ついてしまった
プレス跡の対処法
スチームアイロンと高温アイロン
ポリエステルのウェアや帽子に熱プレスでプリントすると、プリントのまわりに四角いテカリや色の違い(プレス跡)が残ることがあります。前編の「プレス跡を目立たなくする方法」では、中敷きやあたり軽減シートで跡をつきにくくする予防策を紹介しました。
この記事はその続編です。もうついてしまったプレス跡を、あとから目立たなくする方法を、当社のショールームで実演した2本の動画からまとめます。ポロシャツはスチームアイロンで、昇華転写したメッシュキャップは高温のアイロンで対処しました。最後に、跡を目立たせない仕上げプレスの温度の考え方も紹介します。
- ポリエステルのプレス跡は熱による変色。元の状態に戻すのは難しいので、「戻す」ではなく「なじませて目立たなくする」と考える
- ウェアにはスチームアイロンが効いた。プリントにはシリコン紙を敷き、跡の際にスチームを当てて横にずらすようにかける。5分ほどで乾くと跡はかなり目立たなくなった
- スチームアイロンがなければ、霧吹き+普通のアイロンで同じことができる。水分の与えすぎには注意
- 昇華転写したメッシュキャップは、転写温度より高い190〜200℃のアイロンで、インクの付いていない部分に圧をかけて熱を当て直す。イラストに当てるとインクが滲む
- どちらもプリント直後より少し冷ましてからのほうが効果があり、仕上げプレスは転写温度より5〜10℃高くして生地全体をそろえると跡が残りにくい
ポリエステルのプレス跡が消えない理由
きっかけは、以前の動画でポリエステルのポロシャツにプリントしたときのことです。プリントのまわりに、熱板の形の四角いテカリがはっきり残っていました。プレス作業をしている方なら、誰もが持っている悩みだと思います。

プレス跡の正体は、生地によって違います。動画で整理した内容は次のとおりです。
| 生地 | プレス跡の正体 | 洗濯すると |
|---|---|---|
| 綿 | プレスで繊維が折れた跡(織りの跡) | 洗濯を重ねると繊維の折れが戻り、目立たなくなっていく(一般論) |
| ポリエステル | 熱が当たって化学繊維が変色した跡。白い生地でも変色する | 変わらない。だから要注意 |
ポリエステルのプレス跡は熱による変色なので、元の状態に戻すことは難しい、という前提に立ちます。そのうえで、変色した部分と、していない部分の境目をなじませて目立たなくするのが、この記事で紹介する方法です。特に高温でプレスする昇華転写は、跡がつきやすい製法です。
※綿とポリの違いや、プレスの段階で跡をつけない工夫(中敷き・あたり軽減シート・マットの角を丸くする)は、前編の「プレス跡を目立たなくする方法」でくわしく解説しています。
ネットで見かける方法を試した結果
ポリエステルのテカリの対処法は、インターネット上にもいくつか情報があります。動画ではそのうちの一つを実際に試しました。

| ネットで見かけた方法 | 動画での結果・判断 |
|---|---|
| スチームアイロンを生地から3cmほど浮かせてスチームを当て、そのあと歯ブラシで周囲をこする | 試したが、しっかりプレスしてついた跡には効きが甘いと感じた。日常でつくテカリと、プレス跡のテカリでは、テカリの度合いが違う |
| 水とお酢を混ぜたものを使う | 試していない。準備が面倒で、作業のやり方としては手間がかかると判断 |
いくつか試した中で、いちばん効果があったのは、スチームアイロンを生地に当てて跡の際をなじませる方法でした。次の章で手順を紹介します。
スチームアイロンで跡の際をなじませる
使うのは、家庭用のスチームアイロンです。動画の手順は次のとおりです。
① プリントの上にシリコン紙を敷く
プリント面に直接アイロンを当てると、プリントを傷めます。プリントの上にはシリコン紙(リケイ紙)などを敷いてください。

② スチームの高温設定で、跡の際を横にずらすようにかける
アイロンはスチームの高温設定にします。狙うのは、プレス跡がついている際(きわ)の部分です。跡の境目を横にずらすような感じでアイロンをかけていきます。動画のアイロンはスチームの穴が先端寄りにあったので、プリントに触れないよう、アイロンの先のほうを使っています。クリーニング店のような作業です。

③ 5分ほど置いて、乾いてから確認する
かけた直後は生地が水分を含んでいるので、5分ほど置いてから確認します。動画では、5分後にはプレス跡の四角がとても目立ちにくくなりました。全体をなじませることで、四角い輪郭が見えにくくなります。

動画の講師は、「正直、スチームアイロンはあまり使っていなかったが、プレス跡をあとから対処するには便利」と話しています。やってみると難しい作業ではなく、コツはすぐにつかめる、とのことです。
袖などの小さな面と、スチームアイロンがないとき
同じポロシャツの袖のプリントにも、テカリが出ていました。ここも同じようにスチームを当てます。袖では、まっすぐ動かすよりも円を描くように回してかけると、目立ちにくくなる感じがした、と動画では話しています。

