Canvaで作ったデザインを白トナー・DTFでプリントするときの「保存設定」の基本PNGはNG、「PDF(印刷)」で保存が正解
本記事は、クイックアート東京ショールームで2025年5月29日に撮影した実証動画の内容をもとに、2026年10月に記事としてまとめたものです。検証結果は、当社の白トナープリンター・プリント機器で実際に印刷して確かめたものです。
Canvaは画面のデザインや料金・機能がひんぱんに更新されます。動画撮影後に変わった可能性がある点は、本文中の 2026年10月時点の補足 の枠でお知らせしています。
スマホで手軽にデザインが作れる「Canva(キャンバ)」。IllustratorやPhotoshopを使ったことがなくても、Canvaならロゴやイラスト入りのデザインが作れる、という方が年々増えています。クイックアートでも「Canvaで作ったデータで白トナープリントをしたい」というお客様からの導入が増えています。
ところが、Canvaで作ったデータをTシャツなどにプリントするときは、「どの形式で保存(ダウンロード)するか」で仕上がりが大きく変わります。デザインは完璧なのに、保存の仕方ひとつで、Tシャツの余計なところに白が乗ってしまう…ということが実際に起きます。
この記事では、デザインの作り方ではなく、Canvaでの「データの保存設定」に絞って、白トナープリントやDTFプリントで失敗しないためのポイントを解説します。白を使う他のプリント方式にも応用できる内容です。
- 保存は「PDF(印刷)」。PNGは無料版・有料版どちらでも、余計な部分に白が乗る不具合が出ました。
- いちばんキレイなのは有料版(Canvaプロ)の「PDF(印刷)+カラープロファイルCMYK」。無料版のPDF(RGB)でも十分プリントできますが、色味が少しズレます。
- 白く見せたい部分は、真っ白(#FFFFFF)ではなく「#FFFFFB」の色にする。データの無いところには白が乗りません。
- 保存後にIllustratorで直すなら有料版の「SVG」で保存。PDFのままだと文字が別のフォントに置き換わってしまいます。
まず知っておきたい「白が出るプリンター」のしくみ
白トナープリンターやDTFプリンターは、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)で色を作り、その上に「白」を重ねて印刷します。濃い色のTシャツでも色がキレイに出るのは、この白の下地があるからです。
白トナーの場合、白の量は「データの色の濃さ」から自動で決まります。たとえば次のようなイメージです。
| データの色 | 上に乗る白の量(イメージ) | 見た目 |
|---|---|---|
| Y(イエロー)10% | 100 − 10 = 白90% | うすい黄色 |
| Y(イエロー)1% | 100 − 1 = 白99% | ほぼ白に見える |
| 色が何もない(データなし) | 白は乗らない | 生地の色のまま |
「データが無いところには白は乗らない」「何かしらデータが入っているところには白が乗る」が基本です。だから白く見せたいところには、何かしらの色データを付ける必要があります。逆に、背景など透明にしたいところに余計なデータが残っていると、そこにも白が乗ってしまいます。この後のPNGの失敗は、まさにこれが原因です。
保存形式で仕上がりはこう変わる(実機で検証)
Canvaでデザインを保存するときは、共有 → ダウンロード と進み、「ファイルの種類」を選びます。今回は同じデザインを無料版・有料版それぞれで保存して、白トナープリンターで実際に印刷・プリントしました。
| 保存形式 | 結果 | 余計な白 | 色の再現 |
|---|---|---|---|
| PNG無料版 | 使えない | デザインの周りに白が乗る | ― |
| PNG(背景透過・サイズ大)有料版 | 使えない | 背景透過にしても白が乗る | ― |
| PDF(印刷)・RGB無料版 | 使える | 出ない | 色味が少しズレる |
| PDF(印刷)・CMYK有料版 | いちばん良い | ほとんど出ない | 元データに近い |
PNG保存 ― 無料でも有料でも「余計な白」が乗る
