はA4とA3。2026年10月時点では40×50cmもある
動画では、繰り返し長く使えるシートだと説明しています。ただし商品ページでは、汚れ・破れ・しわが出たら新しいものに替えるよう案内しています。そのまま使い続けると、プリント面に影響して不良の原因になるおそれがあるためです。
※シリコン紙・FPS・テフロンシートなど、ほかの仕上げシートとの使い分けは仕上げプレスのシートの選び方をご覧ください。
使い方:いつもの仕上げプレスにのせるだけ
動画では、白トナープリンタと抜ける転写紙タイプWで綿のTシャツにプリントしたものを使って、仕上げプレスの手順を見せています。
- プリントしたTシャツをプレス機にセットする
- プリントの上にブラックシリコンシートをのせる(表裏はないので、そのままでよい)
- 汚れ防止のため、その上にシリコン紙を敷く
- 135℃・約10秒でプレスする
- シートを取る。テストした範囲では、プレス後の熱いうちに取っても問題ありませんでした

温度は、ふだんの仕上げプレスと同じでかまいません。動画では「実際のプレスは135℃・30秒ぐらいでしているが、今回は10秒ほど」と話しており、テロップでも「温度・時間は普段どおりで」と案内しています。白トナープリントのプレス条件は白トナープリントのプレス温度と時間にまとめています。
網目のエンボス模様と、気になるときの戻し方
ブラックシリコンシートでプレスすると、プリントの表面に網目状のエンボス模様がつくことがあります。近くで見ると、細かいブツブツが並んだような仕上がりです。

この模様が気になる場合は、シリコン紙をのせて、もう一度5秒ほどプレスすると戻ります。当社がいろいろテストする中で分かった方法です。

再プレスしても、なじみの良さはそのまま残ります。テロップでも「仕上げをした後の仕上がりを気にするか・しないかで工程が変わります」と案内しており、模様が気にならなければ1回、気になるならシリコン紙で再プレスして2回、と考えてください。

※商品ページでは、生地なじみが良くなった結果、生地の色が透けて見える(白が薄くなったように感じる)場合もあると案内しています。
プリントの方法ごとの効果
当社が扱っているプリントの方法ごとに、シリコン紙だけで仕上げたものと、ブラックシリコンシートで仕上げてからシリコン紙で再プレスしたものを並べ、手で触って比べました。動画でも断っているとおり評価は主観ですが、できるだけ客観的に伝えるようにしています。
| プリントの方法 | 効果 | 動画で感じたこと |
|---|---|---|
| ラメ(グリッター)シート | いちばん大きい | 生地とラメの段差がはっきり減った。もともと生地なじみがいちばん少ないからでは、とテロップで補足 |
| DTF | 大きい | 見た目の違いは分かりにくいが、触ると違う。布地の感触があり、生地とイラストのギャップを感じにくい |
| 抜ける転写紙タイプC | 大きい | シリコン紙だけだと少しカサカサ・引っかかる感じがあったが、それが軽くなった |
| ラバーシート | 若干 | 使ったほうが段差を感じにくい。カッティングシートは商品によって厚みが違う |
| 抜ける転写紙タイプB | 若干 | なじみが良く感じるが、タイプCほどではない |
| 抜ける転写紙タイプW | 違いを感じにくい | シリコン紙での仕上げでもともと生地なじみが良いため、今回の綿Tでは差が分からなかった |
| 全面転写紙(WHS-CL・EA-CR) | おすすめしない | テカリが出て、再プレスしても戻らない(05章) |
| パウダープリントフィルム | 手触りより洗濯 | 手触りは少しカサカサするが、洗濯への強さが上がった(06章) |
※2025年2月の動画撮影時の評価です。タイプBは動画では試していますが、2026年10月時点で当社の業務用の転写紙一覧には載っていません。
DTF:触ると違いが分かる
黄色のマスキングテープを貼ったほうがシリコン紙だけ、もう一方がブラックシリコンシートで仕上げたものです。見た目の違いは分かりにくいのですが、触ると違いが分かります。ブラックシリコンシートを使ったほうは、触ったときに布地の感覚があります。シリコン紙だけのほうは、生地とイラストの部分のギャップを感じます。

