プリント業者なら
知っておきたい
xToolという会社
全自動のDTFアパレルプリンターで、SNSや展示会でよく見かけるようになったxTool(エックスツール)。当社もxToolのDTFプリンターを販売していますが、お客様から「機械は気になるけれど、xToolがどんな会社なのか分からない」「教えてほしい」というご相談を多くいただきます。
メーカーの紹介は主観的になりがちです。そこでこの記事では、xToolが2026年1月に香港証券取引所へ上場を申請したときの資料(上場申請書)をもとに当社が作ったスライドと動画から、数字で確かめられる事実だけを整理します。投資をすすめる内容ではなく、プリント業者の方が取引先や機械を選ぶときの参考情報です。
- xToolは中国・深センのメーカー。母体は2013年創業の教育ロボットの会社Makeblockで、2020年にサブブランドとして立ち上げた
- 本業はレーザー彫刻機・カッター(売上の約85%)。世界シェアは47%と申請書に記載されている
- DTFのアパレルプリンターは2025年からの新事業。初出荷は2025年6月で、プリンター、特にウェアプリントの分野ではまだ新しい会社
- 社員の約4割が研究開発で、ソフトウェアやAIに力を入れている。売上の大半は日本以外の地域で、日本は海外の市場の一つという位置づけ
- 2024年は売上が前年比+70%と伸びたが、2025年1〜9月は+19%に減速。DTFは減速を補う事業として力を入れている段階で、今後どう育てていくかは注目点

出発点は、子ども向けの教育ロボット
xToolの母体は、Makeblock(メイクブロック)という会社です。2013年に中国・深センで創業した、STEAM教育向けのロボット企業で、プログラミングロボットや教材を世界140か国・2.5万校以上に届けてきました。xToolの日本向け商品ページ(当社サイト)でも、「Makeblock社によって開発された」と紹介しています。

転機は2020年です。中国の教育市場が規制で縮小し、売上が急に落ちました。約500名の会社にとっての逆風の中で、海外のDIY層向けのレーザー機に活路を見いだし、サブブランドとしてxToolを立ち上げました。教育関係の会社から、モノづくりの機械のメーカーへと大きく方向を変えたことになります。
深センは、ベンチャー企業が多く、モノづくりが盛んな都市です。当社のスタッフも何度か訪れたことがあります。香港とは隣り合っていて、東京と横浜くらいの距離感です。
本業はレーザー彫刻機・カッター
xToolの事業の中心は、木・アクリル・金属などを彫刻したり切ったりするレーザー彫刻機・カッターです。申請書では、2025年1〜9月の流通総額(GMV)ベースで世界シェア47%とされています。スライドでは「2位のブランドの約6倍で、2位から10位を全部足したシェアも上回る」と紹介しました。レーザーカッターを扱っている方には、よく知られたブランドです。

新製品をクラウドファンディングで出してきた
xToolは、新製品をクラウドファンディングで発表し、支援を集めてきた会社でもあります。スライドで紹介した調達額は次のとおりです。
| 製品 | 年 | 調達額(スライドの表記) |
|---|---|---|
| xTool D1(レーザー彫刻機) | 2021年 | 5,700万円 |
| xTool M1(レーザー+カッター) | 2021年 | 3.06億円 |
| アパレルプリンター(DTF機) | 2025年 | 8億円超(1.5時間で目標達成) |

4つの事業領域
申請書から整理した事業領域は4つです。売上のほとんどはレーザー彫刻機・カッターで、アパレルプリンターはまだ新しい事業だと分かります。

| 事業 | スライドの説明 |
|---|---|
| レーザー彫刻機・カッター | 売上の約85%。木・アクリル・金属を彫刻・切断する本業 |
| アパレルプリンター(DTF) | 2025年からの新事業。Tシャツなどに印刷。印刷から乾燥までを1台に統合 |
| ヒートプレス機 | WonderPressなど。データ→印刷→プレスを自社製品で完結させる |
| ソフト・消耗品・材料 | 無料のソフトに加え、インク・フィルム・400を超える材料(リピートの収益) |
※xToolのヒートプレス機WonderPressについては、当社の見解を「xTool WonderPressはDTFのプレス機として使える?」にまとめています(当社はWonderPressを取り扱っていません)。
社員1,892名、最も多いのは研究開発
申請書の時点(2026年1月)の社員数は1,892名です。部門別では、研究開発(R&D)が753名で最も多く、全体の約4割を占めます。営業・販促は299名で、割合としては多くありません。