「PNG」と聞くと、イラスト以外の部分は透明に抜けている、というイメージを持つ方が多いと思います。ところが実際に印刷してみると、デザインの周りの、本来何もないはずの部分にまで白が乗っていました。白が乗っている=そこにデータが入っている、ということです。
有料版で「背景透過」にチェックを入れ、サイズも大きくして保存したPNGでも、結果は同じでした。解像度の問題なのか、PNGというファイルの考え方の違いなのかは断定できませんが、少なくとも当社の白トナープリンターでは、PNG保存ではうまくプリントできません。
動画撮影時、Canvaのダウンロード画面ではPNGに「推奨」のマークが付いていました。これはSNSや画面で見る用途での「推奨」です。白トナー・DTFでプリントする場合には推奨ではありませんのでご注意ください。
PDF(印刷)保存 ― 無料版でも余計な白は出ない
ファイルの種類でPDF(印刷)を選んで保存したデータは、無料版でも余計な白が出ませんでした。黒いTシャツ生地にプリントした仕上がりも、十分キレイです。
ただし無料版のPDFには注意点がひとつあります。カラーモードが「RGB」しか選べないことです。白トナーなどのプリンターはCMYKで色を作るため、RGBのデータだと画面で見た色と、プリントした色にズレ(色味のギャップ)が出やすくなります。
有料版のPDF(印刷)+CMYK ― いちばんキレイ
有料版(Canvaプロ)では、PDF(印刷)を選んだときに「カラープロファイル」をCMYKに変更できます。この設定で保存したデータが、余白に白もほとんど出ず、色もいちばん元のデータに近い仕上がりになりました。
左の無料版(RGB)は、元のデータと比べて色のズレが目立ちます。右の有料版(CMYK)はズレが少なくなっています。ただし、有料版のCMYKでも完璧に同じ色になるわけではありません。そもそも、画面の色とプリントの色にはある程度の差が出るものだと理解しておきましょう。
色をしっかり合わせたい・細かく調整したい場合、Canvaだけで調整を続けるのは手間がかかります。そういうときは、IllustratorやPhotoshopで調整するのがおすすめです(編集するときの注意点は4章で解説します)。
Canvaでの保存手順(PDF(印刷))
- デザインを開き、右上の共有をタップ(クリック)
- ダウンロードを選ぶ
- 「ファイルの種類」でPDF(印刷)を選ぶ(PNGは選ばない)
- 有料版の場合:「カラープロファイル」をRGB(デジタル用に最適)からCMYK(プロフェッショナルな品質の印刷に最適)に変更
- ダウンロードを押して保存し、RIPソフトに取り込んで印刷
- Canva公式ヘルプでは現在も、CMYKのPDF・背景透過・SVGでのダウンロードは有料プラン(Canvaプロ、ビジネス、教育機関向けなど)限定の機能とされています。無料版で「カラープロファイル」が出てこない・選べないのはこのためです。
- Canvaの画面はアップデートで変わることがあります。ボタンの位置や名前が違う場合は、「ダウンロード」の中の「ファイルの種類」でPDF(印刷)を探してください。
- 「トリムマークと塗り足し」「PDFのフラット化」などのチェック項目は、今回の検証では使っていません(チェックなしで検証)。
「白」を表現したいときのカラー設定は #FFFFFB
1章でお話ししたとおり、白トナーやDTFはデータの無いところには白が乗りません。Canvaで文字やイラストを「白」にしたいとき、真っ白(#FFFFFF)を選ぶと「色なし」と同じ扱いになり、白がプリントされないことがあります。
そこで、白く見せたい部分は、Canvaの色の選択画面(例:「テキストの色」)でカラーコード「#FFFFFB」を入力して色を付けます。Illustratorで言うとY(イエロー)3%程度の、ほんの少しだけ色の入った白です。この設定で、白トナー・DTFどちらでも白が表現されます。
× 真っ白
「色なし」と同じ扱いになり、白が乗らないことがある
○ 白にしたいときはこれ
見た目はほぼ白。データが入るので白トナー・DTFで白が乗る
保存後にIllustrator・Photoshopで編集するときの注意点
ここまでは「CanvaでPDF保存 → そのままRIPソフトに取り込んで印刷」という流れのお話でした。ここからは、RIPソフトに取り込む前に、IllustratorやPhotoshopでデータを修正したい場合の注意点です。
Photoshopで開く場合 ― 基本的に注意点なし