DTFは、プリンターの機種によってプリントの厚みが違います。ごわつきを感じるDTFほど効果があるというのが当社の見方です。なじんでいるほうが全体的に柔らかく、お客様からの評価も得やすいはずです。動画の最後では、DTFは生地なじみの良さをアピールしにくいプリントだが、このシートを使えば変わる可能性がある、と話しています。
ラメシート・ラバーシート:段差が小さくなる
今回のテストでいちばん効果を感じたのがラメシートでした。シリコン紙だけで仕上げたものは、触ると音がするほど段差を感じますが、ブラックシリコンシートを使うと、生地とラメの段差がかなり減ります。

当社のラバーシートでは「若干」の差でしたが、ブラックシリコンシートを使ったほうが段差を感じにくい結果でした。カッティングシートは商品によって貼ったあとの厚みが違うので、段差が気になるシートほど試す価値があります。

抜ける転写紙:タイプCで大きな効果
白トナープリンタで使う抜ける転写紙は、タイプC・B・Wの3種類で試しました。
タイプCはキャンバス生地などに向けた転写紙で、タイプWやBに比べると、生地の上に少し乗った感じが出ます。シリコン紙だけで仕上げたものは、手でなでるとカサカサと音がして少し引っかかりますが、ブラックシリコンシートを使うとこの引っかかりが軽くなりました。キャンバス生地のトートバッグなどで、タイプCの手触りが気になる方におすすめです。

タイプWは、多くのお客様が使っている転写紙です。シリコン紙での仕上げでも引っかかりが少なく、今回の生地では違いを感じ取れませんでした。動画では、もともと柔らかい仕上がりだからかもしれない、と話しています。トレーナーやスウェットなど別の生地や、ベタの多いイラストでは差が出る可能性があるので、生地なじみを気にされる方は一度テストしてみてください。

動画では、抜ける転写紙での効果を「タイプCは◎と○の間ぐらい、タイプBとWは△に近い」と表現しています。それでも、使えば基本的には良くなるので、商品としてお渡しするなら使ったほうがよい、というのが当社の考えです。タイプCの使い方は抜ける転写紙タイプCの使い方をご覧ください。
使わないほうがいい転写紙
反対に、ブラックシリコンシートをあまりおすすめしないのが、写真などを全面にプリントする全面転写紙です。動画では、グレーのTシャツにプリントした全面転写紙(テロップの表記は「WHS-CL(EA-CR)」)で、イラストの上半分だけにブラックシリコンシートを重ねてプレスしました。

- シートを重ねた部分にテカリ(光沢)が出た
- このテカリは、シリコン紙で再プレスしても消えなかった
- 生地なじみは多少良くなったが、全面転写紙らしいなじみ方からの変化は小さかった
テカリが気になる方は、全面転写紙ではブラックシリコンシートを使わないほうがよいでしょう。商品ページでは、WHS-CL・WHS-SOFT・EA-CRを「適していない」としています(生地なじみの変化が少なく、強い光沢が出て解消しにくいため)。また、動画では試していませんが、抜ける転写紙タイプWLもイラストがひび割れする可能性があるため、適していないとしています。
パウダープリントフィルムでは洗濯に強くなった
最後に試したのは、インクジェットプリンターで印刷してパウダーをかけて作るパウダープリントフィルムです。ブラックシリコンシートで仕上げると、手触りは少しカサカサした感じになりますが、洗濯への強さが上がることが分かりました。