| 部門 | 人数 |
|---|---|
| 研究開発(R&D) | 753名(約40%) |
| 生産 | 545名 |
| 営業・販促 | 299名 |
| 管理 | 295名 |
社員の約4割がソフトウェアや開発に関わっていて、自社のソフトを無料で配布しています。スライドでは「機械メーカーというより、ソフトとAIに投資する技術企業」と整理しました。研究開発の人材が多いことが、新製品を次々に出せている理由の一つではないか、というのが動画での見方です。
世界のグループと、日本の位置づけ
申請書に記載されている主要な子会社は6社です。中核は中国・深センの会社で、研究開発・製造・販売を担っています。
| 地域 | 役割(スライドの表記) |
|---|---|
| 中国(深セン) | 研究開発・製造・販売(中核) |
| アメリカ | 販売・マーケティング |
| 香港(2社) | 販売・マーケティング |
| オランダ | 販売・マーケティング(欧州) |
| タイ | 製造・販売(2024年〜) |
このほか、2025年にアメリカ本社をカリフォルニアに開設し、ドイツ・イギリス・フランス・オーストラリアにもオフィスがあります。日本にも販売法人(xTool Japan)がありますが、主要子会社には含まれていません。
売上の大半は日本以外
動画では、xToolの売上のうち日本の割合は全体から見ると小さく、売上の大半は日本以外の地域だと紹介しています。分かりやすい例が、クラウドファンディングの支援台数です。

| 製品 | 海外(Kickstarter) | 日本(GREEN FUNDING) | 海外/日本 |
|---|---|---|---|
| DTFアパレルプリンター | 約980台(569万ドル) | 77台 | 約13倍 |
| ヒートプレス H1 Ultra | 単独のクラウドファンディングなし | 38台 | — |
| WonderPress | 約5,500台超(310万ドル超) | 367台 | 約15倍 |
日本はxToolにとって、世界の中の一つの市場という位置づけです。日本のプリント業者の多くがxToolという会社をよく知らないのは、ウェアプリントの分野での歴史がまだ浅いことを考えると自然なことだ、と動画では話しています。
売上の伸びと、2025年の減速
申請書によると、2024年の売上は前年から+70%伸びて、約247億円規模(24.76億元)になりました。粗利率は56%で黒字、現金にも余裕があり、スライドでは「資金繰りに困って上場するわけではない」と整理しています。
一方で、2025年に入ると伸びが急に鈍りました。2025年1〜9月の成長率は+19%で、レーザー本体の販売台数も前年同期の8.59万台から7.19万台に減っています。

| 期間 | 売上(スライドのグラフ、億元) | 成長率など |
|---|---|---|
| 2023年通期 | 14.6 | — |
| 2024年通期 | 24.8 | +70%(約247億円規模) |
| 2025年1〜9月 | 17.8 | +19%。本体の販売台数は8.59万台→7.19万台(前年同期比) |
上場を目指す企業にとって、売上が伸び続けていることはある程度必要な条件のはずです。その中で、レーザーの伸びの減速を補う役割を期待されているのが、次に紹介するDTFです。
DTFは2025年からの新事業
xToolのアパレルプリンター(DTF)は、2025年6月に初出荷されました。申請書では、参入から数か月で売上の5.7%を占め、DTFプリンター市場で13%のシェアを得たとしています。2024年に約247億円規模の売上がある会社で、新事業がいきなり6%近くを占めたことになります。

