抜ける転写紙タイプWの
改良点と作業の変更点
旧手順のまま使っていませんか
抜ける転写紙タイプWは、販売開始から10年以上たつ当社の定番商品です。そのあいだに、糊のシート(プラスターシート)の仕様が2021年2月と2023年6月の2回変わりました。印刷用のMP93シートや使えるプリンター、仕上がりの柔らかさ・洗濯の強さは変わっていませんが、糊付けの温度や、生地に転写したあと冷ます時間など、作業の条件が変わっています。
「以前と同じやり方なのに、なぜか糊がうまくつかない」「剥がすときに反発を感じる」という方は、古い手順のまま作業しているかもしれません。この記事では、現在の商品ページと説明書(作り方説明書)を正として現行の手順をまとめ、2023年6月の変更点、2021年2月のリニューアルで良くなった点を、3本の動画の実演とあわせて解説します。
- 手順はお手元の商品に入っている説明書のとおりに。2023年6月以降のタイプWは糊付け135℃・強圧、A4は両面20〜30秒、A3は両面30〜40秒(1回目はMP93シートを上、2回目はプラスターシートを上)
- ラミネーターは必須。2枚をキャリアシートに挟んで通し、5分以内にプレスへ。プレスが終わったらすぐに剥がす
- 生地に転写したら10分以上置き、完全に冷めてから裏紙を剥がす。5分程度では糊がまだ柔らかく、定着不良のおそれがある
- 125℃など以前の温度のままだと糊が固く感じ、失敗率が上がる。温度は135℃のまま、時間はデザインに合わせて範囲内で調整する
- 印刷用のMP93シート、使えるプリンター、仕上がりの柔らかさ・洗濯の強さは変わっていない
お手元のタイプWはどの仕様?3つの時期
タイプWの仕様は、大きく3つの時期に分かれます。どの時期も「印刷したMP93シートとプラスターシートを重ねてプレスし、熱いうちに剥がして、印刷した部分にだけ糊をのせる」という基本は同じです。変わったのはプラスターシート(糊シート)と、それに合わせた作業の条件です。当社のYouTubeには各時期の動画が残っているので、動画を見ながら作業する方は、どの時期の動画かを確かめてください。
| 時期 | 糊付けの条件(当時の案内) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 現行 2023年6月中旬以降 | 135℃・強圧。A4は両面20〜30秒、A3は両面30〜40秒。ラミネーター必須 | 糊シートの材質が若干変わり、温度を135℃に。生地に転写したあとは10分以上冷ます |
| 2021年2月〜 2023年6月前半 | 説明書は125℃・20秒。当社FAQでは「最初は130℃・30秒(表裏)にすると作業しやすい」と案内 | 裏紙が厚くなり、剥がしやすく、発色も向上。急いで剥がさなくてよくなった |
| 2021年2月より前 | 130℃・30秒(2020年の動画での実演) | 剥がすときは急いでつまむ前提だった |
※時期の区切りはタイプWの商品ページ「仕様変更履歴とそれぞれの使い方」の表記です。2023年の変更について、動画では「2023年6月下旬以降」、動画タイトルでは「2023年7月から」と案内しています。
2023年6月の変更について、動画では「主に地球環境面を配慮する中で材料が変わる」と説明しています。そのうえで当社でテストを繰り返し、質的な変化はほぼなく、作業面の変更が出た程度と確かめてから切り替えています。変更後のシートには、注意喚起と新しい使用説明書を付けています。
現行の手順:説明書の8ステップ
まずは現在の正しい手順です。タイプWの商品ページからリンクしている作り方説明書(PDF)の内容を、白トナーとRIPソフトがある場合の手順でまとめました。
- 印刷:MP93シートのツルツルした面に、鏡像(左右反転)で印刷します。用紙厚の設定は「ごく厚い紙1」(環境や季節で変わります)。連続給紙すると印刷不良が起きるため、1枚ずつ給紙します。
- ラミネーター:MP93シートの印刷面とプラスターシートの糊面を合わせ、キャリアシートに挟んでラミネーターに通します。コーナーを折り曲げておくとめくりやすくなります。5分以内に次の作業へ。
- 熱プレス:135℃・強圧、A4は両面20〜30秒、A3は両面30〜40秒。1回目はMP93シートを上、2回目はプラスターシートを上にして計2回プレスします。汚れ防止にシリコン紙を乗せます。終わったらすぐに次の作業へ。
- 剥がす(糊付け):プラスターシートを上にして、熱いうちに剥がします。説明書では「斜めに剥がし始め、プレス台から浮かさず地を這うように」としています。剥がし始めと剥がし終わりを慎重にゆっくりにすると成功しやすくなります。
- 四辺を切る:マークができたら、糊が残っている四辺を切り落とします。
- 生地に転写:生地にマークを乗せ、シリコン紙を乗せて135℃・20〜30秒でプレスします。
- 冷まして剥がす:10分以上放置し、完全に冷めてから裏紙を慎重に剥がします。
- 仕上げプレス:リケイ紙を乗せ、135℃・15〜20秒で仕上げの熱プレスをして完成です。