※動画では撮影の都合でシリコン紙を敷かずに、イラストに触れないよう注意して作業しています。実際の作業では、プリントの上にシリコン紙を敷いてください。
スチームアイロンがない場合は、霧吹き+普通のアイロン
スチームアイロンがなくても対処できます。水の霧吹きを用意し、生地に吹きかけてから普通のアイロンで同じようにかけてください。やっていることは基本的に同じです。ただ、スチームアイロンは高価なものではないので、1台持っておくと便利です。

昇華転写のメッシュキャップは高温のアイロンで
もう1本の動画は、実際にお客様からいただいたご相談がもとです。ポリエステルのメッシュキャップに、帽子プレス機で昇華転写をしたところ、プレス跡がついてしまい、「この状態では商品として納めるのが難しい」というものでした。
動画では、すでに昇華転写してあるキャップに、同じサイズの昇華転写紙をのせ、180℃・60秒でプレスして跡を再現しました(昇華転写は一般に180〜200℃・約1分と言われます)。剥がすと、圧力がしっかりかかった部分に段差のような跡がはっきり出ました。

道具:コテ面がフラットな家庭用アイロン
使うのは家庭用アイロンです。コテ面がフラットなタイプが良い、と動画では紹介しています。やることは「アイロンがけ」そのもので、段差ができている部分にもアイロンをかけて、全体を均一にしていきます。
昇華で気をつけたいのは「インクの滲み」
昇華転写のプリントで注意したいのが、イラストの部分にアイロンを当ててなじませようとすると、インクがほかの部分に滲んでしまうことです。動画でも、最初にイラストに当てて少し滲ませてしまっています。

正しいやり方は、インクが転写されていない部分を、アイロンでぎゅっと押さえることです。特に、跡の際の部分に圧をかけながらかけていきます。跡の正体は「プレスされたところと、されていないところの違い」なので、熱をしっかり当てて差をなくします。少しずつ場所を変えながらかけると、跡は目立ちにくくなっていきました。直接当てると焦げそうな感じがあったので、動画では途中からシリコン紙をのせてかけています。
アイロンの温度は、転写温度より高く
いちばんのポイントはアイロンの温度です。動画では、転写温度より高い190〜200℃くらいが良いと説明しています。実際に作業したアイロンは150℃程度しか出ておらず(180℃の転写温度より低温)、なかなかうまくいかず手こずっていました。180℃以上の温度が出るアイロンなら、ここまで苦労はしない、とのことです。

温度があまり上がらないアイロンしか持っていない場合は、何度もしっかりプレスすることで対処します。アイロンの実際の温度は、通販で手に入るハンディタイプの温度計で測れます。

※当社の帽子プレス機(現行品はJL-CA001AⅡ)の使用可能温度は0〜199℃です。くわしくは「帽子プレス機 JL-CA001AⅡ」の記事をご覧ください。
冷ましてから、温度は高めに。仕上げプレスの考え方
プリント直後より、5分ほど冷ましてから
動画の実演はプリントした直後に行っていますが、5分ほど少し冷ましてから作業したほうが効果があります。プリント直後は生地全体がまだ熱いので、冷ましてから同じ温度でかけたほうが、なじみが良くなり、プレス跡が目立ちにくくなります。