CanvaのPDFをPhotoshopで開くと、デザイン全体が画像として読み込まれます。文字も画像の一部になるので、フォントが置き換わることはほとんどありません。一般的な画像データとして、普段どおり扱って大丈夫です。
Illustratorで開く場合 ― 文字が別のフォントに置き換わる
一方、同じPDFをIllustratorで開くと、デザインの中の文字が「フォント(文字データ)」として読み込まれます。Canvaで使ったフォントがパソコンに入っていないと、別のフォントに自動で置き換わってしまい、デザインそのものが変わってしまいます。Illustratorに同じフォントがあれば問題ありませんが、Canvaのフォントが必ずあるとは限りません。
対策:有料版の「SVG」で保存する
Illustratorで編集したい場合は、ダウンロードの「ファイルの種類」でSVGを選んで保存してください(有料版のみ)。SVGで保存したデータをIllustratorで開くと、文字がアウトライン化(パスデータ化)された状態になっていて、フォントの置き換えが起きません。文字の色を変えるといった編集もとても簡単になります。
当社のRIPソフトはSVGを直接取り込めません。Illustratorで編集したら、PDF・AI・EPSなど別の形式で保存し直してからRIPソフトに取り込んでください。
SVG保存→Illustrator
で編集→PDF・AI・EPS
で保存→RIPソフト
で印刷
スマホのCanvaでSVGを保存すると、いったん「ファイル」アプリなどに保存してから、メールでパソコンに送る…といったひと手間がかかります。PDFならLINEなどでも簡単に送れます。SVGとPDFでは、パソコンへのデータの送り方が変わることを覚えておきましょう。
- SVGでのダウンロードは、Canva公式ヘルプで現在も有料プラン限定と案内されています。
- 動画撮影後の2025年10月、Canva社が提供するデザインソフト「Affinity」が「Affinity by Canva」として無料化されました(Canvaアカウントで利用可能)。Illustratorを持っていない方が、ベクターデータを編集する選択肢のひとつになります。使い方は「デザインソフトは無料のAffinityで十分」の記事で解説しています。※Canvaのデータを Affinity で編集して印刷する流れは、この動画では検証していません。
まとめ:目的別のおすすめ保存方法
| こんなとき | おすすめの保存方法 | プラン |
|---|---|---|
| 保存後に編集せず、 そのまま印刷 | PDF(印刷)+カラープロファイルCMYK → RIPソフトへ | 有料 |
| 保存後に Illustratorで編集 | SVGで保存 → Illustratorで編集 → PDF・AI・EPSなどで保存 → RIPソフトへ | 有料 |
| 無料版で印刷したい | PDF(印刷)で保存。白トナー・DTFでプリントできる。RGBなので色のズレに注意 | 無料 |
| PNG | 白トナー・DTFのプリントには非推奨(無料・有料とも余計な白が乗る) | ― |
プリント前のチェックリスト
- ファイルの種類は「PNG」ではなく「PDF(印刷)」になっている
- 有料版なら、カラープロファイルを「CMYK」にしている
- 白く見せたい部分は #FFFFFF ではなく「#FFFFFB」にしている
- Illustratorで編集するなら「SVG」で保存し、編集後はPDF・AI・EPSなどに保存し直している
- 画面の色とプリントの色は完全には一致しないことを理解している(大事な案件はテストプリントを)
プリント業者様へ:Canvaのデータは「当たり前」になっていく
長年IllustratorとPhotoshopでデータを作ってきたプリント業者様の中には、Canvaにあまりなじみがない方も多いと思います。正直に言うと、この動画を撮った当社の担当者も普段はIllustratorとPhotoshop派で、Canvaは触り始めたばかりでした。
しかし、スマホの普及で、世の中ではIllustratorやPhotoshopよりもCanvaを使っている人の方が多く、これからも増えていくと考えられます。お客様(発注側)からCanvaで作ったデータを受け取る機会は、今後さらに増えるはずです。Canvaを使っていない業者様も、今回の保存設定のポイントは覚えておくことをおすすめします。