新しい機械で新しい市場をとる、という経験はレーザーカッターですでに積んでいる会社です。1年以内に世界のDTFプリンター市場で一定のシェアを得るには、製品の力と販売の力の両方が必要だ、というのが動画での見方です。
申請書に載っている市場の予測
申請書には、市場調査会社(CIC)のデータとして、カテゴリ別の成長率(CAGR)の予測が載っています。

| カテゴリ | 成長率(CAGR)の予測 |
|---|---|
| DTFプリンター | 44.3% |
| UVプリンター | 169.6% |
| DTGプリンター(ガーメントプリンター) | 35.3% |
| レーザー系 | 23.1% |
これは上場を申請する会社が出した資料に載っている予測です。動画の講師も、グラフの伸び方には「ちょっと希望的観測すぎないか」という個人的な感想を添えています。プリント業界の動きを見るうえで知っておきたい数字ですが、そのまま将来の需要と受け取らないようにしてください。
※スライドには機械の特長(速さ・自動化など)をまとめたページもありますが、動画では説明を省いています。実際の速さやコストは、当社で運用した実感を「xToolアパレルプリンターと白トナーWTRIP835を徹底比較」で数字にしています。
株主と創業者
申請書には、出資している投資家として、中国の大手IT企業テンセント(2025年末に2億ドルの出資を主導)、有力なベンチャーキャピタルのHongShan(旧セコイア・チャイナ)が名を連ねています。上場の主幹事は、世界的な投資銀行のモルガン・スタンレーです。
ただし、最大の株主はテンセントではありません。株主構成を見ると、創業者が約31%を持つ筆頭株主で、上場後も創業者が経営の主導権を持つ「オーナー企業」の形です。

| 株主(スライドの表記) | 持株比率 |
|---|---|
| 王建軍氏(創業者、信託を通じた保有) | 31.38% |
| 初期投資家の信託 | 13.79% |
| HongShan(旧セコイア) | 10.85% |
| CCT | 6.99% |
| Being Capital | 6.97% |
| Gaocheng | 6.87% |
| テンセント | 10%未満(シリーズDを主導) |
創業者:王建軍(Jasen Wang)氏
創業者の王建軍氏は、申請書の時点で40歳。大学で航空機設計を学び(学士2007年・修士2010年)、2013年6月、26歳前後でMakeblockを創業しました。2020年にxToolを立ち上げ、現在も創業者・会長・CEOとして、戦略・製品・営業・事業運営の全体を統括しています。xToolのアパレル事業がこれからどう進むかは、創業者の意向が大きく影響する会社だといえます。
※同姓同名の著名人が多いので、検索するときはご注意ください(動画での注意)。
販売店として当社が見ていること
ここまでの内容をまとめると、xToolは次のような会社です(動画のまとめのスライドより)。