※⑥と⑧の温度・時間は綿のTシャツを想定した設定です。説明書では、ポリエステル生地は125℃・15秒、厚手の生地は135℃・40秒など、生地に合わせて調整するよう案内しています。
説明書には「抜き作業でうまくいかない時」の注意も書かれています。②③④は時間を置かずに続けて行うこと、そしてデザインにベタが多く(抜けている部分が少なく)うまく抜けない場合は、熱プレスの温度を5℃ほど高め、時間を10秒ほど長くすること、です。剥がし方のコツはタイプWの剥がし方(糊のつけ方)完全ガイドで写真付きで解説しています。
変更点①:糊付けの温度は135℃
2023年6月の動画で、1つ目の変更点として挙げているのが糊付けの設定温度です。以前は125℃近辺を案内していて、トラブルのときに「温度を125℃などに下げてください」とお伝えしたこともありました。新しい糊シートでは135℃で作業します。

新しい糊シートを従来の125℃で使うと、糊が固く感じられます。動画では「125℃でもできないことはないが、失敗率が上がってしまう」と話しています。135℃に上げると、違和感なく、今までどおりスムーズに剥がせます。圧力の強さや剥がし方は変わっていません。

時間は説明書の範囲で、温度は変えない
動画撮影時の案内は「A4は135℃・両面30秒ずつ、A3は135℃・両面40秒ずつ」でした。現在の説明書はA4が両面20〜30秒、A3が両面30〜40秒です。タイプWの商品ページでは「デザインによってプレス時間を縮めたり伸ばしたりしていただいてもかまいませんが、温度は変更しないでください」と案内しています。

変更点②:転写後に冷ます時間は10分以上
2つ目の変更点は、動画の中で「個人的には大きい」と話している冷まし時間です。マークを生地に転写してから裏紙を剥がすまでの時間を、10分以上に延ばしました。

以前は「5分以上」と案内していて、実際には3〜4分で剥がしても問題ないことがほとんどでした。新しい糊シートでは糊が生地に定着するまでに少し時間がかかるため、5分程度だと糊がまだ柔らかく、定着不良になるおそれがあります。10分たっていれば、違和感なく剥がせます。

剥がすときに反発を感じたら
動画ではポリエステル生地で実演しています。10分冷ませばさらっと剥がせますが、生地が分厚いときなど、剥がしづらいと感じたときは剥がし方を少し変えます。片手で生地を押さえ、剥がしている位置のすぐそばを押さえながら、裏紙を低く折り返すように、少しずつ区切って剥がしていきます。

また、冷ますときは転写紙の面を下にして冷ますことを商品ページで推奨しています。冷まし方や四辺の切り方、剥がし方のよくある失敗は抜ける転写紙の4辺の切り方・冷まし方・剥がし方とよくある失敗にまとめています。
ラミネーターは「必要に応じて」から「必須」へ
2023年6月の動画のテロップでは「必要に応じてラミネーター通す」としていました。現在は、当社FAQ「【2023年6月以降版】抜ける転写紙タイプWの剥がし方」で「ラミネーターは必須です」、ラミネーターの商品ページでも「抜ける転写紙を制作する際には必ずラミネータをご使用ください」と案内しています。
ラミネーターは、MP93シートとプラスターシートの間の空気を抜いて密着させるために使います。空気が残ったままプレスすると、その部分に糊がつかず、転写がうまくいきません。現行の説明書では、2枚をキャリアシート(汚れ防止カバーシート)に挟んで通し、5分以内にプレスに移ります。
ラミネーターを使う理由、使えるラミネーターの見分け方、お手入れの方法はラミネーターを使う意味とお手入れで解説しています。
2021年2月のリニューアルで良くなったこと
さかのぼって、2021年2月のリニューアルで何が良くなったのかも見ておきます。当時の動画では「人気のタイプWが若干の変更で、さらに魅力のある商品になった」として、糊付けが簡単に、生地への転写も簡単に、発色が向上、伸縮性が向上の点を紹介しています。印刷用のMPシートと、プレスの温度・時間は当時変わっていません。

糊付け(トリミング)が簡単に
いちばん大きいのが剥がしやすさです。剥がすときの糊の感覚が軽くなり、軽く滑るような感じで剥がせるようになりました。以前は「熱いうちに、何秒以内につまんで」とスピードを強く意識してもらっていましたが、リニューアル後はそこまで慌てる必要がなくなり、細かいポイントも少なくなりました。

裏紙が厚くなったぶん圧力がしっかりかかりやすくなり、糊付けがしやすく、相性のよいプレス機の対象も広がりました。また、生地にプレスしたあとに裏紙を剥がす作業も、従来に比べて滑らかになっています。

発色と伸縮性
赤い生地に新旧を並べて比べると、新しいほうがわずかに発色がよく、白度も強化されています。黒い生地に白の数字をプリントしたものでも、薄い仕上がりで白がはっきり出ています。

さらに伸縮性も向上しました。着ているTシャツを思いきり引っ張ることは多くありませんが、生地を強く引っ張ったときにプリントが追従しやすくなっています。伸縮性を気にされていた方にも使いやすくなりました。

