タイプW・B・Cを比べる。
剥がし方・仕上がり・
洗濯の違い
抜ける転写紙を使っている業者様のほとんどはタイプWを使っています。そこでよくいただくのが、「タイプBやタイプCに変えると、何が変わるのか」という質問です。
2021年11月に公開した3部作の動画では、同じデザインでW・B・Cの3種類を糊付けし、黒いポリエステル生地に転写し、1週間毎日2回洗濯して比べました。この記事では3本の内容を1本にまとめ、剥がし方の感触、仕上がりの発色、洗濯の結果、洗濯堅牢度の読み方、そして2026年10月時点での使い分けを解説します。
- W・B・Cの違いは糊(プラスターシート)。Bは薄く、Cは厚く、表面にシールのように定着する
- 剥がし方はWと同じ要領でOK。Bは少し硬く、Cは少し重く感じるが、スピードを一定にするのがいちばん大事
- 仕上がりはWとCがほぼ同じ。Bは並べると発色が少し弱いが、単体なら問題ないレベル
- 14回の家庭洗濯では3種類ともほとんど変化なし。洗濯堅牢度は「何回もつか」ではなく、色落ち・色移りの試験
- 使い分けは衣類全般はW、ナイロンなど薄い生地はB、帆布はC。現在、薄い生地向けにはBの後継品のタイプWLを案内しています
W・B・Cの違いは「糊」
抜ける転写紙は、印刷用のMPシートと糊のプラスターシートの2枚1組です。タイプW・B・Cでは、印刷シートにも違いはありますが、大きく違うのはプラスターシートの糊です。タイプBとタイプWは印刷用のMPシートが共通です。
| タイプ | 糊の特徴 | 向く生地 |
|---|---|---|
| W | 標準。繊維の奥に押し込まれて定着する | 綿・ポリエステル・ナイロンなど衣類全般 |
| B | Wより薄い。繊維の奥に定着する | ナイロンや3oz台の薄いシャツなど、薄い生地(BはブルゾンのB) |
| C | Wより厚い。表面にシールのように定着する | キャンバスのトートバッグなど、厚手で硬い生地(CはキャンバスのC) |

糊が薄いBは、薄い生地にプリントしたとき糊が裏側に突き抜けにくいのが特長です。Wのように糊が厚いと、薄い生地では糊が反対側にくっついてしまい、作業がしづらくなることがあります。反対にCは、繊維が詰まった硬い生地でも表面にくっつくので転写しやすくなります。
※2026年10月時点で、プロ向けの抜ける転写紙の一覧(タイプW・WL・C・P)では、薄い生地向けにはタイプBの後継品として2025年に発売したタイプWLを案内しています。タイプBの商品ページは一般向けのクイックアートのサイトにあります。種類全体の比較は抜ける転写紙の種類と選び方をご覧ください。
糊付け(剥がし方)の違い
第1部では、同じイラストを3種類それぞれのプラスターシートで糊付けしました。撮影時(2021年)の条件は、3種類とも130℃・30秒の表裏・強圧です。最初に印刷面を上(糊のシートを下)にしてプレスし、次に糊のシートを上にしてプレスします。

タイプB:糊が薄いぶん、少し硬い
Bはプラスターシートの糊が薄いぶん、剥がすときに少し硬さを感じます。イラストとイラストの間でパチパチと音がすることもあります。このときにスピードが速すぎると糊がうまく付かないので、Wより少し柔らかく、少し丁寧に剥がすのがポイントです。

タイプC:糊が厚いぶん、少し重い
Cは糊がWより厚く、剥がすときに少し重く感じます。重いぶん、つい剥がすスピードを上げたくなりますが、Cは細かい部分に糊が付くのが苦手なので、速くすると難しくなります。剥がすスピードはWと同じくらい、ゆっくりめで十分です。130℃・30秒の表裏でうまくいかないときは、35秒・40秒と時間を長くすると、糊がしっかり溶けて付きやすくなります。