レーザーカッターを使っている方にはよく知られた会社ですが、アパレル(DTF・衣類へのプリント)の分野ではまだ新しい会社です。勢いはありますが、プリントに関する知見は、長くこの分野にいるメーカーと比べると少ないかもしれない、というのが当社の受け止めです。
当社は取引を始めるにあたって、xTool Japanの代表の方・営業担当の方とお話ししました。皆さん真面目な方でした。その中で、「ウェアプリントの知見や国内の網がまだ少ないので、その点で日本の販売店に期待している」というお話もいただいています。当社以外にも、同じ役割をしている販売店はあると思います。
当社の取扱商品は9割以上が自社オリジナルです。それでもxToolのDTFアパレルプリンターを販売しているのは、プリンターとしてよくできていると感じたからで、理由はそれだけです。お客様にメリットがあることがいちばん大事なので、合わないと判断すれば取り扱いません。そういう価値判断で取り扱っている、とご理解ください。
世界での導入はまだ始まったばかりで、xToolがこれからアパレルの事業を伸ばしていくのか、成熟させていくのか、あまり力を入れないのかは、当社にも分かりません。注目して見ていきたい点です。
この記事の読み方と注意点
会社の情報は、機械を選ぶときの判断材料の一つです。ただし、次の点に注意して読んでください。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 数字の出どころ | 上場申請書(2026年1月、一次資料)と、それをもとに当社が作ったスライドです。市場の予測は申請書に載っている市場調査会社のデータで、確定した数字ではありません |
| 時点 | 動画撮影時点では上場申請中で、上場が認められたわけではありません。社員数・株主構成・売上などは、その後変わっている可能性があります |
| 当社の立場 | 当社はxToolアパレルプリンターの販売店の一つです。この記事は販売店の立場から書いたもので、xTool社の公式見解ではありません |
| 投資について | 投資をすすめたり、株価を予想したりする内容ではありません。プリント業界の方向けの情報としてお読みください |
| 機械の向き不向き | 会社の規模や勢いは、その機械があなたの仕事に合うかどうかとは別の話です。速さ・コスト・メンテナンス・サポート体制は、機械ごとに確かめてください |
※一般的な免責事項:この記事は、上場申請書をもとにした動画の内容を、2026年10月時点で当社が整理したものです。記載の数字・情報の正確性や最新性を保証するものではなく、この記事の情報をもとにした判断について当社は責任を負いかねます。xTool社の製品・会社に関する正式な情報は、メーカーへお問い合わせください。
よくある質問
- xToolはどこの国の会社ですか?
- 中国・深セン(深圳)に本社を置くメーカーです。2013年創業の教育ロボットの会社Makeblock(メイクブロック)が母体で、2020年にサブブランドとしてxToolを立ち上げました。アメリカ・香港・オランダ・タイなどに子会社があり、日本にも販売法人があります(2026年1月の香港上場申請書をもとにした動画の解説)。
- xToolの本業は何ですか?
- レーザー彫刻機・カッターです。売上の約85%をレーザー彫刻機・カッターが占め、2025年1〜9月の流通総額ベースで世界シェア47%と申請書に記載されています。DTFのアパレルプリンターは2025年に始めた新しい事業です。
- xToolのDTFプリンターは、いつから販売されていますか?
- 申請書の内容を紹介した動画のスライドでは、アパレルプリンターの初出荷は2025年6月です。参入から数か月で売上の5.7%を占め、DTFプリンター市場で13%のシェアを得たと紹介しています。プリンターとしての歴史はまだ浅い会社です。
- 日本での販売はどのくらいですか?
- 動画では、xToolの売上の大半は日本以外の地域で、日本の割合は全体から見ると小さいと紹介しています。クラウドファンディングの支援台数で比べると、DTFアパレルプリンターは海外(Kickstarter)約980台に対して日本(GREEN FUNDING)77台で、約13倍の差がありました。
- クイックアートはxToolとどういう関係ですか?
- 当社はxToolアパレルプリンターの販売店の一つです。当社の取扱商品は9割以上が自社オリジナルですが、お客様にとって良いものは取り扱うという考えで、xToolのDTFプリンターを販売しています。この記事は販売店の立場で書いたもので、xTool社の公式見解ではありません。
- xToolアパレルプリンターの価格と、実際の速さは?
- 2026年10月時点の当社販売価格は、プリンターとシェイカーのセットが1,442,760円(税込)、プリンターのみが872,300円(税込)です。当社で運用した実感では、パウダー付け・焼成まで含めてA4の転写フィルム1枚に8〜10分ほど(1時間に6〜7枚程度)かかります。くわしくは「xToolアパレルプリンターと白トナーWTRIP835を徹底比較」の記事をご覧ください。
この記事のもとになった動画
【解説】プリント業者なら知っておきたいxToolという会社について(約16分。2026年1月の上場申請書をもとにした解説で、内容は動画公開当時のものです)
xToolのDTFと白トナー、実物で比べませんか
当社はxToolアパレルプリンターと、白トナープリンタWTRIP835の両方を販売しています。
無料サンプルのお届けと、東京・大阪・福井でのデモ体験を受け付けています(完全無料・要予約)。
※会社の情報は2026年1月の上場申請書にもとづく動画の内容です。xToolアパレルプリンターの価格は2026年10月時点の当社販売価格(税込)です。
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