リニューアル前には、当社グループ会社で約2年前から試験的に使い、お客様へのサンプリングでも実証してから切り替えています。
変わっていないこと
2回の変更があっても、タイプWの基本的な特長と使える環境は変わっていません。2020年の動画で紹介している魅力も、現在の商品ページの内容と同じです。
| 項目 | 内容(2026年10月時点の商品ページ) |
|---|---|
| 印刷用シート | MP93シートは変わっていません。タイプWとタイプWLで共通(兼用)です |
| 使えるプリンター | 粉砕トナーのカラーレーザープリンター。インクジェットプリンタ、ALPS MDプリンタ、EA-Ecoトナーの機種では使えません |
| 白トナーがない場合 | CMYKの合計値が80%以上の色(K100%の黒、MY100%の赤など)だけで構成されたデザインなら印刷できます |
| 生地 | 綿・ポリエステル・ナイロンに対応(強撥水生地は不可)。生地の色を問いません |
| 作り方の特長 | 製版不要、カッティング不要、カス取り不要。1枚から作れます |
| 洗濯 | 洗濯堅牢度4-5級(JIS L 0844 A-2号、白・綿100%)。乾燥機の使用はNG |
2023年6月の動画でも、仕上がりの柔らかさや洗濯強度に変更はないと説明しています。「今までどおり、どんなイラストもどんな生地にも、1枚から白を含めたフルカラープリントが可能」です。
デザインや生地によっては、ほかのタイプが向くこともあります。商品ページでは、ベタの多い大きなデザインや細い文字、糊が突き抜けるほど薄い生地にはタイプWL、キャンバス生地など硬く分厚い生地にはタイプCを案内しています。違いは抜ける転写紙の種類と選び方で比べています。
注意点:古い動画・他社のプレス機
説明書どおりに作業してもうまくいかない場合は、お気軽にご相談ください。手作業の糊付けそのものを省きたい場合は、専用シート(タイプP)を差し込むだけで糊付けができる自動糊付け機ペイスターもあります。
よくある質問
- タイプWの糊付けの温度と時間は今どうなっていますか?
- 現行の説明書では135℃・強圧で、A4は両面20〜30秒、A3は両面30〜40秒です。1回目は印刷したMP93シートを上、2回目はプラスターシートを上にして計2回プレスします。商品ページでは、デザインによって時間は縮めたり伸ばしたりしてかまわないが、温度は変更しないよう案内しています。
- 以前は125℃と聞いていましたが、125℃ではだめですか?
- 2023年6月以降の仕様のタイプWでは135℃にしてください。2023年6月の動画では、125℃でもできないことはないものの、糊が固く感じられ失敗率が上がると説明しています。135℃で作業すると、以前と同じような感覚で剥がせます。
- 生地に転写したあと、どれくらい冷ませばいいですか?
- 現行の説明書では「10分以上放置」し、完全に冷めてから裏紙を慎重に剥がします。以前は5分以上と案内していましたが、5分程度では糊がまだ柔らかく、定着不良になるおそれがあります。冷ますときは転写紙の面を下にすることを商品ページで推奨しています。
- ラミネーターは使わなくてもいいですか?
- 現行の仕様ではラミネーターは必須です。MP93シートとプラスターシートを中表に合わせ、キャリアシートに挟んでラミネーターに通し、5分以内にプレスに移ります。2023年6月の動画では「必要に応じて」と話していましたが、現在の説明書と当社FAQでは必ず通す手順になっています。
- 印刷用のMP93シートやプリンターは変わりましたか?
- 変わっていません。2021年2月・2023年6月の変更はどちらもプラスターシート(糊シート)の変更です。MP93シートはタイプWとタイプWLで共通です。プリンターは粉砕トナーのレーザープリンターに対応し、EA-Ecoトナーの機種やインクジェットプリンタでは使えません。
- 仕上がりや洗濯の強さは変わりましたか?
- 2023年6月の変更について、動画では最終的な仕上がりの柔らかさや洗濯強度に変更はないと説明しています。現在の商品ページの洗濯堅牢度は4-5級(135℃30秒プレス→135℃30秒シリコン紙で仕上げプレスしたもの)です。
この記事のもとになった動画
【変更点解説】2023年7月からの抜ける転写紙タイプWの作業変更点2箇所を解説 業者様向け白トナープリント講座(2023年6月23日撮影。現行仕様の変更点)
【新常識】抜ける転写紙タイプWの改良点をご紹介します 業者様向け白トナー転写講座(2021年2月のリニューアルを紹介した動画。プレス条件は当時の仕様)
【白トナー転写の定番】抜ける転写紙タイプWの魅力について(2020年5月下旬撮影。2021年2月より前の仕様)
※公開日は確認できなかったため、撮影時期・内容の時期を記載しています。
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東京・大阪・福井のショールームでは、実際の作業もご覧いただけます。
※本記事の手順・仕様は2026年10月時点の商品ページと作り方説明書(2025年3月版)によります。動画内の温度・時間は撮影時の仕様のものです。作業の際は必ずお手元の商品の説明書をご確認ください。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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