いちばん多い失敗は「途中でスピードを変える」
糊はトナーの部分にだけ溶けてくっつき、冷えると急速に固まります。この性質を使って熱いうちに剥がすことで、印刷した部分にだけ糊が付きます。ただ、「熱いうちに」にとらわれすぎて剥がしている途中でスピードを変えると、紙が折れ曲がって糊がうまく付かない、というのがよくある失敗です。
剥がすスピードは一定にし、10秒〜15秒くらいで剥がし終えれば大丈夫です。2021年10月時点で糊が改良され、2020年と比べて熱いうちに剥がす許容範囲が広くなり、比較的ゆっくりでも付けられるようになりました。Bは少し硬い、Cは少し重いという違和感はあっても、正直なところ3種類の違いはわずかで、剥がし方を大きく変える必要はありません。Cで焦ってしまう方は、プレス時間をWより5秒ずつ長くするとよいでしょう。
※タイプWは2023年6月に糊シートの仕様が変わり、現在はラミネーターに通してから135℃で、A4は表裏20〜30秒・A3は表裏30〜40秒ずつプレスする手順になっています(2025年3月以降、手作業で糊付けする抜ける転写紙はラミネーターが必須)。上の130℃・30秒は2021年の撮影時の条件です。現在の剥がし方はタイプWの剥がし方の記事をご覧ください。
生地への転写と剥がすときの違い
第2部では、糊付けしたマークシートを黒いポリエステル生地に転写しました。撮影時の説明書どおり、WとBは125℃・20秒、Cは130℃・30秒でプレスしています。3種類に共通するポイントは、しっかり圧力をかけることと、完全に冷めてから剥がすことです。動画では5分以上置いてから剥がしました。

熱で溶けた糊は生地の中に押し込まれ、冷えて固まることで定着します。冷え切る前に剥がすときれいに転写されません。剥がすときは、生地を押さえながら紙を引っ張るのではなく、紙を少し上にして生地を下に押さえ、左右の手の間隔を狭くして剥がしていきます。
| タイプ | 生地から裏紙を剥がすときの感触 |
|---|---|
| W | いつもの感触。違和感なし |
| B | 糊が薄いぶん少し硬さがあり、パリパリと音がするが、転写はできている。Wとあまり変わらない |
| C | シールのようにサーッと剥がれる。転写そのものは3種類でいちばんやりやすい |


※転写の温度・時間は撮影時の条件です。現在の条件は、各商品ページと購入時の説明書でご確認ください。プレスの温度と時間の考え方はプレスの温度と時間、4辺の切り忘れなどの失敗は4辺の切り方・冷まし方と失敗例で紹介しています。
仕上がり(発色)の違い
仕上げプレスをした3枚を並べて比べました。左からB・W・Cです。

| 比べたもの | 結果 |
|---|---|
| W と B | Wは糊が厚いぶん白度が強く、発色が明るい。Bは少し弱い(上の「california」の白で分かりやすい) |
| W と C | 目で見て、ほとんど違いは感じられない |
| B だけで見た場合 | W・Cと並べなければ問題ないレベル。ガーメントプリンターの白インクの薄い仕上がりと比べても見劣りしない |
まとめると、発色はどれも強いと言ってよいレベルで、Bが少し薄くなる程度です。発色をいちばん重視するならW、と考えておけば十分です。
定着のしくみと14回洗濯の結果
洗濯の強さを考えるには、定着のしくみを知っておくと分かりやすくなります。
| タイプ | 定着のしくみ |
|---|---|
| W・B | 熱で溶けた糊が繊維の奥にぐーっと入り込み、冷えて固まる。ボンドで固めたようなイメージで、糊の層が厚いWのほうがより強い |
| C | 繊維の奥ではなく、表面にシールのように乗る。穴の少ない硬い生地にも転写しやすい代わりに、洗濯の強さは少し落ちる |
第3部では、第2部でプリントした3枚を1週間、毎日2回、計14回、ネットに入れて家庭の洗濯機で洗いました。洗濯したものと、洗濯していない部分を並べて比べています。