「PNGで保存すると余計な白が乗る」ことを知らないと、トラブルが続いて結局は失注してしまいます。逆に「PDFなら大丈夫ですよ」「SVGならさらに良いですよ」「無料版でもできますが色は少し変わります」といった会話ができるだけで、個人のお客様からの注文がぐっと受けやすくなります。
参考までに、動画内で紹介した「お客様からCanvaで作ったプリントデータを受け取ったことがありますか?」というアンケートの結果がこちらです。
「不明」の中には、気づかないうちにCanvaのデータを受け取っている方も含まれていると考えると、半数以上の業者様がすでにCanvaのデータを受け取っているのではないかと思います。
Canvaは有料版(動画撮影時:月額1,180円・税込)でも手ごろな価格で、無料版でもある程度の印刷クオリティのデータが作れてしまいます。スマホさえあれば、誰でもある程度のプリントデータを作れる時代です。生成AIの登場もあって、「プリントデータが作れない」という声はほとんど聞かなくなりました。
これからプリント業者様に求められるのは、さまざまな形で届くデータにきちんと対応していくことだと考えています。「プリントデータ=パソコンで作るもの」という考え方が変わっていくことで、Tシャツプリントの注文も今まで以上に気軽になり、プリント業界がもっと盛り上がっていくはずです。
Canvaプロの料金は、動画撮影時(2025年5月)は月額1,180円(税込)でした。2026年10月時点のCanva公式の料金ページでは、Canvaプロは年額11,800円(1人あたり)と表示されています。料金やプランは変更されることがあるため、最新の情報はCanva公式サイトでご確認ください。
白トナーや白インクを使うプリントは基本的に業務用で、どうしてもパソコンが必要になります。一方、クイックアートでは家庭用インクジェットプリンターで使う「パウダープリントフィルム」も取り扱っています。こちらはスマホ1台とプリンターだけでTシャツプリントができ、Canvaの保存設定もそこまで難しくなく、写真のようなプリントが簡単にできるはずです。
この記事に出てくる用語かんたん解説
- PNG(ピング)
- 画像の保存形式のひとつ。SNSや画面で見るのに向いている。背景を透明にできるが、白トナー・DTFのプリントでは余計な白が乗る不具合が出た。
- PDF(印刷)
- Canvaのダウンロードで選べる、印刷向けのPDF。白トナー・DTFでプリントするときはこれを選ぶ。
- RGB/CMYK
- 色の表し方。RGBは画面(光)の色、CMYKは印刷(インク・トナー)の色。プリンターはCMYKで色を作るため、CMYKで保存した方が色のズレが少ない。
- SVG
- 図形や文字を「線(パス)」の情報で保存する形式。拡大しても荒れず、Illustratorで編集しやすい。Canvaでは有料版のみ。
- アウトライン化(パス化)
- 文字を「フォント」ではなく図形に変換すること。フォントがないパソコンで開いても、見た目が変わらない。
- RIPソフト
- プリンターで印刷するためのデータに変換するソフト。白トナーの量の計算などもここで行われる。
この記事のもとになった動画
【実証解説】Canva(キャンバ)で作ったデータで白トナーやDTFで印刷する際のデータの設定保存の基礎的な注意点について(2025年5月29日撮影) YouTubeで見る →
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※本記事の検証結果は、2025年5月29日時点のCanvaで作成したデータを、株式会社クイックアートの白トナープリンター等のプリント機器で印刷・プリントして確認したものです。他社の機器・RIPソフトでは結果が異なる場合があります。Canvaの画面表記・機能・料金は記事作成時(2026年10月)の情報を含みます。Canvaは頻繁にアップデートされるため、最新の仕様はCanva公式サイトをご確認ください。Canva、Illustrator、Photoshop、Affinityは各社の商標または登録商標です。
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