仕上げプレスは、転写温度より5〜10℃高く
動画でいちばん伝えたいテクニックとして紹介しているのが、最後の仕上げプレスで温度を上げることです。ポリエステルのプレス跡は熱による変色なので、仕上げのときに生地全体を少し高い温度で変色させると、跡がついた部分との差がなくなり、違和感が出にくくなります。温度が低いと、これが難しくなります。
| 例(動画での説明) | 転写の温度 | 仕上げで全体に当てる温度 |
|---|---|---|
| 帽子プレス機でメッシュキャップに昇華転写 | 180℃ | 185〜190℃くらい(5〜10℃上げる) |
| ポリエステルのウェアに転写 | 120℃ | 125℃や130℃(生地全体を変色させる) |
| アイロンで跡をなじませる場合 | — | アイロンの温度も高めに設定する(キャップの例では190〜200℃) |
温度を上げて仕上げると、比べると全然違う、と動画では話しています。ポリエステルでは最後のアイロンがけが必要になることもありますが、こうした工夫をしておくと、その作業が楽になります。
※動画の「120℃で転写した場合」は、ポリエステルでの一般的な例として話している数字です。当社の抜ける転写紙タイプWの商品ページでは、洗濯堅牢度の試験条件を「135℃30秒プレス→135℃30秒シリコン紙で仕上げプレス」と記載しています(2026年10月時点)。お使いの転写紙・フィルムに推奨条件がある場合はそちらを優先し、仕上げの温度を変えるときは、同じ生地の端切れで試してから行ってください。白トナーのプレス条件は「白トナープリントのプレス温度と時間」で紹介しています。
予防には、あたり軽減シート
動画では、ポリエステルにプリントするときに跡が目立ちにくくなるシート(当社の「あたり軽減シート」、動画では「あたり防止シート」と紹介)と、今回使った帽子プレス機も紹介しています。現在の価格は次のとおりです。
| 商品 | 動画撮影時の価格 | 2026年10月時点の価格 |
|---|---|---|
| あたり軽減シート(45×55cm) | 8,000円(税別) | 11,000円(税込) |
| 帽子プレス機(現行品 JL-CA001AⅡ) | 48,000円(税別) | 63,800円(税込)。送料別(北海道・沖縄以外1,760円、北海道・沖縄2,860円) |
あたり軽減シートは、使うときに温度を少し高くするか、時間を少し長めにしてプレスします(商品ページの案内)。使い方は前編の「プレス跡を目立たなくする方法」で実演しています。
やる前に知っておきたい注意点
ここで紹介した方法は、どれも跡を完全に消すものではなく、目立たなくするものです。プレス跡は、温度と圧力をかけた結果として付け加わったものなので、元に戻すのは難しい、というのが動画での前提です。
| 気をつけたいこと | 理由・対策 |
|---|---|
| プリントに直接アイロンを当てない | プリントを傷める。シリコン紙を敷き、跡の際を狙う |
| 昇華のイラスト部分に熱を当てない | インクがほかの部分に滲む。インクのない部分を中心に |
| スチーム・霧吹きの水分を与えすぎない | ウェアがびしょびしょになり、商品として不具合につながることがある |
| 温度が上がらないアイロンでは効きにくい | 何度もしっかりプレスする。温度計で実際の温度を確かめる |
| 仕上げの温度は製品の推奨条件の範囲で | 端切れで試してから。生地や転写紙によって結果が変わる |
当社も、量は多くありませんが、地元のお客様のTシャツなどを長年プリントしてきた中で、こうした方法を使っています。プリントをされている方は、それぞれにノウハウをお持ちだと思います。動画のコメント欄などで共有していただけると、プリント業界全体の役に立ちます。
よくある質問
- ポリエステルのプレス跡は、洗濯すれば消えますか?
- ほとんど変わりません。綿のプレス跡は、プレスで繊維が折れたり寝たりした跡なので、洗濯を重ねると目立たなくなっていくのが一般的です。一方、ポリエステルのプレス跡は、熱で化学繊維が変色したものです。洗濯しても元には戻らないため、ポリエステルは特に注意が必要です。
- スチームアイロンで、プリントの上から直接アイロンをかけてもいいですか?
- プリント面に直接アイロンを当てるのはやめてください。プリントを傷める原因になります。動画では、プリントの上にシリコン紙(リケイ紙)を敷き、跡の際(きわ)にスチームを当てながら、跡を横にずらすようにアイロンをかけています。
- スチームアイロンを持っていません。普通のアイロンでもできますか?
- できます。水の霧吹きを用意し、生地に水を吹きかけてから普通のアイロンで同じようにかけてください。やっていることは基本的に同じです。ただし、水分を与えすぎると衣類がびしょびしょになり、お客様に渡す商品として不具合につながることがあります。
- 昇華転写したメッシュキャップのプレス跡は、どう対処しますか?
- 高温に設定できる家庭用アイロン(コテ面がフラットなもの)で、インクの付いていない部分を中心に、跡の際に圧をかけながら熱を当て直します。アイロンの温度は転写温度より高い190〜200℃くらいが目安です。イラストの部分にアイロンを当てると、インクがほかの部分に滲むので注意してください。プリント直後より、5分ほど冷ましてから行ったほうが効果があります。
- 仕上げプレスの温度を上げるのはなぜですか?
- ポリエステルのプレス跡は熱による変色なので、仕上げのときに生地全体を少し高い温度で変色させると、跡がついた部分との差がなくなり、違和感が出にくくなります。動画では、転写温度より5〜10℃上げるのが目安と説明しています。ただし、お使いの転写紙・フィルムの推奨条件がある場合はそちらを優先し、同じ生地の端切れで試してから行ってください。
- プレス跡をそもそもつけないためには?
- ウェアの中に中敷きのマットを入れる、あたり軽減シートをのせてプレスする、下のマットの角を丸くする、といった予防策があります。くわしくは前編の記事「プレス跡を目立たなくする方法」で紹介しています。
この記事のもとになった動画
【実演】スチームアイロンを使ったプレス跡の対処法 業者様向けTシャツプリント講座(約8分。白トナープリンタWTRIP835の販売時期の動画)
【昇華転写】メッシュキャップのプレス時にできるプレス跡の対処法と考え方 業者様向けプリント講座(約8分。動画公開当時の内容・価格です)
プレス跡の悩み、道具から見直しませんか
あたり軽減シートやシリコン紙など、プレス跡対策の資材を販売しています。
東京・大阪・福井のショールームでは、プレスの仕上がりを実物で確かめていただけます(完全無料・要予約)。
※動画の内容・価格は撮影時点のものです。あたり軽減シート・帽子プレス機の価格と仕様は、2026年10月時点の商品ページの情報です。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


抜ける転写紙
全面プリント転写紙
発泡シート
箔・ラバー・ラメ
トナー・ドラム
DTFインク・フィルム
プレス資材
昇華インク
Type-WLナイロン・薄い生地
Type-Cキャンバスバッグ
Type-Pペイスターで楽に















オーブンプリントマグカップ・食器に
Tattooシール肌に貼れるタトゥー






