当社は以前、パウダーを追加でかける「追いパウダー」で洗濯に強くする方法を動画で紹介しました。ブラックシリコンシートを使うと、追いパウダーをしなくても洗濯への強さが上がることが分かってきたそうです。当社で洗濯を何回か繰り返したところ、通常の仕上げよりブラックシリコンシートを使ったもののほうが洗濯に強い結果でした。
※動画では、洗濯の回数や条件の詳しい数字は紹介していません。洗濯への強さの考え方は洗濯堅牢度の記事も参考にしてください。
サイズと価格
| サイズ | 動画撮影時(2025年2月) | 2026年10月時点 |
|---|---|---|
| A4 | 2,500円 | 2,750円(税込) |
| A3 | 5,000円 | 5,500円(税込) |
| 40×50cm | — | 7,700円(税込) |
※動画の価格はテロップの表記どおりです(税別か税込かの表記はありません)。2026年10月時点の価格は当社サイトの掲載価格です。在庫状況は商品ページでご確認ください。
向かないケースと注意点
ブラックシリコンシートは、どのプリントにも同じように効くわけではありません。動画のまとめでも、当社の商品の中に使わないほうがいいケースもあったので、お客様ご自身でテストしてほしい、と話しています。
- 全面転写紙(WHS-CL・WHS-SOFT・EA-CR)はテカリが出て戻らないため向きません。抜ける転写紙タイプWLもひび割れの可能性があります(商品ページ)。
- 網目のエンボス模様がつくことがあります。消したい場合はシリコン紙で再プレスする分、工程が1回増えます。
- なじみが良くなった結果、生地の色が透けて白が薄く見えることがあります。白の発色を重視するデザインでは確かめてから使ってください。
- タイプWのようにもともとなじみの良いプリントでは、違いを感じにくいことがあります。
- 汚れ・破れ・しわが出たシートは使い続けず、新しいものに替えてください。
※当社は白トナープリンタ・小型DTFプリンターのメーカーで、ブラックシリコンシートも当社の取扱商品です。記事中の評価は2025年2月の動画撮影時のテスト結果です。
よくある質問
- ブラックシリコンシートは何に使うシートですか?
- 仕上げプレスのときにプリントの上にのせて使うシートです。シートの網目状のエンボス模様がプリントを生地目に食い込ませ、分厚く感じるプリントの生地なじみが良くなります。表裏はなく、綿・ポリエステル・ナイロンと幅広い生地に使えます。
- プレスの温度と時間はどれくらいですか?
- 動画のデモでは、白トナーと抜ける転写紙タイプWで綿のTシャツにプリントしたものを、135℃・約10秒で仕上げプレスしました。テロップでは「温度・時間は普段どおりで」と案内しています。シートはプレス後、熱いうちに取っても問題ありませんでした。
- 仕上げたあとに網目の模様が残るのが気になります。
- ブラックシリコンシートで仕上げると、プリントの表面に網目状のエンボス模様がつくことがあります。気になる場合は、シリコン紙(リケイ紙NP)をのせて5秒ほど再プレスすると、模様が目立たなくなります。
- どのプリントにいちばん効果がありましたか?
- 当社のテストでは、ラメシートがいちばん変化を感じました。次いでDTFと抜ける転写紙タイプCで大きな効果がありました。ラバーシートは「若干」、タイプWは綿のTシャツでは違いを感じにくい結果でした。
- 使わないほうがいいプリントはありますか?
- 全面転写紙(動画ではWHS-CL・EA-CR)は、シートを重ねた部分にテカリが出て、シリコン紙で再プレスしても戻りませんでした。生地なじみの変化も小さいため、おすすめしていません。商品ページでは、WHS-SOFTと抜ける転写紙タイプWL(イラストがひび割れする可能性)も「適していない」としています。
- 価格はいくらですか?
- 動画撮影時(2025年2月)はA4サイズ2,500円、A3サイズ5,000円と紹介していました。2026年10月時点の当社サイトでは、A4サイズ2,750円(税込)、A3サイズ5,500円(税込)、40×50cm 7,700円(税込)です。在庫状況は商品ページでご確認ください。
この記事のもとになった動画
【業者必見】プリント生地を柔らかくするブラックシリコンシートの効果とは?仕上げプレスの新常識!(2025年2月公開。価格・評価は撮影当時のもの)
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※本記事の価格は2026年10月時点の当社サイト掲載価格です。テストの結果と動画内の価格は、動画撮影時(2025年2月)のものです。
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