結果は、3種類とも14回の洗濯でほとんど変化なし。別のスタッフに見てもらっても同じ感想でした。撮影時の洗濯堅牢度の表記はW 5級・B 4-5級・C 4級で差があったので、違いが出ると思っていましたが、ほぼ出ませんでした。
洗濯堅牢度と洗濯の強さは別もの
堅牢度の級に差があるのに、洗濯の結果に差が出なかったのはなぜか。それは、洗濯堅牢度が「何回洗濯してももつか」を測る試験ではないからです。当社は福井県のカケンテストセンターで試験をしていて、担当の方にも確認しました。
結果は1級から5級までで表され、カケンテストセンターのホームページでは、一般的な目安を変退色4級以上・汚染3級以上としています。これがプリントグッズとして世の中に出すときの目安です。摩擦堅牢度も、撮影時はW 5級・B 4-5級・C 4級でした。
| 洗濯堅牢度の表記 | 2021年の動画(撮影時) | 2026年10月時点の商品ページ |
|---|---|---|
| タイプW | 5級 | 4-5級(JIS L 0844 A-2号) |
| タイプB | 4-5級 | ―(プロ向け一覧の後継品タイプWLは4-5級) |
| タイプC | 4級 | 4級 |
では、実際に何回洗濯してももつのか。試験では答えが出ないので、プリントしたものを自分で何回も洗濯して確かめるのが方法です。当社のスタッフが、タイプWでプリントした黒いポリエステルのTシャツを夏場に週2〜3回、5年近く着ていますが、ほとんど変化はありません。商品として販売する方は、1週間ほど実際に洗濯してみることをおすすめします。
※洗濯堅牢度の読み方は洗濯堅牢度は「剥がれにくさ」ではありません、お客様への洗濯の伝え方はプリントTシャツの洗濯、お客様にどう伝えるかで詳しく紹介しています。
結論:W・B・Cの使い分け
3部作の結論は、W・B・Cの違いは思ったより小さいということでした。そのうえで、生地に合わせて次のように使い分けるのがおすすめです。使い分けをしなくても、ある程度の結果は出ます。
| 生地 | 2021年の動画のおすすめ | 2026年10月時点のおすすめ |
|---|---|---|
| 衣類全般(綿・ポリエステル・ナイロン) | タイプW | タイプW |
| ナイロンなど薄い生地 | タイプB | タイプWL(Bの後継品。大きなデザインの糊付けも軽い) |
| キャンバス・帆布などの厚手の生地 | タイプC | タイプC |
タイプWLの特長と使い方はタイプWLの特長と使い方、タイプBでナイロンにプリントした実演はタイプBでナイロンにプリント、タイプCはタイプCの特長と使い方の記事で紹介しています。
注意点(撮影時と現在の違い)
この比較は2021年11月に公開した動画をもとにしています。その後、転写紙の仕様や推奨の手順が変わっている点があるので、次の点に注意してください。
また、14回の家庭洗濯は当社で行った一例です。洗剤や乾燥機の使い方、生地によって結果は変わります。乾燥機の使用や強い漂白剤は避けるよう、タイプWの商品ページでも案内しています。
よくある質問
- 抜ける転写紙タイプW・B・Cの違いは何ですか?
- 違いは主に糊のシートです。BはWより糊が薄く、CはWより厚く表面にシールのように定着します。衣類全般はW、薄い生地はB(現在は後継品のWL)、厚手の帆布はCという使い分けです。
- タイプBとタイプCは、タイプWと剥がし方を変える必要がありますか?
- 大きく変える必要はありません。Bは少し硬く、Cは少し重く感じますが、Wと同じ要領で剥がせます。スピードを一定にし、10〜15秒くらいで剥がし終えれば大丈夫です。
- タイプW・B・Cで発色に違いはありますか?
- WとCはほとんど違いがありません。Bは並べると少し弱めですが、単体で見れば問題ないレベルです。
- タイプCは洗濯に弱いのですか?
- 洗濯堅牢度は4級とWより少し下がりますが、14回の家庭洗濯ではほとんど変化はありませんでした。トートバッグなど洗濯の少ないものに向いています。
- 洗濯堅牢度が高ければ、何回洗濯しても大丈夫ですか?
- 洗濯堅牢度は色落ちと色移りを30分ほどの試験で評価するもので、何回もつかを示す数字ではありません。実際に何回もつかは、自分で洗濯して確かめるのが確実です。
この記事のもとになった動画
【第1部】抜ける転写紙タイプ W B C の剥がし方の違い 業者様向け白トナープリント講座(2021年11月2日公開)
【第2部】抜ける転写紙タイプ W B C のプリント仕上がりの違い 業者様向け白トナープリント講座(2021年11月4日公開)
【第3部】抜ける転写紙タイプ W B C の洗濯の違い 業者様向け白トナープリント講座(2021年11月9日公開。プレス条件・堅牢度の表記は当時のもの)
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※本記事の価格・仕様は2026年10月時点の商品ページの情報です。動画内のプレス条件・堅牢度の表記は撮影時(2021年)のものです。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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